まず、第一に顧客のニーズに合わせ、自社の持っているサービスを提供するのは企業として当然のことだろう、ということです。その当然のことがこれまで地方銀行はできていなかったということなのでしょうか。つまり、地方銀行は顧客のニーズを考えずに、自分の都合を優先して、担保や保証に過度に依存して融資を行っていたのでしょうか。もし、そうだとすれば、企業としての根幹が崩れているのですから、そんな銀行は金融庁の指導を受けたところで、経営層をはじめとした幹部を抜本的に変えない限り、再生は不可能でしょう。
多分、そうではないのだと私は思います。地方銀行も当然、顧客のニーズを把握しその上で、顧客企業の発展のために貸し出しを行っていたのだと思います(その際、必要に応じて担保や保証を取るのは金融機関として当然のことです)。そうした貸し出しを行ってもなお地域が衰退していることが問題なのです。
次に、金融庁は地域の活性化のカギは依然としてカネにあると思っているように見えるところにあります。もしカネの付け方が問題であるなら、地域衰退の主因は地銀にあり、地銀が正しく行動すれば、地域も活性化するということになります。そうだとすれば、問題の所在も解決法も極めて簡単です。しかし、私は地方の衰退の主因がカネにあるとは思いません。カネではない、地銀の枠を超える人口減少やグローバル化などの様々な要因が作用して現在の状況を作り出しているから、解決が難しくなっているのだと思います。
地方銀行再生のビジネスモデルはお上が決めるのではなく、それぞれの地域の実情に沿い、自分の頭で考えるしかないのです。それができなければ、コスト削減のための再編しか残された道はなくなります。(了)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)