最近、銀行経営が行き詰まっているという話題が雑誌や新聞でよく取り上げられます。その主因は成長鈍化やカネ余りで銀行の主たる収益源である貸出金の利ザヤが縮小していることにあり、日銀のマイナス金利政策もそれに追い打ちをかけています。
そんな中でも、都市銀行は集約化が進み、資本力や人材も豊富で、海外展開をしていることもあり、何とか苦境を切り抜けられるのではないかと見られています(それも確かではありませんが)。問題は地方銀行です。日本全体の人口減少が進む中で、東京の一極集中は加速していますから、地方の人口減少は一層深刻です。地方銀行はその成り立ち上、地元の企業や個人への貸し出しをビジネスの主力とせざるを得ず、それに代わる収益機会を持たないだけに、状況は誰が考えても深刻です。
そこで監督官庁である金融庁は地方銀行に対して色々な指導をしています。たとえば、地域の企業がどのような金融サービスを求めているか、企業側のニーズを把握し、企業のニーズと地銀の意識のズレを分析し、企業活性化に役立つ金融サービスを行う、といったことのようです。これまで担保や保証に過度に依存し、柔軟な融資を行ってこなかった地方銀行が地元企業にその企業のニーズに合った融資等の金融サービスを行うことで、地盤である地域が活性化すれば、地方銀行も再生するというシナリオです。このように聞くと、もっともなように聞こえますが、この手の金融庁のニュースを聞くたびに私は違和感を覚えます。(つづく)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)