《コラム》選択肢の増えている年金

◆公的年金の制度は拡充されていて
 日本の年金制度は、20歳以上の全国民が加入する国民年金(基礎年金)に加え、民間のサラリーマン等が加入する厚生年金保険、そして民間企業が実施する厚生年金基金や確定給付企業年金等の企業年金から構成されています。また、自営業者等向けとして、任意で加入できる国民年金基金があります。これらの年金制度は確定給付年金制度と呼ばれ、国や企業が将来の年金の支払い額を約束しているのが特徴です。

◆給付額に保証のない公的年金
 これに加えて、確定拠出年金制度が2001年10月から導入されています。加入者自身が資産を運用するものとし、将来支給される年金額がそれぞれの運用成績次第で変わる年金制度です。確定拠出年金には、個人拠出型と企業拠出型の2種類があります。個人の拠出額は所得税の小規模企業共済等掛金控除の対象となり、企業の拠出額は法定福利費という企業経費になり、運用益は課税留保されます。

◆運用能力のある人などいない
 2016年9月、個人拠出型に「iDeCo(イデコ)」という愛称が公的に決定されています。
 iDeCoを始める際は、金融機関に申し込むことになります。指定できる運用商品は金融機関によって異なりますが、元本確保型と投資信託型に大きく分かれます。
 元本確保型は定期預金や保険商品などで、所定の利息が上乗せされますが、口座管理手数料が年2000円程度かかるので、実質は元本割れになります。投資信託型は、投資の専門家が株や債券などに運用し、運用結果が投資額に応じて分配されるタイプの商品です。運用結果によっては、元本割れの可能性があります。

◆加入可能期間延長と再チェック
 なお、iDeCoと国民年金基金は併用可能で、掛け金の上限は両方合わせて年81万6000円です。確定給付で年金の終身受取りの選択肢のある国民年金基金への加入可能性は是非チェックすべきところです。
 2020年の年金改革法で、常用雇用者数5人以上でも被用者保険の強制適用事業所から除外されていた税理士事務所等の士業事務所が、除外されないことになります。同じく、企業年金・個人年金制度等の見直しをする確定拠出年金法の改正もあり、適用可能者の範囲や加入可能期間の拡大がなされ、税制も併せて改正されています。

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