<ケース2>粉飾の黒字倒産
しかし、話はこれで終わりではありません。黒字倒産と言われるものの第2のケースが考えられます。損益計算書の黒字あるいは貸借対照表の自己資本がまやかしの場合です。
たとえば、損益計算書の売上高が粉飾であったとしたら、売掛金は架空のものになります。そうなると、売掛金を貸借対照表の額面どおり回収することは不可能ですから、銀行は融資できません。もし、銀行がだまされて融資してしまえば、返済財源が不足し銀行の貸出金は焦げ付いてしまいます。
あるいは、損益計算書の利益は正しいとしても、土地などの資産に含み損があり実質的に債務超過になっていれば、やはり融資金の返済財源は不足しますから、銀行は融資を渋るでしょう。こうなると、倒産もやむなしといえますから、この場合は“倒産”が正しく、“黒字”が間違いだといえます。
<ケース2>の粉飾は論外であり、外部からの手助けにより救うことは難しくなりますが、<ケース1>の場合は倒産させてはいけません。そのためには、損益だけを見るのではなく、資金管理(資金繰り)が重要になります。損益と資金管理は経営の両輪です。そのことを経営者は再認識しなければなりません。(了)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)