もう一つ、物価上昇に関して、日銀と国民感情が離れていると感じるのは物価指数の一つである「コアコアインフレ(CPI)」の重視です。
発表される消費者物価指数(CPI)には次の3種類があります。すべての物価を包含する「総合CPI」、生鮮食品を除く「コアCPI」、そして、生鮮食品とエネルギーを除く「コアコアCPI」です。生鮮食品とかエネルギーは気候や国際情勢に大きく左右されるので、日銀はそれらを除くコアコアCPIを重視するといっています。しかし、庶民とすれば、毎日消費する食品とエネルギーこそが物価の中核です。それを外した指標が低いから、まだまだ物価が上がるべきだという日銀の主張は庶民離れしていると言わざるを得ません。
一般庶民はいつの時代も低い物価を望んでいます。その物価の上昇を目指すインフレ目標を国民に納得してもらうことは容易ではありません。物価が上昇すれば、どういう経路で我々の生活が豊かになるか、筋道を立てて根気強く説明することが求められます。
リフレ派が主導するインフレ目標(デマンドプル型)には、当初からその論理的な妥当性に疑問を呈する意見は根強くありました。実現可能性の困難さに加え国民に対する訴求力のなさを考えると、日銀はいつまでもインフレ目標に固執しない方がいいのではないかと思います。(了)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)