同姓同名の別人に固定資産税

 土地や建物の所有者に課される固定資産税を、三重県桑名市が同姓同名の別人に誤って13年間課税していたことが明らかになりました。本来の課税対象だった市民が気付き、発覚したとのことです。

 市によると、2004年4月に市民の女性が、固定資産税の納付方法を口座振替に変更した際、市が誤って本人だけでなく同姓同名の女性の固定資産税についても一緒に引き落とすよう設定してしまったそうです。その後、自分の固定資産税が引き落とされていないことに気付いた女性が金融機関に相談し、ミスが判明しました。約13年間で6万1800円が誤って引き落とされていたといいます。

 市は女性に謝罪の上で全額を返金し、同姓同名の女性にも謝罪した上で改めて本来の税額を請求するということです。

 固定資産税は、自治体側が実際の不動産などの状況を基に税額を計算し、納税者に納付すべき金額を伝えてくる賦課課税方式を採用しています。役所が間違えないことを前提としていますが、近年になり多くの自治体で過徴収が発覚。過去数十年にわたり数百万円を過徴収している例もあり、全国的な問題となっています。
<情報提供:エヌピー通信社>

軽減税率補助金の期間延長

 中小企業庁は消費税の複数税率対応の補助金制度について、当初予定されていた締め切りを8カ月延長することを明らかにしました。補助金は8%と10%の2種類の消費税率に対応するため新たなレジやシステムを導入する企業をサポートするもので、最大200万円を受け取ることができます。新たな締め切りは、軽減税率が導入される予定の2019年10月1日の前日である同年9月30日。この日までに新たなレジやシステムの導入を終え、その後、事後申請書を提出することが必要です。補助金の申請受付そのものの新たな締め切りは、後日別途発表するそうです。

 同補助金は、軽減税率の導入に伴い1台のレジで複数の税率への対応が必要となる事業所があることから、新制度に対応した新たなレジシステムの導入に対して補助金を交付するもの。補助される金額は導入にかかったコストの3分の2で、レジ1台当たり20万円が上限となっています。ただし導入するのが1台のみで費用が3万円未満であれば4分の3、タブレットなどの汎用端末であれば2分の1。また新たに商品マスタの設定や機器設置運搬などに費用がかかる時には、さらに1台あたり20万円を上乗せします。どれだけ導入しても、1事業者当たり200万円が上限となります。

 同補助金は当初増税が予定されていた17年4月に向けて16年4月に申請受付を開始しましたが、同年6月の増税延期を受け、現在に至るまで受付を継続しています。
<情報提供:エヌピー通信社>

「相続廃除」を認める3つの理由

 オウム真理教の麻原彰晃死刑囚(本名・松本智津夫氏)と妻を、四女の相続人から廃除することを認める決定を、横浜地裁が下しました。この「相続人の廃除」は虐待など相当の理由がなければ認められないレアケースです。

 法定相続人のうち配偶者、子、父母は、たとえ遺書などで財産分割の指定がなくても、民法で定められた遺留分によって、最低限の遺産を受け取る権利があります。財産を残す本人がどれだけ遺産を分け与えたくなくても、基本的にその取り分をゼロにすることはできないことになります。

 しかし例外もあり、その一つが「相続廃除」です。相続廃除は、財産を持つ人本人が、家庭裁判所に申し立てるか遺書に記載することで、特定の相続人を遺産分割協議に参加させないことができます。廃除された相続人は遺留分も失い、1円も手にすることはできません。

 しかし民法で定められた遺留分まで奪うという強制的な処分だけに、相続廃除は簡単には認められていません。一番多いのは、長年親から暴力などの「虐待」を受けた子どもが、親の相続廃除を申し立てるパターンです。虐待でなくても日常的に侮辱的な言葉を投げかけたり、秘密を暴露して名誉を傷つけたりといった「侮辱」行為がある時にも、廃除が認められます。そこに加えて、その他の「著しい非行」があった時に、家裁は相続人の廃除を認めます。

 麻原死刑囚について四女から相続廃除の申し立てを受けた横浜家裁は、地下鉄サリン事件など複数の事件を起こしたことや、母親が四女の養育を教団信者に任せていたことなどが、廃除の条件となる「虐待」と「著しい非行」に当たると判断しました。
<情報提供:エヌピー通信社>

