奨学金の代理返済で節税効果

学生時代に借りた奨学金を本人に代わって勤務先企業が返済できる新制度を、日本学生支援機構が4月にスタートさせます。代理返済をした企業にとっては、援助した金額を損金に算入して節税できるほか、同機構のウェブサイトで社名を公表することで社会貢献のPRにもつながります。

 多額の返済負担が社会人となってからの生活を圧迫するケースは珍しくありません。機構の調査によれば、奨学金を返済している社会人は現在450万人いて、そのうち5人に1人が返済を滞納したことがあるそうです。延滞した理由は「家計の収入が減った」が67.1%で最も多く、その後も延滞を継続してしまう理由は「本人の低所得」が64%と群を抜いていました。返したくても返す余裕がないという若者は多い状況です。

 奨学金の返済苦が社会問題化していることを受け給与に上乗せする形で返済を支援する企業も増えつつあります。しかしこのやり方では、会社側は支援分を給与として損金に算入できますが、支援を受けた本人は所得税の負担が増えてしまいます。

 今回、機構が打ち出した制度では、企業が機構に直接返済をできるようにするというものです。従来のやり方に比べて、本人の給与とならないため所得税が非課税となる点が特徴。また会社にとっては代理返済した分が損金となるため、法人税の節税になることに加え、制度に登録した企業は機構のホームページで公表されるため、社会貢献のPRになり、優秀な人材確保につながるなどのメリットがあります。そして何より、社員本人の返済不安を解消することで業務に与えるポジティブな影響が一番の恩恵かもしれません。

<情報提供:エヌピー通信社>

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