消費税率引上げに伴う31年経過措置の原則
はじめに
「消費税法の一部改正に伴う(平成28年改正法3)」の規定による複数税率による改正後の消費税(以下「31年新消費税法」といいます。)は、平成31年10月1日から施行されますので、平成31年10月1日以後に期限が到来する申告にあたっては、8%(以下「旧税率」といいます。)が適用されるものであるか、8%(軽減税率)又は10%(標準税率)(以下単に「新税率」といいます。)が適用されるものであるか、その税率の切り換え時点については慎重に区分計算する必要があります。
そこで本稿では、消費税率の切り換えに伴う31年経過措置の原則の概要と実務上の留意点について解説します。
Ⅰ 31年経過措置の原則
31年新消費税法は、平成31年10月1日(以下「31年施行日」といいます。)以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等並びに31年施行日以後に国内において事業者が行う課税仕入れ等に係る消費税について適用され、平成26年4月1日(以下「26年施行日」といいます。)から31年施行日の前日までの間に国内において事業者が行った資産の譲渡等及び課税仕入れ等に係る消費税については、なお従前の例によることとされています(新平成28年改正法附則15)。
なお、31年施行日以後に行われる軽減対象資産の譲渡等については、軽減税率が適用されます(31年経過基本Q&A問1)。
Ⅱ 31年施行日前の契約に基づく取引
31年施行日の前日までに締結した契約に基づき行われる資産の譲渡等及び課税仕入れ等であっても、31年施行日以後に行われるものは、原則として、その資産の譲渡等及び課税仕入れ等について新税率が適用されます(31年経過通達2)。
Ⅲ 31年施行日の前日までに購入した在庫品
31年施行日の前日までに仕入れた商品を31年施行日以後に販売する場合には、原則として、その販売については新税率が適用されますが、商品の仕入れについては施行日の前日までに行われたものですから、課税仕入れに係る消費税額は旧税率が適用されます(31年経過通達3,31年経過基本Q&A問2)。
(今月の税務トピックス②につづく)