中小企業等投資促進税制

制度の概要

  この制度は、中小企業者などが平成10年6月1日から平成26年3月31日までの期間(以下「指定期間」といいます。)内に新品の機械及び装置などを取得し又は製作して国内にある製造業、建設業などの指定事業の用に供した場合に、その指定事業の用に供した日を含む事業年度において、特別償却又は税額控除を認めるものです。

適用対象法人

 この制度の適用対象法人は、青色申告法人である次の法人です。

(1)  特別償却 中小企業者又は農業協同組合等

(注) 中小企業者とは次に掲げる法人をいいます。

イ  資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人 ただし、同一の大規模法人(資本金の額若しくは出資金の額が1億円を超える法人又は資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。以下同じ。)に発行済株式又は出資の総数又は総額の2分の1以上を所有されている法人及び2以上の大規模法人に発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上を所有されている法人を除きます。

ロ  資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人

(2)  税額控除 上記の中小企業者のうち資本金の額若しくは出資金の額が3,000万円以下の法人又は農業協同組合等

適用対象資産

この制度の対象となる資産は、その製作の後事業の用に供されたことのない(つまり新品の)次に掲げる資産で、指定期間内に取得し又は製作して指定事業の用に供したものです。ただし、内航運送の用に供される船舶の貸渡しをする事業を営む法人以外の法人が貸付け用に供する資産は、この制度の対象となる資産には該当しません。

(1) 機械及び装置で1台又は1基の取得価額が160万円以上のもの

(2) 事務処理の能率化、製品の品質管理の向上等に資する次に掲げるいずれかのもので、1台又は1基の取得価額が120万円以上のもの

イ 測定工具及び検査工具(平成24年4月1日以後に取得等をしたものに限ります。)

ロ 電子計算機

ハ インターネットに接続されたデジタル複合機

ニ 試験又は測定機器(平成24年4月1日以後に取得等をしたものに限ります。)

(3) (2)に準ずるもの(当該事業年度の取得価額の合計額が120万円以上)で次に掲げるいずれかのもの

イ 測定工具及び検査工具(平成24年4月1日以後に取得等をしたものに限ります。)

ロ 電子計算機

ハ 試験又は測定機器(平成24年4月1日以後に取得等をしたものに限ります。)

(注1) イ又はハについては、1台又は1基の取得価額が30万円未満であるものを除きます。

(注2) ロについては、法令第133条((少額の減価償却資産の取得価額の損金算入))又は法令第133条の2((一括償却資産の損金算入))の規定の適用を受けるものを除きます。

(4) ソフトウェア(複写して販売するための原本、開発研究用のもの又はサーバー用のオペレーティングシステムのうち一定のものなどは除きます。以下同じ。)で次に掲げるいずれかのもの

イ 一のソフトウェアの取得価額が70万円以上のもの

ロ その事業年度において事業の用に供したソフトウェアの取得価額の合計額が70万円以上のもの

(注) その事業年度が平成26年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了する場合には、その事業年度開始の日から平成26年3月31日までの期間において事業の用に供したソフトウェアの取得価額の合計額が70万円以上のものに限ります。

(5) 車両及び運搬具のうち一定の普通自動車で、貨物の運送の用に供されるもののうち車両総重量が3.5トン以上のもの

(6) 内航海運業の用に供される船舶

指定事業

この制度の適用対象となる指定事業は次に掲げる事業です。ただし、性風俗関連特殊営業に該当するものは指定業から除かれます。
製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業を除きます。)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、通信業、損害保険代理業及びサービス業(物品賃貸業及び映画業以外の娯楽業を除きます。)

償却限度額

償却限度額は、基準取得価額の30%相当額の特別償却限度額を普通償却限度額に加えた金額です。
基準取得価額とは、船舶についてはその取得価額に75%を乗じた金額をいい、その他の資産についてはその取得価額をいいます(以下同じ。)。

税額控除限度額

税額控除限度額は、基準取得価額の7%相当額です。ただし、その税額控除限度額がその事業年度の法人税額の20%相当額を超える場合には、控除を受ける金額は、その20%相当額が限度となります。

税額控除限度超過額の繰越

税額控除限度額がその事業年度の法人税額の20%相当額を超えるために、その事業年度において税額控除限度額の全部を控除しきれなかった場合には、その控除しきれなかった金額(以下「繰越税額控除限度超過額」といいます。)について1年間の繰越しが認められます。

平成26年度税制改正

中小企業投資促進税制については、平成25年12月24日の「平成26年度税制改正の大綱」で、生産性の向上に資する設備の投資について、①特別償却割合30%を即時償却に、②個人事業主、資本金3,000万円以下法人について税額控除割合を7%から10%に、③資本金3,000万円超1億円以下法人に7%の税額控除を適用することとした上で、適用期間を3年延長することとされています。

