茨城県那珂市は4月2日、市民税などを滞納した会社の預金口座を差し押さえる際、誤って同名の別会社の預貯金を差し押さえていたことを公表しました。会見した海野徹市長は「関係する方々に深くおわびする」と陳謝しています。
滞納をしていたのは水戸市の会社で、那珂市に住民票のある従業員1人について、給与から源泉徴収する個人市民税・県民税を6万4千円分納めていませんでした。市は滞納分の徴収のために金融機関に会社の口座を照会し、その際に金融機関は誤って同名の別会社の口座について回答してしまったそうです。しかし市は住所の確認を怠り、そのまま預金を差し押さえたとのことです。誤徴収された会社が預金の不足に気付いて発覚し、市は全額を返金しました。誤った差し押さえによる損害が今後生じれば、賠償に応じるとしています。
自治体の人違いによる同名別人の差し押さえは全国で起きています。昨年7月には熊本市が、固定資産税の滞納を巡って同姓同名の別人の預金を差し押さえるというケースがありました。また9月にも神奈川県茅ヶ崎市で、同姓同名で生年月日も同じ別人の生命保険解約返戻金を差し押さえるミスが発生しています。差し押さえのミスによって損害が生じれば、その賠償もまた税金で賄われることになるだけに、徴収事務に携わる自治体の意識の低さが露呈していると言われてもやむを得ないところです。
<情報提供:エヌピー通信社>