相続税調査の8割で問題指摘

 国税当局が平成28年7月~29年6月に実施した相続税の実地調査1万2116件のうち、8割にも上る9930件で申告漏れなどの非違が指摘されたことが国税庁の報告書で明らかになりました。申告漏れがこれほど発生するのは、相続税の申告は専門家にとっても難しい手続きであり、また相続人が気付かなかった相続財産が後から出てくることがあるためです。

 続税関連のミスを防ぐには、申告漏れが発生しやすいポイントを確実に確認するのが近道です。申告漏れ財産の代表格には、口座名義人と実際の所有者が異なる「名義預金」が挙げられます。被相続人が生前に通帳を管理し、入出金をしていたのであれば、たとえ家族名義の口座でも名義預金と認定され、相続税の課税対象になります。昨年度の調査でも多くの相続人が名義預金を指摘され、追徴税額を受けました。

 また、国税当局が近年監視を強めているのが海外財産です。海外資産を持つ人への調査は15年前と比べると8倍にまで増え、28年度は917件の実地調査が行われました。問題が指摘されたのはそのうち117件。調査によって申告漏れなどの問題が指摘される割合は、相続税の実地調査全体でみると82%ですが、海外財産関連の調査では12.8%にまで下がります。すなわち、国内にしか財産を持っていない相続人には高確率で問題があると分かった段階で調査に着手する一方、海外財産を持つ相続人には、問題を指摘できるかどうか不確定であっても手当たり次第に調査をしている当局の実態が見て取れます。
<情報提供:エヌピー通信社>

財務省:国際的課税逃れ防止の統一ルールに署名

 財務省は、日本を含む67ヵ国・地域が「税源浸食及び利益移転を防止するための租税条約関連措置を実施するための多数国間条約」(BEPS防止措置実施条約)に署名したことを明らかにしました。
 各国の税制の違いなどを利用した過度な節税策が問題視されるなか、この多国間協定により複数の国にまたがる過度な節税策にまとめて網がかけられるとみられております。

 同多国間協定は、BEPSプロジェクトで策定された税源浸食及び利益移転(BEPS)を防止するための措置のうち租税条約に関連する措置を、同条約の締約国間の既存の租税条約に導入することが目的です。
 同条約の締約国は、租税条約に関連するBEPS防止措置を、多数の既存の租税条約について同時かつ効率的に実施することが可能になります。

 協定は5ヵ国以上が批准した時点で発効され、日本政府は2018年の通常国会で協定承認を目指すとしております。
 現状、過度な節税封じの対策を共有するには、二国間の租税条約の改正が必要ですが、世界中に広がる課税逃れに対抗するには、該当国の数だけ条約改正手続きが必要となり、煩雑で時間もかかります。

 租税条約は世界で3,000ほどあり、個別に改正手続きを進めると10年近くかかると言われましたが、多国間協定により、二国間の条約改正をしなくても課税逃れ対策の統一ルールを適用できるようになります。
 ただし、米国は今回の多国間協定に参加せず、2国間の租税条約などで対応するとしており、統一ルールで足並みをそろえますが、国際的な連携に課題が残っております。

 こうしたなか、財務省は、2018年にもグローバルに活動する企業の節税防止策を強化する方針で、各国の税率の違いを利用した租税回避を防ぐ仕組みを2018年度の与党税制改正大綱に盛り込む方向で調整予定です。
 現状、日本ではグループ間の利子の支払いについて所得の5割まで損金計上が認められますが、財務省はこの割合を1~3割に圧縮して低税率国の子会社への利益移転を防ぐ模様です。
 この他、知的財産を低税率の国の子会社に移す節税策の防止や、過度な税逃れを指南する税理士に開示義務を課す新制度の導入も検討しているといい、多国間協定により、国際的な課税逃れ防止が大きく前進するものとみられております。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年12月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

