【時事解説】無電柱化による防災効果とは その2

台風により大規模停電が発生し、注目を集めるようになった「無電柱化」。電線を地中に埋めて、電柱をなくすことで、防災が図れると期待が高まります。ただ、埋没させるには多額の費用がかかり、なかなか進んでいません。

 その中、少しずつではありますが、千葉、埼玉、神奈川などの多くの自治体で電線の地中化を進めています。特に、東京都の小池知事は2016年の都知事選で「都道電柱ゼロ」を公約に掲げ、ライフワークとして取り組み、成果も見えはじめています。具体的には、整備対象となる都道の2328キロメートルのうち、935キロメートルが電線を地中に埋めることができました。これは対象全体の40%に相当します。さらに、この先は都道だけでなく、区市町村が管理する道路でも無電柱化を進められるよう、2019年度の予算では促進するための補助をはじめています。

 最大の課題はコスト削減です。地下にはガスや上下水道などが埋設されているので、これらを避けながら電線を埋設しなければなりません。手数がかかることもあり、通常の道路工事よりもはるかに工事費が高くなります。ただ、コストの問題は解決に向かって進んでいます。現在、費用は1キロメートル当たり4~5億円かかりますが、10年後には約3分の2程度になるよう、技術革新が進んでいます。

 外国の都市では無電柱化が進んでいるところが多くあります。ロンドンやパリではすでに100%になっており、アジアでもソウルやジャカルタでは4割程度の電線が地中に埋没されています。無電柱化は防災だけでなく、景観をよくする効果もあります。多くの自治体が望む無電柱化。コストの問題にどれだけ取り組めるかがカギとなります。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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