【時事解説】経営者保証解除のために経営者側に求められること その2

 経営者保証がなければ、カネを貸す金融機関の返済財源は会社財産に限定されます。会社財産及び損益の状況は決算書で表示されます。融資する金融機関としては決算書が最も重要な与信判断資料となりますから、決算書が正確でなければ困ります。適正でない決算書を提出され、それに基づき融資を行えば、だまされたことになります。そして、その会社が倒産してしまえば、金融機関はその責任を決算書の作成責任者である経営者に求めるのは当然です。経営者保証の解除は経営者に決算書の適正性をより強く要求します(当然ですが、決算書を意図的に改竄する粉飾決算などは論外です)。

 経営者保証の解除は経営者にとって望ましいことですが、経営者側にも相応の責任が求められることを忘れてはいけません。上述した、公私のけじめと適正な決算書の提出は、経営者保証解除のための最低限の要件だと思います。

 逆に言えば、その責務を誠実に履行している自信があれば、取引している金融機関に対して堂々と経営者保証の解除を要求することができると考えます。その上で、会社が倒産して、カネを貸している金融機関に焦げ付きが発生したとしたら、金融機関はその責任を自らの貸し手責任として引き受けるべきでしょう。そうなってしまったら、経営者も金融機関も採算性の悪い事業には早期に見切りを付け、新しい事業の開拓に向かう方が日本経済全体としてもプラスになると思います。

 そのためには、金融機関側は担保や保証は多ければ多いほどいいという発想を捨て去ると同時に、経営者側も経理と決算の透明性を確保することが不可欠なのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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