「外れ馬券は経費」という判決

◆「外れ馬券は経費」:自動購入ソフトを使っていないケースでも12/15最高裁確定へ
 「『自動購入ソフトを使わない外れ馬券の経費性を巡る問題、札幌国税局vs北海道在住の男性』の判決期日を最高裁裁判長が12月15日に指定したにもかかわらず、『結論を変更するのに必要な弁論が開かれていないため』、約1億9千万円の追徴課税処分を取り消した2審東京高裁判決が確定する見通しとなった」という報道がありました。
 自動購入ソフトを使ってネットで大量の馬券を購入していた大阪の男性の裁判において、馬券購入は「営利目的の継続的行為」で、払戻金は雑所得にあたるとして平成27年3月最高裁が認定し、外れ馬券分を経費と認める判断を示していた判決に続く話です。

◆争点は「経済的活動の実態があるか否か」
 今回のケースでは、「ソフトを使わずにレースごとに結果を予想して馬券を購入」しており、それが「経済的活動の実態があるか否か」というのが争点でした。1審(東京地裁)では納税者の負けでした。
 しかしながら、2審(東京高裁)では、「男性は多額の利益を恒常的に上げていた」と判断し、最高裁のケースと「購入方法に本質的な違いはない」とし、外れ馬券分を経費と認めて課税処分を取り消し、納税者の勝ちとなっていました。
 「外れ馬券が経費かどうか」は、「継続的・恒常的に利益を上げるために購入を行っていたかどうか=営利を目的として継続的に行われているかどうか」にあるようです。

◆あなたの外れ馬券は、原則、経費ではない!
 たまの息抜きや射幸心のために競馬を楽しむ人の場合は、外れ馬券は経費となりません。万馬券を当てたようなとき(=年間を通して一時所得の特別控除である50万円を超える当たりだった場合)は、そのレースの外れ券だけが経費です。すなわち、他のレースの外れ券を万馬券の当たりから差し引くことはできません。
 競馬の当たりも、儲けとして、確定申告して税金を納めなければなりませんので、忘れないようにしましょう。無申告だと罰金が科される恐れもありますから、くれぐれも忘れずに!

棚卸資産の評価方法 届出の棚卸評価をしなかった場合

◆棚卸資産の評価方法の選定・変更
 法人が商品・製品・原材料などの棚卸資産を有することとなる場合には、その事業の種類(又は事業所)ごと・棚卸資産の区分ごとにどのような方法で評価を行うか選択し、その「届出書」を所轄の税務署に提出しなければなりません(提出がない場合には、法定評価方法である「最終仕入原価法による原価法」となります)。
 ●期末評価:原価法・低価法
 ●算定方法:個別法・先入先出法・総平均法・移動平均法・最終仕入原価法・売価還元法

 この棚卸資産の評価方法を変更しようとする場合には、その新たな評価方法を採用しようとする事業年度開始の日の前日までに、「変更申請書」を所轄税務署長に提出し、承認を受けなければなりません(原則として選択した方法で3年以上継続適用後)。

◆届け出た評価方法で評価しなかった場合
 もし、「届出書」と異なる評価方法により評価を行った場合、どのような形になるでしょうか。この場合、法定評価方法である「最終仕入原価法による原価法」(一定の場合、その法人が行った評価方法)により評価することとされています。
 例えば、「総平均法」の届出を行っている会社が変更手続きを経ないで「先入先出法」を行っている場合には、税務署の行う更正・決定の場面では、「最終仕入原価法」により評価する場合もあるということになります(一定の場合、届出の「総平均法」で是正も認められます。自主的な修正申告の場合には、この例が多いと思います)。
 一方、「総平均法」の届出を行っている会社が変更手続きを経ないで「最終仕入原価法」を適用して申告した場合には、適法とはいえませんが、結果的には認められることになります。ただし、青色申告の取消事由として「選定した評価方法による評価額で行われていない場合」が挙げられているため、高リスクといえます。

◆評価方法を設立第1期目に変更できる?
 設立当初に、ある評価方法で届け出ていたが、最初の申告時に別の評価方法を採用したいという場合では事情が異なります。
 設立後最初に提出する法人税申告書の提出期限内であり、その変更後の評価方法を最初の申告で採用しているときは、当初の「届出書」からの変更が認められています。

