コミットメントラインは資金繰りの安定に役立ちます。ただ、会計的には、実際の融資がなくても、融資枠に対して手数料が発生しますから、損益計算書の当期純利益は減ることが予想されます。一方、貸借対照表の資産・負債を圧縮することができます。そのメリットとデメリットをよく考えることが必要です。
資産を圧縮できれば、総資産を分母とする各種経営指標が向上します。たとえば、自己資本比率(自己資本÷総資産)を引き上げることができるほか、当期純利益との兼ね合いにもよりますが、ROA(総資産利益率、当期純利益÷総資産)の引き上げもできるかもしれません。
最近の上場企業は資産効率の改善に熱心ですから、コミットメントライン契約による資産・負債の圧縮メリットを強く感じることが予想されます。
ところが、非上場企業ではそれほど経営指標にはこだわる必要はありませんから、当期純利益の下落のデメリットを強く感じるかもしれません。非上場企業に対するコミットメントラインの訴求ポイントは経営指標の改善より、万一のための資金繰りの安定という点にあると思います。
企業にとって、コミットメントラインの最大のメリットは言うまでもなく資金繰りの安定にあります。ただ、それだけでなく、その会計的影響も考慮の上、コミットメントライン締結の判断をする必要があります。(了)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)