今年6月末までの1年間に、日本に金を密輸しようとして全国の税関に摘発され、罰金や刑事告発といった処分を受けた件数が720件(前年度比約1.5倍)、脱税額が約15億円(同約1.7倍)で、いずれも過去最悪を記録したことが財務省の発表で明らかになりました。
金密輸の摘発は平成26年の消費税率引き上げを境に急増。25年度は8件でしたが、増税後の26年度に177件、27年度に294件、28年度に467件と急激な右肩上がりとなっています。
29年度の720件は4年前の90倍という異常な伸び率になっています。脱税額でみても3100万円から15億円にまで増えました。処分したもののうち、約96%(691件)が航空機旅客による密輸となっています。その隠匿手口は、これまで多く見られたサポーターを使って体に巻きつける手口などのほか、特殊な形態に加工して下着に隠匿したり、モバイルバッテリー内に隠匿して密輸しようとしたりするなど、巧妙な隠匿手口が新たに見つかっています。
密輸元は韓国、中国、台湾の順に摘発件数が多く、この上位3カ国・地域で全体の9割を占めました。
金は世界共通の価格で売買されていますが、日本での売買には消費税がかかるため、例えば1億円の金塊を外国で購入し、日本で売ると1億800万円を受け取れます。そのため海外から金を持ち込む者には、税関であらかじめ消費税分8%を納めることを義務付けています。しかし入国時に申告せずに税関をすり抜け、日本国内の買い取りショップに持ち込んで利ザヤを抜くビジネスが横行しています。
<情報提供:エヌピー通信社>