中小企業が自然災害への備えを図るうえでは、自社が自然災害のリスクをどの程度抱えているかを知ることが重要になります。中小企業庁編『中小企業白書2019年版』では中小企業における自然災害に対する具体的な備えの取り組み状況などについて調査しています。
同白書に基づき、自然災害への備えに具体的に取り組む中小企業の割合についてみると、「取り組んでいる」と回答した企業の割合は45.9%と半数以下にとどまっていることがわかります。
自然災害に対する備えに取り組んでいる企業について、その理由を回答割合の高い順にみると、「自身の被災経験(33.3%)」、「国内での災害報道(29.1%)」、「行政機関からの勧め(14.7%)、「販売先からの勧め(13.6%)」となっており、行政機関や販売先など、周囲の関係者から勧められて取り組みを始めた企業も一定割合存在することがわかります。
自然災害への備えに取り組んでいない企業について、その理由を回答割合の高い順にみると、「何から始めれば良いか分からない(31.8%)」、「人手不足(23.9%)」、「複雑と感じ、取り組むハードルが高い(19.9%)」となっており、中小企業では災害への備えについてのノウハウが不足しがちであることから、こうした企業に対して周囲の関係者が支援を行う必要性があることがわかります。また、自然災害への備えにおいて「何から始めれば良いか分からない」と回答した企業のうち、自社の地域のハザードマップを見たことがある割合は28.9%にとどまっています。ハザードマップは各地方自治体などで公開されていることから自然災害対策を考えるにあたり、まずはハザードマップを確認することから始めるのが良いといえるでしょう。(つづく)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)