【時事解説】経営者保証を不要とするために その1

 経営者保証とは主として中小企業において、経営者個人(多くの場合は社長)が自ら経営する会社の借入金の返済を保証するものです。経営者保証の存在は、万一の場合、経営者の個人資産までなくなってしまうのですから、個人生活を脅かします。それは同時に、企業家のリスク挑戦意欲の減退を招き、経済活性化の妨げにもなります。今回は経営者保証の今後の方向性について考えてみます。まず、保証を取る銀行側の事情から見てみましょう。

 体制が確立されている大企業は別として、組織が未熟な中小企業への融資に際し、銀行融資の審査ポイントとして重視すべきは、人(経営者)なのか事業なのか、ということは古くから大きなテーマでした。人の重要性を強調する論者は、経営者の信用は事業成功の大きな要因であること、そして、もし万一事業に失敗しても、信用できる経営者であれば、借入金の返済についても誠実な対応が期待できる、といったことを主張します。一方、事業の方が重要だという人は、融資の返済は直接的には融資対象である事業から行うのだから、経営者の人格など関係なく、事業の状況や将来性だけに焦点を絞るべきだとします。

 日本の銀行では昔から、「人を見て融資をしろ」というようなことがよく言われました。最終的には人(経営者)の信頼性が重要だということになれば、事業の現況や収益予想を気にかけるより、経営者の健康状態、精神状態、あるいは家族の状況などが重要になります。その延長線上に、「最終的には私財を投じても返済してもらう」という経営者保証が存在し、広く普及したと考えられます。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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