財務省と税関当局が、金の輸出業務をしている商社と連絡会を設置し、密輸に関する情報交換を始めました。消費税の課税システムに便乗した金の密輸が増えており、来年10月に予定される税率引き上げが不正の悪化を引き起こす恐れがある中、犯罪組織に巨額の税金が流れることを防ぐため、現場の担当者らによる意見交換を基に実効性のある対策を講じたい考えです。
日本では金が消費税の課税対象になっており、金を正規で輸入しようとすると業者は税関で金の価格に対応する消費税を支払う必要があります。これを悪用し、香港など税金がかからない国・地域から金を密輸し、日本国内で売却すれば、販売相手からもらう消費税分が手元に残ることになります。税率が上がれば利ざやが拡大するという構図です。
こうした背景により、金の密輸摘発件数は2014年に消費税率を8%に上げてから急増しました。17年の摘発は1347件、押収量は6236キロに上りました。増税前の13年と比べると、件数が112倍、量は47倍になったことになります。もともと国内での金の産出量は年間数十トンですが、輸出量は14年に114トン、17年は215トンに達しています。密輸された金が商社など正規ルートを経由して輸出されている実態がうかがえます。財務省幹部は「犯罪組織に流れる税金は年間600億円以上に膨らんでいる可能性が高い」とみています。
財務省関税局によると、密輸される金は電子タバコの中に入るよう変形されていたり、メッキを施してアクセサリーになっていたり、インゴットを切断していたりと、さまざまに加工されています。金に課税する国の中でも日本は特に密輸が目立っており、財務省は消費増税でさらに標的化することを危惧しています。
<情報提供:エヌピー通信社>