最近の株式市場では、親子上場を解消する企業が増えています。親子上場とは親会社と子会社の両方が株式市場に上場しているケースを指します。たとえば、親会社の富士電機と子会社の富士通などが該当します。
先日、東芝は東芝プラントシステムなどの親子上場を解消すると発表しました。ほかにも、製薬会社や飲料会社など、親子上場解消の発表が相次いでいます。
背景にあるのは、従来からある、親子上場に対する批判です。親子上場のデメリットは、親会社と子会社で経営方針が相反する状態になったとき、顕著にあらわれます。親会社が経営の決定権を持つので、子会社は従わなければなりません。ただ、親会社の決定が子会社の企業価値の最大化につながるとは限らず、最悪、子会社の関係者や株主などが不利益を被ることになります。
親子上場の弊害に注目が集まるきっかけは、アスクル(オフィス用品ネット通販大手)とヤフーの対立が一つとしてあります。ヤフーは会計上、アスクルを連結子会社としています。その中、ヤフーはアスクルが運営する、「LOHACO(ロハコ・消費者向けネット通販サイト)」の事業譲渡を申し入れました。これが発端となり両社の関係は悪化。さらに、ヤフーはアスクルの社外取締役3人を解任することを決定します。社外取締役は独立性があり、中立の立場から企業をチェックする役割を担います。ヤフーが下した解任は、自社にとって都合の悪い人間を排除したようにもみえます。結果、ヤフーに批判が集まりました。親子上場を問題とする声はまだまだ収まりません。そして、今後も親子上場の解消を進める企業が増えることが予想されます。(つづく)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)