住宅リフォーム減税の工事証明書は1種類で可能へ

すでに住宅リフォーム減税に関する工事証明が1種類の証明書で行えるようになっております。
 これまでは、耐震改修と省エネ改修を行い、所得税と固定資産税の両方の特例措置を受けようとする場合には、住宅耐震改修証明書、増改築等工事証明書、固定資産税減額証明書の3種類の証明書が必要でしたが、2017年4月以降は、増改築等工事証明書(又は住宅耐震改修証明書)の1種類の証明書があれば特例に申請が可能になりました。

 これまでのリフォーム減税に係る工事証明書は、減税を受ける税目や、施行した工事内容によって異なる様式が定められており、複数の減税を申請する場合は手続きが煩雑で、3月までは、耐震改修では住宅耐震改修証明書(所得税)・固定資産税減額証明書、省エネ改修では増改築等工事証明書(所得税)・熱損失防止改修工事証明書(固定資産税)、バリアフリー改修及び同居対応改修は増改築等工事証明書の4種類の指定がありました。
 そこで、住宅リフォーム減税制度の利用促進を図るため、増改築等工事証明書・住宅耐震改修証明書の2種類に統一しました。

 耐震改修に係る特例については、建築士等だけでなく地方公共団体の長も工事証明書の発行が可能なため、その際の工事証明書は、増改築等工事証明書ではなく住宅耐震改修証明書となります。
 2017年度税制改正で創設された「長期優良住宅化リフォーム」も増改築等工事証明書での特例申請となります。

 「長期優良住宅化リフォーム」とは、2017年度税制改正で創設され、既存住宅の長期優良住宅化促進のため、耐震・省エネリフォーム減税の特例を拡充し、同特例の適用対象となる工事に特定の省エネ改修工事と併せて行う一定の「耐久性向上改修工事」を加えるとともに、税額控除率2%の対象となる住宅借入金等の範囲に、特定の省エネ改修工事と併せて行う一定の「耐久性向上改修工事」の費用に相当する住宅借入金等を加えたものです。
 なお、耐震改修や省エネ改修、長期優良住宅化リフォームで、所得税と固定資産税の両方の特例措置を受ける申請をする場合には、それぞれの申請に証明書の写しを用いることはできず、同じ証明書を2通発行する必要がありますので、該当されます方は、あわせてご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年12月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

従業員が「iDeCo」 加入時に行う事業主の手続

◆改正を契機に加入者増加
 平成29年1月から改正確定拠出年金法の施行により個人型確定拠出年金(通称iDeCo)は基本的に20歳以上60歳未満のすべての方が任意で加入できるようになりました。
 この改正により、平成29年に入ってから加入者が大幅に増加しており平成29年6月時点における加入者数は54万9943人と前年比203.8%となっています。

◆iDeCoの仕組み
 iDeCoは、公的年金に上乗せして給付を受ける私的年金の1つであり、加入者の老後の所得確保の一助となる制度です。
 加入者が自ら定めた掛け金を拠出・運用し、原則60歳以降に掛け金とその運用益の合計額を基に給付額が決定し、受ける仕組みです。
 厚労省では、従業員がiDeCoへの加入を希望した場合に速やかに加入できるよう、事業主への協力を呼び掛けています。

◆事業主が行う事務手続きとは
 企業で働く従業員がiDeCoに加入する際、は事業主が行わなければならない事務手続が発生します。その手続は次の通りです。
(1)事業所登録
 加入者となる従業員(会社員等の2号被保険者)を雇用する事業所は国民年金基金連合会(国基連)に事業所登録を行います。
(2)事業主証明書の記入
 加入を希望する従業員から提出される事業主証明書に必要事項を記入します。
(3)事業主証明(年1回)
 年に1回、国基連加入時に得た情報を基に加入者の確認を行いますが、その際に事業主証明が必要となります。
(4)事業主払込の場合の掛金納付
 加入者が給与天引きで事業主払込を希望した場合は源泉徴収の際に掛け金を控除します。そして事業主から国基連に納付します。
(5)年末調整
 所得控除がある為、加入者が個人払込を選択した場合は年末調整が必要です。本人から小規模企業共済等掛金払込証明書を提出してもらいます。
 このように従業員が個人型確定拠出年金に加入した場合でも会社として行う事務が発生します。申し出があった時は協力をしてあげる事が必要でしょう。