言葉を理解するAI家電の可能性

 最近、人間の言葉を理解する「AI家電」が注目を集めています。ヒトが話しかけた内容を理解するので、声だけで家電を操作することができます。パネルを見なくても利用できるので、「ノールック家電」、(no-look:操作パネルを見る必要のない家電)とも呼ばれています。

 AI家電の中でも、スマホの次のブームになると期待を集めているのがGoogle Home(グーグルホーム)やAmazon Echo(アマゾンエコー)といったAIスピーカーです。外観は小型のスピーカーのような形をしています。「テレビをつけて」と語りかけると、わざわざスイッチを押しに行かなくても、AIスピーカーがテレビをつけてくれます。自動掃除機がAI対応のもの(お掃除ロボット、ルンバなど)ならば、「掃除して」と話しかけると、AIスピーカーがお掃除ロボットに掃除をするように信号を送り、掃除がはじまります。また、AIスピーカーは話すこともでき、天気予報などを訊ねると、AIスピーカーが「今日は晴れのち曇りです」といった具合に答えます。

 着目したいのは、利用回数が増えると使い手の好みを学習する点です。音楽ならば、最初は様々なジャンルの音楽を再生しますが、ジャズが好みの人には次第にジャズを多く再生するようになります。また、じゃんけんなどの遊びもでき、「楽しい」といった感情を使い手と共有することもできます。何年も一緒にいると、やがて家族の一員のような、なくてはならない存在になるのかもしれません。

 現在、AIスピーカーに関する技術は米国が優勢で、グーグルやアマゾンが先行しています。日本ではLINEが独自でAIの開発を進め、健闘している状態です。

 スマホの次にブームになると期待されているAI家電。技術の開発競争において、世界全体では米国が優勢な状態にあります。米国内で、もっとも先行しているのがグーグルとアマゾンで、日本ではLINEが独自で開発を進め、健闘している状態です。LINEは自社のメインサービス「LINE」を強みに、利用者が機器に話しかけた言葉をメッセージとして相手に送る機能を目玉にしています。

 LINEのほかには、ソニーやパナソニックなどがAI家電の開発に取り組んでいます。ただ、ソニーとパナソニックは、言葉を理解する部分に関しては、グーグルの技術を用いて、そこに自社独自の技術を加え、新たな製品を提供しようとしています。パナソニックは洗濯から衣服の折り畳みまで自動化した洗濯機の製品を欧州の家電見本市に参考展示しました。また、ソニーは独自の顔認識技術を用いて、コミュニケーションロボットを開発しています。こちらは家族の顔を判別する機能に特徴があります。外出先で手持ちのスマホから「家族の様子を教えて」と打ちこむと、「5分前に○○くん(子どもの名前)を見かけました」などと、返事を送ってくれます。

 AIスピーカーはグーグルやアマゾンが先行していますが、自社独自の機能を提供することで、後発企業でもAI家電の分野で十分戦えるといえます。
今後は、家庭での利用だけでなく、企業からの需要にも期待できます。既に、一部の企業では活用がはじまっています。ある小売店は店内の案内にAIスピーカーを用いています。ほか、会社の受付けなど、様々な分野での活用が期待できそうです。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

よろず支援拠点による小規模企業支援

 よろず支援拠点は、国による中小企業・小規模事業者に対する総合的な支援機関として2014年6月に各都道府県に設置されました。よろず支援拠点による主な支援内容は、①売上拡大等の課題解決策を提示する「経営革新支援」、②資金繰り改善や事業再生等の課題解決策を提示する「経営改善支援」、③どこに相談すべきかわからない事業者に対して的確な支援機関等を紹介する「ワンストップサービス」に大別されます。よろず支援拠点には、経営相談に対応する専門家であるコーディネーターが配置され、中小企業・小規模事業者からの経営相談に対するきめ細やかな対応を行っています。

 以下で「小規模企業白書2016年版」に沿って、よろず支援拠点の特徴についてみていきましょう。

 まず、相談者の規模についてみると、創業前の者が約1割、従業員数20人以下の事業者が約7割となっており、小規模企業の占める割合が高いことがわかります。

 次に、よろず支援拠点に配置されている専門家の経歴についてみると、経営コンサルタントが最も多く、他にも民間企業出身者、支援機関出身者など幅広い専門家を揃えていることがわかります。

