では、中小企業において、具体的にどのような先端技術を用いたIT活用の取組みがみられるのでしょうか。
そこで「中小企業白書2018年版」において、AIを活用した事例として紹介された株式会社伝習館(本社:鳥取県鳥取市、従業員47名)の事例についてみていきましょう。
株式会社伝習館は、鳥取県全域で小中高生向けの学習塾を展開する企業です。同社では2017年12月より、e-ラーニングによる教育サービス事業を行う、株式会社すららネットが開発したAIを活用した対話型のデジタル教材「すらら」を導入しました。「すらら」の特徴として、AI機能の搭載により生徒一人一人の回答パターンから弱点を解析して最適な問題を選んで出題するなど、生徒一人一人に合った対応をしつつ、学習意欲向上を促す対話を行う点があげられます。「すらら」の導入で予習をしてくる生徒が増えたことから、予習の有無で生徒の理解度に差が出るという問題が解決され、全体的なボトムアップが図られました。
また、「すらら」には、復習用の小テストもあらかじめ用意されているため、講師が小テストを準備する手間や時間が省けるようになったことから、その分の時間を個々の生徒の指導やその準備等に充てることができ、サービスの質を高めることができています。また、クラウドを活用しているため、生徒の自宅での学習状況をオンタイムで講師が確認することができ、生徒に対する励ましを適切なタイミングですることができる点が、従来型のICT活用教材とは大きく異なっています。
このように中小企業においてもAIなどの先端技術の活用によって業務の効率化を図りつつサービスの質を向上させることが可能となるのです。(了)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)