消費税 新規設立は少し慎重に

 法人の新規設立にあたっては、特別な事情がない限り、なるべく長く期間をとる方向で事業年度、いわゆる決算期を決めます。その方が、設立から早めに決算期が到来する煩わしさから解放され、落ち着いて経営に専念できるといったメリットがあります。

●思わぬ落とし穴
 消費税では、新規設立の場合(資本金又は出資金1,000万円以上の法人は除く)には、基準期間がないので設立時の事業年度と翌事業年度は、原則、免税事業者となります。
 なお、基準期間とは、その事業年度の前々事業年度で、免税事業者とは、消費税の納税義務のない事業者を言います。
 しかしながら、消費税の課税事業者を判定するのは基準期間だけでなく、特定期間の課税売上高等で判定する場合もあります。
 特定期間とは、原則、その事業年度の前年事業年度(設立一期)で、前事業年度開始から6か月の期間を言い、そして、その期間の課税売上高が1,000万円を超え、かつ、給与等の支払いが1,000万円を超えていれば、その事業年度は課税事業者となり、消費税の納税義務を負うことになります。
 設立一期目から好業績が予想される法人の場合、この特定期間があることで、本来、翌期は免税事業者であると予期されていたにもかかわらず、課税事業者となってしまう可能性があります。

●特定期間の回避策
 そこで、それを回避するにはどうしたらよいか、ですが、特定期間の要件を外すこと、すなわち、設立一期の事業年度を「短期事業年度」になるように設定することです。
 短期事業年度とは、(1)設立一期の事業年度が7か月以下の場合、又は(2)設立一期の事業年度が7か月を超え8か月未満の場合であって、設立一期開始の日以後6か月の期間の末日の翌日からその事業年度終了の日までの期間が2か月未満の場合で、これらの期間は、特定期間から除外されています。
 なお、設立一期の後半で、特定期間の存在に気づいたときは、上記(2)の要件を満たすように決算期を変更することで翌期に課税事業者となることを回避できる場合もあります。

平成30年1月の税務

1/10
●前年12月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

1/31
●支払調書の提出
●源泉徴収票の交付
●固定資産税の償却資産に関する申告
●前年11月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●5月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の2月、5月、8月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の10月、11月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(9月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
●給与支払報告書の提出

○給与所得者の扶養控除等申告書の提出
○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第4期分)

同姓同名の別人に固定資産税

 土地や建物の所有者に課される固定資産税を、三重県桑名市が同姓同名の別人に誤って13年間課税していたことが明らかになりました。本来の課税対象だった市民が気付き、発覚したとのことです。

 市によると、2004年4月に市民の女性が、固定資産税の納付方法を口座振替に変更した際、市が誤って本人だけでなく同姓同名の女性の固定資産税についても一緒に引き落とすよう設定してしまったそうです。その後、自分の固定資産税が引き落とされていないことに気付いた女性が金融機関に相談し、ミスが判明しました。約13年間で6万1800円が誤って引き落とされていたといいます。

 市は女性に謝罪の上で全額を返金し、同姓同名の女性にも謝罪した上で改めて本来の税額を請求するということです。

 固定資産税は、自治体側が実際の不動産などの状況を基に税額を計算し、納税者に納付すべき金額を伝えてくる賦課課税方式を採用しています。役所が間違えないことを前提としていますが、近年になり多くの自治体で過徴収が発覚。過去数十年にわたり数百万円を過徴収している例もあり、全国的な問題となっています。
<情報提供:エヌピー通信社>

軽減税率補助金の期間延長

 中小企業庁は消費税の複数税率対応の補助金制度について、当初予定されていた締め切りを8カ月延長することを明らかにしました。補助金は8%と10%の2種類の消費税率に対応するため新たなレジやシステムを導入する企業をサポートするもので、最大200万円を受け取ることができます。新たな締め切りは、軽減税率が導入される予定の2019年10月1日の前日である同年9月30日。この日までに新たなレジやシステムの導入を終え、その後、事後申請書を提出することが必要です。補助金の申請受付そのものの新たな締め切りは、後日別途発表するそうです。

