では、中小企業において、具体的にどのような業務プロセスの見直しによる生産性向上の取組がみられるのでしょうか。そこで「中小企業白書2018年版」において、業務効率化を実現させ生産性を向上させた企業として紹介された株式会社小豆島国際ホテル(本社:香川県土庄町)の事例についてみていきましょう。
株式会社小豆島国際ホテル(従業員125 名、資本金1億円)は、1963年創業の客室120室のリゾートホテルを運営する事業者です。 小豆島では少子高齢化と人口減少が進む状況において、同社が今後も人材を確保し続けていくためには、生産性向上を進め労働条件を整備していくことが重要だと考えていました。
そこで同社では、外部の経営コンサルタントを活用し業務の見直しを進めました。総支配人のリーダーシップのもと、業務改善に意欲的な従業員とコンサルタントで構成するチームを編成して客室整備業務等における既存の業務の無駄を洗い出し、不要業務の廃止や見直しを行いました。 例えば、一部客室に急須の設置をやめてマグカップとスティック茶に簡略化を行った結果、急須の漂白時間が短縮され、年間で30 時間程度の業務時間の削減につながりました。このように業務の必要性を精査し、廃止や見直しを進めることによって、年間で1,800時間もの業務時間の削減効果が得られました。 さらに、一連の取組をきっかけに従業員が自発的に改善提案を行う風土が広がったことで、個々の従業員の創意工夫が発揮され顧客対応も改善しました。
このように業務プロセスの見直しを進めることは、業務の効率化だけでなく付加価値向上や人材確保の効果ももたらすのです。(了)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)