デジタル赤字という言葉を耳にする機会が増えました。デジタル赤字とは、その国のデジタル関連のサービスや商品について、輸入する額が輸出額を上回り、収支が赤字になることを指します。
実際のデジタル赤字で対象となるサービスや商品は、パソコン用基本ソフト(OS)や動画のサブスクリプション、ウェブサイトの広告取引、コンサルティングサービス、著作権使用などがあります。
デジタル関連のサービスは、GAFAMを代表とする米国の大手IT企業が高いシェアを誇っています。パソコン用基本ソフト(OS)に関する代表的な提供企業としては、マイクロソフトやアップルが挙げられ、それぞれWindowsとmacOSを提供しています。日本でも多くの人が利用しています。
また、最近では、動画サブスクリプションサービスで映画などを楽しむ人が増えました。提供企業には、ネットフリックスやアマゾンプライムビデオ、ディズニープラスなどがあります。そのほか、ウェブサイトの広告取引ではグーグル広告、コンサルティングサービスのマッキンゼー・アンド・カンパニーなどがあります。
いずれもアメリカ合衆国に本社を構えており、グローバル市場において圧倒的な影響力を持っています。こうしたことから、日本のデジタル赤字は今後も増えていくと予想されます。
既に、2023年の収支はマイナス5.5兆円の赤字、2014年はマイナス2.1兆円だったことから10年間で赤字額は2倍以上に拡大しています。円安の影響もありますが、デジタル赤字の額は、ドイツやスイスよりも大きくなっています。
デジタル赤字の規模は日本経済にとっても、無視できない大きさになりつつあること、なによりデジタル赤字が膨らむということは、日本のデジタル競争力の弱さを象徴している点を問題視する声もあります。今後も増えるデジタル赤字にどう対処するか、今、日本は問われています。(つづく)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)