 同補助金は、軽減税率の導入に伴い1台のレジで複数の税率への対応が必要となる事業所があることから、新制度に対応した新たなレジシステムの導入に対して補助金を交付するもの。補助される金額は導入にかかったコストの3分の2で、レジ1台当たり20万円が上限となっています。ただし導入するのが1台のみで費用が3万円未満であれば4分の3、タブレットなどの汎用端末であれば2分の1。また新たに商品マスタの設定や機器設置運搬などに費用がかかる時には、さらに1台あたり20万円を上乗せします。どれだけ導入しても、1事業者当たり200万円が上限となります。

 同補助金は当初増税が予定されていた17年4月に向けて16年4月に申請受付を開始しましたが、同年6月の増税延期を受け、現在に至るまで受付を継続しています。
<情報提供:エヌピー通信社>

「相続廃除」を認める3つの理由

 オウム真理教の麻原彰晃死刑囚(本名・松本智津夫氏)と妻を、四女の相続人から廃除することを認める決定を、横浜地裁が下しました。この「相続人の廃除」は虐待など相当の理由がなければ認められないレアケースです。

 法定相続人のうち配偶者、子、父母は、たとえ遺書などで財産分割の指定がなくても、民法で定められた遺留分によって、最低限の遺産を受け取る権利があります。財産を残す本人がどれだけ遺産を分け与えたくなくても、基本的にその取り分をゼロにすることはできないことになります。

 しかし例外もあり、その一つが「相続廃除」です。相続廃除は、財産を持つ人本人が、家庭裁判所に申し立てるか遺書に記載することで、特定の相続人を遺産分割協議に参加させないことができます。廃除された相続人は遺留分も失い、1円も手にすることはできません。

 しかし民法で定められた遺留分まで奪うという強制的な処分だけに、相続廃除は簡単には認められていません。一番多いのは、長年親から暴力などの「虐待」を受けた子どもが、親の相続廃除を申し立てるパターンです。虐待でなくても日常的に侮辱的な言葉を投げかけたり、秘密を暴露して名誉を傷つけたりといった「侮辱」行為がある時にも、廃除が認められます。そこに加えて、その他の「著しい非行」があった時に、家裁は相続人の廃除を認めます。

 麻原死刑囚について四女から相続廃除の申し立てを受けた横浜家裁は、地下鉄サリン事件など複数の事件を起こしたことや、母親が四女の養育を教団信者に任せていたことなどが、廃除の条件となる「虐待」と「著しい非行」に当たると判断しました。
<情報提供:エヌピー通信社>

相続税調査の8割で問題指摘

 国税当局が平成28年7月~29年6月に実施した相続税の実地調査1万2116件のうち、8割にも上る9930件で申告漏れなどの非違が指摘されたことが国税庁の報告書で明らかになりました。申告漏れがこれほど発生するのは、相続税の申告は専門家にとっても難しい手続きであり、また相続人が気付かなかった相続財産が後から出てくることがあるためです。

 続税関連のミスを防ぐには、申告漏れが発生しやすいポイントを確実に確認するのが近道です。申告漏れ財産の代表格には、口座名義人と実際の所有者が異なる「名義預金」が挙げられます。被相続人が生前に通帳を管理し、入出金をしていたのであれば、たとえ家族名義の口座でも名義預金と認定され、相続税の課税対象になります。昨年度の調査でも多くの相続人が名義預金を指摘され、追徴税額を受けました。

 また、国税当局が近年監視を強めているのが海外財産です。海外資産を持つ人への調査は15年前と比べると8倍にまで増え、28年度は917件の実地調査が行われました。問題が指摘されたのはそのうち117件。調査によって申告漏れなどの問題が指摘される割合は、相続税の実地調査全体でみると82%ですが、海外財産関連の調査では12.8%にまで下がります。すなわち、国内にしか財産を持っていない相続人には高確率で問題があると分かった段階で調査に着手する一方、海外財産を持つ相続人には、問題を指摘できるかどうか不確定であっても手当たり次第に調査をしている当局の実態が見て取れます。
<情報提供:エヌピー通信社>

