【時事解説】中小企業におけるM&A成立後の統合作業 その1

 中小企業のM&Aにおいて、買い手企業側が円滑な組織融合や期待した効果の発現等を懸念する中、M&A成立後のPMI(Post Merger Integration)を通した円滑な統合が求められます。
 中小企業庁編「中小企業白書2023年版」では、中小企業におけるPMIの現状等に関して実施したアンケート調査に基づき分析を行っています。

 まず、M&Aを実施した企業を対象に、PMIの検討開始時期別に、M&Aの満足度についてみると、PMIを「基本合意締結前」に検討した企業は、「基本合意締結後~クロージング完了後」に検討した企業や「検討していない」企業と比較して、M&Aの満足度が高くなっています。
 次に、買い手としてM&Aを実施した企業を対象に、M&Aの目的・戦略の明確化状況別にM&Aの満足度をみると、M&Aの目的・戦略を「自社と相手先の双方で明確にしていた」企業は、「自社のみで明確にしていた」企業や、「自社と相手先の双方とも明確にしていなかった」企業と比較して、M&Aの満足度が「期待以上」となっている割合が高くなっています。

 さらに買い手としてM&Aを実施した企業を対象に、M&Aの目的・戦略を明確化した状況別に売上高成長率をみると、M&Aの目的・戦略を「自社と相手先の双方で明確にしていた」企業は売上高成長率が2.0%のプラスとなっています。一方で、「自社と相手先の双方とも明確にしていなかった」企業は、売上高成長率が1.0%のマイナスとなっていることから、M&Aの目的・戦略を買い手企業と売り手企業双方で明確にしておくことが、企業の成長にもつながると考えられます。

 このように、買い手企業と売り手企業双方でM&Aの目的や戦略を明確化することが重要となるのです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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