【時事解説】VUCA時代のリーダーシップとは その1

最近、「VUCA(ブーカ)」というキーワードが注目されています。これは「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(多義性)」の頭文字を連結した言葉です。もともとは軍事用語として用いられていました。この言葉が生まれた背景には、アルカイダのような非国家が前面に出たことで、過去の常識は通用しなくなったことが一つとしてあります。その後、世の中は落ち着きを取り戻したものの、コロナ禍で再び不確実性が高まり、VUCAが注目されたのです。

 コロナ禍では常識が覆され、世界が一変しました。先の見えない現在、まさにVUCAの時代です。VUCAの時代では、これまでの基準が変わり、良いとされていたものが必ずしも良いとは限らなくなっています。

 一例を挙げると、リーダーシップのあるべき姿がそうです。従来、リーダーシップというと、カリスマ性を備え、先頭に立って部下を率いるタイプがもてはやされる傾向がありました。ただ、VUCAの時代では、変動性や不確実性が高くなったため、リーダーの要素としては、いかに迅速に変化へ対応できるかといった能力がより重要になっています。

 具体的に、どのようなリーダーが変化に対応しやすいのでしょうか。一つに、「羊飼い型リーダーシップ」があります。これは、ハーバード・ビジネススクールのリンダ・ヒル教授が提唱したリーダーのあるべき姿です。「羊飼い型」と銘打たれているように、リーダーは群れの後方に位置して、全体をつかさどります。後方にいる方が、全体がよく眺められ、変化への対応が迅速になります。これまでとは全く異なるリーダーのスタイルが危機を救うには適しているのです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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