財務省:国際的課税逃れ防止の統一ルールに署名

 財務省は、日本を含む67ヵ国・地域が「税源浸食及び利益移転を防止するための租税条約関連措置を実施するための多数国間条約」(BEPS防止措置実施条約)に署名したことを明らかにしました。
 各国の税制の違いなどを利用した過度な節税策が問題視されるなか、この多国間協定により複数の国にまたがる過度な節税策にまとめて網がかけられるとみられております。

 同多国間協定は、BEPSプロジェクトで策定された税源浸食及び利益移転(BEPS)を防止するための措置のうち租税条約に関連する措置を、同条約の締約国間の既存の租税条約に導入することが目的です。
 同条約の締約国は、租税条約に関連するBEPS防止措置を、多数の既存の租税条約について同時かつ効率的に実施することが可能になります。

 協定は5ヵ国以上が批准した時点で発効され、日本政府は2018年の通常国会で協定承認を目指すとしております。
 現状、過度な節税封じの対策を共有するには、二国間の租税条約の改正が必要ですが、世界中に広がる課税逃れに対抗するには、該当国の数だけ条約改正手続きが必要となり、煩雑で時間もかかります。

 租税条約は世界で3,000ほどあり、個別に改正手続きを進めると10年近くかかると言われましたが、多国間協定により、二国間の条約改正をしなくても課税逃れ対策の統一ルールを適用できるようになります。
 ただし、米国は今回の多国間協定に参加せず、2国間の租税条約などで対応するとしており、統一ルールで足並みをそろえますが、国際的な連携に課題が残っております。

 こうしたなか、財務省は、2018年にもグローバルに活動する企業の節税防止策を強化する方針で、各国の税率の違いを利用した租税回避を防ぐ仕組みを2018年度の与党税制改正大綱に盛り込む方向で調整予定です。
 現状、日本ではグループ間の利子の支払いについて所得の5割まで損金計上が認められますが、財務省はこの割合を1~3割に圧縮して低税率国の子会社への利益移転を防ぐ模様です。
 この他、知的財産を低税率の国の子会社に移す節税策の防止や、過度な税逃れを指南する税理士に開示義務を課す新制度の導入も検討しているといい、多国間協定により、国際的な課税逃れ防止が大きく前進するものとみられております。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年12月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

「外れ馬券は経費」という判決

◆「外れ馬券は経費」:自動購入ソフトを使っていないケースでも12/15最高裁確定へ
 「『自動購入ソフトを使わない外れ馬券の経費性を巡る問題、札幌国税局vs北海道在住の男性』の判決期日を最高裁裁判長が12月15日に指定したにもかかわらず、『結論を変更するのに必要な弁論が開かれていないため』、約1億9千万円の追徴課税処分を取り消した2審東京高裁判決が確定する見通しとなった」という報道がありました。
 自動購入ソフトを使ってネットで大量の馬券を購入していた大阪の男性の裁判において、馬券購入は「営利目的の継続的行為」で、払戻金は雑所得にあたるとして平成27年3月最高裁が認定し、外れ馬券分を経費と認める判断を示していた判決に続く話です。

◆争点は「経済的活動の実態があるか否か」
 今回のケースでは、「ソフトを使わずにレースごとに結果を予想して馬券を購入」しており、それが「経済的活動の実態があるか否か」というのが争点でした。1審(東京地裁)では納税者の負けでした。
 しかしながら、2審(東京高裁)では、「男性は多額の利益を恒常的に上げていた」と判断し、最高裁のケースと「購入方法に本質的な違いはない」とし、外れ馬券分を経費と認めて課税処分を取り消し、納税者の勝ちとなっていました。
 「外れ馬券が経費かどうか」は、「継続的・恒常的に利益を上げるために購入を行っていたかどうか=営利を目的として継続的に行われているかどうか」にあるようです。

◆あなたの外れ馬券は、原則、経費ではない!
 たまの息抜きや射幸心のために競馬を楽しむ人の場合は、外れ馬券は経費となりません。万馬券を当てたようなとき(=年間を通して一時所得の特別控除である50万円を超える当たりだった場合)は、そのレースの外れ券だけが経費です。すなわち、他のレースの外れ券を万馬券の当たりから差し引くことはできません。
 競馬の当たりも、儲けとして、確定申告して税金を納めなければなりませんので、忘れないようにしましょう。無申告だと罰金が科される恐れもありますから、くれぐれも忘れずに!