企業不祥事が発生すると、我々は安易にその原因を経営層の現場管理の怠慢に求めがちです。確かにそうした側面も否定できません。しかし、上記の我が国における仕事への熱意の低さを見ると、違う面からの検討が必要なのではないかとも思えます。つまり、管理を徹底しすぎることにより、現場の主体性が喪失し、現場における問題解決能力が低下する懸念です。
経営層がコンプライアンスを重視し、現場に監視カメラをつけたり、日常の行動を細かく管理したり、ミスをなくすために仕事のマニュアル化を徹底すれば、仕事が形式化し、現場従業員の主体性は失われ、やらされ感は増していきます。それが現場従業員のやる気を失わせ、不祥事につながるという考え方もできるのです。
企業により実態は異なり、取り組み方は変わってきて当然でしょう。ただ、不祥事が起きたときに、ただひたすらステレオタイプに現場に対する締め付けを強化しようとすると、現場の疲弊感は強まります。
今、「働き方改革」が叫ばれていますが、それは依然として生産性上昇を目指す上から目線からの改革です。しかし、今我が国で本当に必要なのは現場の主体性を重視した、仕事の熱意を高める、下からの「働き方改革」なのかもしれません。(了)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)