【時事解説】コミットメントラインの会計的メリット その1

銀行には「コミットメントライン」という商品があります。コミットメントラインとは企業が銀行と結ぶ融資契約枠のことです。コミットメントライン契約を結ぶと、あらかじめ契約した融資期間と融資金額の範囲内で、企業から要請があると、銀行は融資をしなければなりません。コミットメントラインの特色は、銀行は実際の融資がなくても、融資契約枠そのものに対して、手数料を取るところにあります。無論、融資を行えば、その融資金額に対して利息を取ります。考えようによっては、企業は融資枠と融資金額の両方にコストが発生しますから、単純な融資に比べて割高になるように思われます。なのに、どうしてコミットメントライン契約が利用されるのか、会計的に考えてみましょう。

 企業にとって、資金繰りは重要です。当座の資金繰りに詰まり、支払資金が不足したために、約束した期日に約束した債務が支払えなくなってしまうと、他にいくら資産があっても、倒産という事態もあり得ます。資金を遊ばせておくのは無駄ですから、できるだけ有効に使いたいとは思うのですが、万一のことを考えたら、資金繰りをギリギリにしておくのは危険です。したがって、資金繰り担当者は余裕を持った資金繰りを心がけるのが常です。

 たとえば、借入金で運転資金を調達する企業は、借入金を実際に必要とする資金より多めに借り入れて預金に預け入れておきます。その結果、必要以上に資産と負債は膨らんでしまいます。そこでコミットメントラインの出番になります。もし、コミットメントライン契約を結んでおけば、必要なときにはすぐ資金を借り入れることが可能になりますので、ギリギリまで借入金を絞り、資産と負債を圧縮することができるからです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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