【時事解説】地域おこし協力隊による事業引継ぎについて その2

では、地域おこし協力隊による事業引継ぎを活用した取組みとしては具体的にどのようなものがあるのでしょうか。そこで「後継者マッチング支援事業」の取組みを推進している島根県浜田市の事例についてみていきましょう。

 浜田市が2017年に実施した「事業承継に関するアンケート調査」によると、同市における60歳代以上の経営者の割合が68.6%を占め、「自分の代で清算・廃業するつもりと回答した企業」は42.2%に上っており、後継者不在による廃業の問題を抱えています。

 こうした状況を踏まえ、意欲溢れる人材を積極的に受け入れ、地域に蓄積されたノウハウや技術といった企業価値を次世代に受け継ぎ地域経済の活性化を図るため、後継者不在の市内事業所の事業引継ぎを目的とした地域おこし協力隊員を募集しています。隊員の活動は、市内事業所の後継候補者として事業承継(市内事業所の事業を譲り受けた起業も含む)を行うこととされ、2019年度に2名の募集が行われました。

 活動内容としては、委嘱日から最大1年6ヶ月間を「後継者マッチング期間」として位置づけ、この期間に商工団体の補助的な業務に従事しながら事業承継の知識や地域の実情について学びつつ、後継者不在の事業所と積極的にコミュニケーションを図り、後継候補者として研修する事業所を決定していきます。

 研修先事業所の決定以降は「研修期間」として位置づけ、研修生として後継者不在の事業所に従事しつつ「事業承継計画書」を作成していきます。

 このように、地域おこし協力隊のスキームを活用して後継者不在の中小企業の事業承継を推進していくことが期待されているのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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