国税庁は、2016事務年度の海外取引法人等に対する調査事績を公表しました。
それによりますと、2016事務年度(2017年6月までの1年間)において、海外取引法人等に対する調査は1万3,585件(前事務年度比4.1%増)行われ、そのうち24.5%に当たる3,335件(同0.8%減)から海外取引等に係る非違を見つけ、2,366億円(同2.5%増)の申告漏れ所得金額を把握しました。
そのうち500件(同14.2%増)は、租税回避行為など故意に不正計算を行っており、その不正所得金額は206億円(同23.4%増)にのぼりました。
調査事例として、架空経費を計上して不正資金を海外に送金していた工場用機械装置を設・製造・販売するA社があり、国外送金等調書を端緒に調査した結果、A社は知人のY国のBと共謀し、架空の業務委託費を計上して捻出した簿外資金をX国にあるB名義の個人口座に送金していたことが判明しました。
A社に対しては、6年分の法人税申告漏れ所得4億5,300万円について1億5,700万円を追徴課税しました。
一方、経済取引の国際化に伴い、企業や個人による国境を越えた経済活動が複雑・多様化するなか、国税庁では非居住者や外国法人に対する支払(非居住者等所得)について、源泉所得税の観点から、重点的かつ深度ある調査を実施しております。
外国法人に対する工業所有権等の使用料や人的役務提供事業の対価などの支払について、源泉徴収を行っていなかった事例も多く見受けられました。
2016事務年度では、給与等や使用料、人的役務提供事業などについて国際源泉所得税の課税漏れを1,556件(前年度比1.9%増)見つけ、42億5,300万円(同75.0%減)を追徴課税しました。
国際源泉所得税の非違の内訳(追徴本税額2,000万円以上)は、「使用料」に係るものが30%を占めて最多、以下、「人的役務提供事業」が26%、「給与等」が18%、「不動産賃貸等」が10%、「利子・配当」が8%、「不動産譲渡」が4%となりました。
(注意)
上記の記載内容は、平成30年3月9日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。