 相談の解決手法としては、コーディネーターによる直接的なアドバイス以外にも、相談内容に応じて適切な支援機関や専門家を紹介する「ワンストップ支援」や、外部の支援機関等と支援チームを構成して課題解決にあたる「チーム支援」など外部の支援機関の専門家と連携した対応も行っています。

 このように、よろず支援拠点では他の支援機関とも連携しながらとくに小規模企業が抱える様々な経営相談にワンストップで対応することが期待されているのです。

 では、よろず支援拠点においては具体的にどのような支援が行われているのでしょうか。ここでは「小規模企業白書2016年版」において、よろず支援拠点の事例として紹介されている木村屋菓子店(宮城県柴田郡村田町)への支援の取組みについてみていきましょう。

 同店は1904年(明治37年)創業の老舗の菓子店で、「まんじゅう」や「もち菓子」、「ようかん」など和菓子を中心に製造・販売しています。近年では町内の常連客だけでなく、観光客へと販売を拡大するため、町の歴史や風情を取り入れたオリジナル商品の開発にも力を入れています。

 ここ最近有名菓子店の近隣への出店という環境変化を受け、同店は商工会の経営指導員に対応策を相談しました。相談を受けた商工会の経営指導員は、同店が開発したオリジナル商品のブランド化を急ぐ必要があると感じ、商標登録を勧めました。しかし、商標登録申請には専門的な知識も必要であるため、宮城県よろず支援拠点のコーディネーターに協力を依頼し、宮城県発明協会とも連携して同店への支援を開始しました。具体的には看板商品の商標登録に向けた支援や、その後の事業展開に向けた支援を商工会とよろず支援拠点とが連携して行っています。

 上記のように相談者の支援に対し専門的に知識が必要な場合は、一つの支援機関だけでは対応できない場合もあります。こうした中、相談内容に応じて適切な支援機関や専門家を紹介するといったよろず支援拠点がもつ「ワンストップ支援」の機能を活用することによって、小規模企業が抱える様々な経営課題に対して効果的な解決策を提供することが可能となるのです。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

 

2016年度の再調査の請求・訴訟等の概要を公表

 国税庁・国税不服審判所は、2016年度の再調査の請求や審査請求、訴訟の概要を公表しました。
 それによりますと、2017年3月までの1年間(2016年度)の再調査の請求・審査請求・税務訴訟を通しての納税者救済・勝訴割合は9.4%となりました。

 納税者が国税当局の処分に不満がある場合は、税務署等に対する再調査の請求(改正前:異議申立て)や国税不服審判所に対する審査請求という行政上の救済制度と、訴訟を起こして裁判所に処分の是正を求める司法上の制度があります。
 再調査の請求の発生件数は、消費税(58.1%減の484件)をはじめ、ほとんどの税目が減少したことから、全体では前年度から47.5%減の1,674件となりました。
 処理件数は、「取下げ等」が275件、「却下」208件、「棄却」1,199件、「一部取消」100件、「全部取消」23件の合計1,805件(前年度比43.6%減)となりました。
 納税者の主張が一部でも認められたのは計123件となり、処理件数全体に占める割合(救済割合)は前年度を1.6ポイント下回る6.8%となりました。

 また、国税不服審判所への審査請求の発生件数は、法人税等(50.9%増の504件)など、ほとんどの税目が増加したことから、18.6%増の2,488件となりました。
 処理件数は、「取下げ」が269件、「却下」191件、「棄却」1,258件、「一部取消」192件、「全部取消」49件の合計1,959件(前年度比15.2%減)となりました。
 納税者の主張が何らかの形で認められた救済割合は同4.3ポイント増の12.3%となりました。

 一方、訴訟となった発生件数は、徴収関係(38.4%増の54件)が増えたものの、所得税(5.9%減の80件)や相続・贈与税(22.3%減の28件)などが減少したことから、前年度を0.5%下回る230件となりました。
 終結件数は、「取下げ等」が25件、「却下」20件、「棄却」189件、「国の一部敗訴」5件、「同全部敗訴」6件の合計245件(前年度比6.5%減)で、国側の敗訴(納税者勝訴)割合は同3.9ポイント減の4.5%となりました。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年11月13日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。