【時事解説】競争力のある企業が進めるDEI経営とは その1

 近年、ESG経営やマルチステークホルダー経営など、時代の流れに沿った「○○経営」を目にする機会が増えました。背景には、企業は自社の利益を追求するだけでなく、社会の公器として、どのように活動するかが問われる時代となったことがあります。

 こうした流れの中で、ここ数年、注目されているのがDEI経営です。DEIは、ダイバーシティ(D:多様性)、エクイティ(E:公正)、インクルージョン(I:包摂・ほうせつ)の頭文字をとったものです。ダイバーシティ(多様性)とエクイティ(公正)は馴染みがありますが、インクルージョン(包摂)については一般的な言葉ではありません。

 包摂は哲学などで用いられる言葉で、辞書には、「いろいろな人が個性・特徴を認めあい、いっしょに活動すること」とあります。ダイバーシティは、人種・性別・宗教・価値観などさまざまに異なる属性を持つ人々が、組織の中で共存することを意味します。包摂はさらに一歩進んで、こうした人々がお互いの個性や特徴を認め合い、受け入れ、共に行動することを意味します。

 DEI経営では、まず、企業のトップが方向性を示すことが必要です。実現には、社内設備や制度を整え実践することが求められます。具体策には、障がい者に向けたバリアフリー化、多言語対応、同性パートナーシップ制度、さらには不妊治療の補助などが挙げられます。

 世界では、DEIに関する市場は2022年の94億ドルから2030年までには244億ドルへと拡大するという予想もあります。DEI経営はイノベーション創出や人材獲得、定着に有効だといわれているため、投資に対するリターンが見込めると考える企業も多くあります。こうした流れに乗り成長の源にしようとする動きもあり、実際、業績を伸ばす企業が増えているといわれています。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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