では、「中小M&Aガイドライン(第2版)、策定以降の動きはどのようになっているのでしょうか。そこで、2024年5月31日付で中小企業庁より公表された「中小M&Aガイドライン(第3版)改訂の方向性について」の内容に沿ってその動向をみていきましょう。
新しい資本主義実現会議における議論などを経て、ガイドライン改訂に向けた検討事項としては以下の6点が指摘されています。
1点目が「仲介・FA手数料に関する説明」です。中小企業向けに仲介・FAから提供される業務が手数料に見合っているか検討する上での考慮要素を示し、当該検討をもとに業者選定を行う重要性を明記することなどが示されています。
2点目が「広告・営業の禁止事項の明記」、3点目が「(仲介の場合)禁止される利益相反行為の具体化」です。仲介協会が策定した自主規制ルールや他業界における規律等をベースとしつつ、禁止すべき行為を提示することが示されています。
4点目が「最終契約後に当事者間で争いにつながるリスクがある事項への対応」です。中小企業に対して、最終契約後のリスク事項や、具体的なリスクを示すことなどが検討されています。
5点目が「経営者保証の扱いについて」です。M&Aの実施後の経営者保証の扱いについては、その解除又は移行が円滑になされない場合のリスクに備えて、譲受側に対してはガイダンスを行うとともに、譲受側、仲介・FA、M&Aプラットフォーマーに対し留意事項を示すことが検討されています。
6点目が「不適切な事業者の排除」です。仲介者・FA、M&Aプラットフォーマーに、譲受側候補に対する信用調査をできる限り多くの対象で実施することなどが検討されています。(了)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)