【時事解説】脱炭素化で増大する「電費」の重要度 その2

バイデン米政権が誕生し脱炭素が強化されるようになりました。世界的に電気自動車の普及促進が取り組まれています。その中、消費者にとって、電費(1kWhで走る距離、ガソリン車でいう燃費のようなもの)向上は、今後、様々な面でメリットをもたらすことが予想されます。

 一つは、電費向上が企業にとって商機になることです。たとえば、電費を向上させるには、より性能の高いモーターが必要です。モーターメーカーは売上向上のチャンスとなります。また、車内に搭載された、エアコンの消費電力を抑えるには、高断熱材が商機になります。このように、電費向上は様々な部品メーカーの商機になります。

 社会全体にとっても電費向上はさまざまなメリットをもたらします。電気自動車は二酸化炭素を排出しませんが、自動車を動かすための電力には、火力発電のように二酸化炭素を排出するものもあります。従って、電費をよくすることは、電力の消費量を減らし、結果、脱炭素に貢献します。

 また、将来的には電費向上は企業の収益に貢献する可能性もあります。菅政権が脱炭素の政策を掲げる中、現在、カーボンプライシングが検討されています。これは、名前の通り二酸化炭素に価格をつけ、排出量の多い企業には税や罰金という形でお金を負担してもらうというものです。具体的な方法は検討中ですが、ヨーロッパなどで採用されている排出権取引方式が日本でも用いられると、二酸化炭素排出が少ない企業は、排出の多い企業に二酸化炭素の枠を売ることができるようになります。つまり、電費向上をして、二酸化炭素の排出量を減らせば、その成果を収益に結び付けることができます。こうなると、電費向上は企業がお金を稼ぐための手段の一つにもなります。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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