中小企業の後継経営者には経営環境の変化に的確に対応しつつ、事業承継を契機に成長分野に向けた大胆な事業再構築を図ることが求められています。そして事業再構築を成功させるうえでは先代経営者や従業員との関係も重要です。
中小企業庁編「中小企業白書2023年版」では、事業承継を契機とした事業再構築を進めるうえでの課題や、先代経営者や従業員との関係に関するアンケート調査の分析を行っています。
まず、事業再構築を進める上での課題について回答割合の高い順にみると、「人材の確保(54.2%)」、「新たな技術・ノウハウの獲得(47.2%)」の順となっており、事業再構築を行う上で人材や新しい技術などを求めていることがわかります。
次に事業承継後の意思決定の状況別に、事業再構築の取組状況をみると、「主に後継者が意思決定を行っている」企業は、「主に先代経営者が意思決定を行っている」企業と比べて、事業再構築に取り組んでいる割合が高くなっています。
さらに従業員からの信認状況別及び事業再構築の取組状況別に、売上高年平均成長率の分布をみると、従業員から信認を得ており、かつ事業再構築に取り組んでいる企業は売上高年平均成長率の水準が最も高い傾向にあります。
先代経営者や従業員から理解を得るための取組について回答割合の高い順にみると、「現経営者自ら率先して行動する姿を見せた(58.8%)」、「現経営者自ら、取組の意義やメリットを継続的に発信した(46.1%)」の順となっています。このことから、後継者が事業再構築を進める際には、後継者自ら積極的に行動する姿勢を示す取組などを通して、先代経営者や従業員から理解を得ていくことが重要となることがわかります。(つづく)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)