金融機関から融資を受ける際に経営者の個人保証を外すための基準を示した「経営者保証に関するガイドライン」に関して、金融庁が取りまとめた活用実績によると、2017年度に経営者の保証を求めた融資の割合は全体の83.7%に上っています。また、金融庁の実態調査では、事業承継時に旧経営者との保証契約を解除せず、新経営者とも保証契約を締結する「二重徴求」についても取り上げています。2017年度の二重徴求の件数は2万241件で、調査対象の4割に及んでいます。
実態調査では金融機関の事業承継の組織的な取り組みを、二重徴求の割合が低い金融機関と高い金融機関とで比較しています。金融庁は「新経営者に対する保証徴求割合は、全般的に概ね高い傾向を示す一方、旧経営者の経営関与が弱い先における旧経営者の保証徴求の割合が高いほど、二重徴求の割合が高い傾向が見られた。そのため、旧経営者における対応が二重徴求において影響が強いといえる」としています。
二重徴求の割合が高い金融機関について「事業承継時における行内規定の内容が具体的ではなく、ガイドライン本文の内容をそのまま規定に落とし込むなど記載内容が不十分であることや、二重徴求に対する問題意識が行内に浸透しておらず、特段の対応も行っていない」としています。
一方、二重徴求の割合が低い金融機関について「経営トップ主導のもと、二重徴求の原則禁止や、旧経営者への保証が第三者保証に該当する可能性があることを踏まえて、代表権の有無や株式保有割合等をもとに事業承継時の具体的な保証徴求基準を定めている」と分析しています。
<情報提供:エヌピー通信社>