相続税の取得費加算の特例とは
土地を多く所有する地主の場合、多額の相続税が見込まれ、保有している現金だけでは相続税を支払えないケースが想定されます。このような場合には、土地を売却して納税資金を確保しますが、相続により取得した土地を相続税の申告書の提出期限の翌日から3年以内(相続開始の日の翌日から3年10ヶ月以内)に譲渡した場合には、土地について納めた相続税額を取得費に加算して譲渡所得の金額の計算をすることができます〔措法39(1)、措令25の16〕。
改正の内容
現行制度では取得費に加算する金額は、『その者が相続で取得した全ての土地等に対応する相続税相当額』と規定されていました。そのため土地については、売却した土地に対応する相続税だけでなく、他の売却しない土地にかかる相続税も売却した土地の取得費に加算でき、土地を多く相続した場合には、譲渡所得税を大きく削減できました。
今回の税制改正大綱では、『その譲渡した土地等に対応する相続税相当額』に縮減すると記載されています。そのため、相続した土地を売却した場合に、納めた相続税を取得費に加算できるのは、「売却した土地に対応する相続税だけ」となります。
この相続税の取得費加算の特例の改正は、平成27年1月1日以後の相続により取得した土地等について適用されます。