「AIパソコン」が注目を集めています。アジア最大級のIT(情報技術)見本市で、台湾の華碩電脳(エイスース)や米HPなど、主要メーカーが相次いで製品投入を表明しました。基本となる技術が「エッジAI」というものです。「エッジAI」とは、インターネットに接続しなくても、パソコンや携帯電話などのデバイス内で動作するAI技術を指します。
従来、チャットGPTなどの生成AIはクラウドベースのAIといわれ、パソコンからインターネット経由でクラウドのデータセンターに接続し、そこのサーバーで動作します。一方、AIパソコンでは処理の一部、あるいはすべてをパソコンの内部で行います。情報処理を自己完結できる技術が「エッジAI」で、半導体の進歩により活用領域が急速に広がっています。
エッジAIはパソコンやスマートフォンなどの端末自体で高度な処理を行う点が最大の特長です。なぜ、この技術が注目されているか。インターネットに接続しない、つまりクラウドに送信せずにローカルで処理できるため、プライバシーの保護が強化される点が一つとしてあります。医療データ、個人情報、財務データなど、センシティブなデータを扱う人にとって情報漏洩のリスクが減ります。
また、データの送受信を省き、処理速度を向上できる点や、ユーザー個別のデータを活用したAIサービスを提供できる点にも期待されています。こうした特長を生かして、今後は自動運転や同時通訳など、処理速度を要求される分野で特に活用が進むと予想されています。
現在は、パソコンに搭載され注目を集めていますが、今後は、携帯電話や自動運転車など幅広い範囲で利用されると予想されています。個人用途や業務での利用が期待され、エッジAI市場の活性化が見込まれています。(つづく)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)