国税庁は、2016年度の相続税物納申請状況等を公表しました。
それによりますと、2017年3月までの1年間の物納申請件数は140件となり、前年度から10件増加し、金額では325億円となり、前年度の69億円を上回りました。
相続税は、金銭による一括納付が原則ですが、財産課税という性格上、延納によっても金銭納付が難しい理由がある場合は、一定の相続財産による物納が認められております。
物納申請件数は、バブル崩壊後の1990年度以降、地価の下落や土地取引の停滞などを反映して著しく増加しました。
それまで年間400から500件程度が、バブル期の地価急騰及びその後の地価急落で、路線価が地価を上回る逆転現象が起こり、土地取引の減少から土地を売ろうにも売れず、1990年度に1,238件、1991年度に3,871件、そして1992年度には12,000件台まで増加しました。
その後、事前に相続税額を試算して納税準備をするなど相続開始前から納税対策を行う納税者が増えたことなどもあってか、1999年度以降は年々減少しました。
2016年度の申請件数は、ピーク時1992年度(1万2,778件)のわずか0.01%、金額でも同じくピーク時1992年度(1兆5,645億円)の0.02%にまで減少しました。
処理状況をみてみますと、前年度からの処理未済を含め前年度から64件増の175件、金額では同89億円増の135億円を処理しました。
年度末での処理未済件数は、同35件減の53件、金額では大口申請もあって、同190億円増の260億円に増加しました。
なお、2016年度の相続税の延納申請は、前年度比3.4%増の1,423件、同19.4%増の524億円となりました。
処理状況をみてみますと、前年度からの処理未済を含め同7.9%増の1,392件、同19.0%増の494億円を処理しました。
年度末の処理未済件数は、同7.8%増の428件、同21.6%増の169億円に増加し、処理の内訳は、全体の約76%の1、060件が許可され、延納不適格として26件が却下、残りの306件は納税者自らが延納申請を取り下げております。
(注意)
上記の記載内容は、平成30年1月12日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。