相続税の取得費加算の特例 平成26年度税制改正

相続税の取得費加算の特例とは

土地を多く所有する地主の場合、多額の相続税が見込まれ、保有している現金だけでは相続税を支払えないケースが想定されます。このような場合には、土地を売却して納税資金を確保しますが、相続により取得した土地を相続税の申告書の提出期限の翌日から3年以内(相続開始の日の翌日から3年10ヶ月以内)に譲渡した場合には、土地について納めた相続税額を取得費に加算して譲渡所得の金額の計算をすることができます〔措法39(1)、措令25の16〕。

改正の内容

現行制度では取得費に加算する金額は、『その者が相続で取得した全ての土地等に対応する相続税相当額』と規定されていました。そのため土地については、売却した土地に対応する相続税だけでなく、他の売却しない土地にかかる相続税も売却した土地の取得費に加算でき、土地を多く相続した場合には、譲渡所得税を大きく削減できました。

今回の税制改正大綱では、『その譲渡した土地等に対応する相続税相当額』に縮減すると記載されています。そのため、相続した土地を売却した場合に、納めた相続税を取得費に加算できるのは、「売却した土地に対応する相続税だけ」となります。

 

この相続税の取得費加算の特例の改正は、平成27年1月1日以後の相続により取得した土地等について適用されます。

ゴルフ会員権等の譲渡損失の損益通算 平成26年度税制改正

改正の内容

改正前は、ゴルフ会員権を売ったことにより生じた損失は、事業所得や給与所得など他の所得と損益通算することができましたが、この取扱いが平成26年3月31日までに行われる譲渡をもって廃止となりました。

平成26年4月1日以後に行ったゴルフ会員権の譲渡により生じた損失は、原則として、給与所得など他の所得と損益通算することはできません。

 

平成26年6月現在

 

給与所得控除の縮小 平成26年度税制改正

給与所得控除の改正の概要

給与収入に対する課税については、収入額に対してそのまま課税されるのではありません。収入を得るための経費があるものとみなし、収入に応じた一定の控除額(給与所得控除額)を差し引いた後の金額に課税されています。

現在、給与所得控除額は年収1500万円時における245万円を上限とされています。この上限額が次のように引き下げられ、下記年収額を超える人にとっては所得税負担が増えることになります。

現  行  平成28年分の所得税  平成29年分の所得税
  上限が適用される給与収入  1,500万円  1,200万円  1,000万円
 給与所得控除の上限額  245万円  230万円  220万円

 

平成26年6月現在

復興特別法人税の改正 平成26年度税制改正

復興特別法人税の改正の概要

平成26年改正法により、復興特別法人税の課税の対象となる事業年度(以下「課税事業年度」といいます。)は、「平成24年4月1日から平成26年3月31日(改正前:平成27年3月31日)までの期間(指定期間)内に最初に開始する事業年度開始の日から同日以後2年(改正前:3年)を経過する日までの期間内の日の属する事業年度」とされました(復興財源確保法40十、45、復興特別法人税令3)。これにより、復興特別法人税の課税期間が1年短縮されました。 したがって、平成 26 年4月1日以後に開始する事業年度については、原則として、課税事業年度にはなりません。

(注)1 平成 26 年4月1日以後に開始する事業年度であっても、事業年度変更などにより、その事業年度に、指定期間内に最初に開始する事業年度開始の日から同日以後2年を経過する日までの期間内の日が含まれることとなる場合には、課税事業年度となります。

(注)2 事業年度変更などにより法人の各課税事業年度の月数の合計が 24 月を超えることとなる場合には、その超えることとなる課税事業年度の課税標準法人税額について、一定の調整計算を行うこととなります。

印紙税の非課税範囲の拡大

改正の概要

「所得税法等の一部を改正する法律」により、印紙税法の一部が改正され、平成 26 年4月1日以降に作成される「金銭又は有価証券の受取書」に係る印紙税の非課税範囲が拡大されました。

現在、「金銭又は有価証券の受取書」については、記載された受取金額が3万円未満のものが非課税とされていますが、平成 26 年4月1日以降に作成されるものについては、受取金額が5万円未満のものについて非課税とされることとなりました。

「金銭又は有価証券の受取書」とは

「金銭又は有価証券の受取書」とは、金銭又は有価証券を受領した者が、その受領事実を証明するために作成し、相手方に交付する証拠証書をいいます。 したがって、「領収証」、「領収書」、「受取書」や「レシート」はもちろんのこと、金銭又は有価証券の受領事実を証明するために請求書や納品書などに「代済」、「相済」、「了」などと記入したもの、さらには、「お買上票」などと称するもので、その作成の目的が金銭又は有価証券の受領事実を証明するために作成するものであるときは、金銭又は有価証券の受取書に該当します。

印紙税の還付について

印紙税の納付の必要がない文書に誤って収入印紙を貼ったような場合には、所轄税務署長に過誤納となった文書の原本を提示し、過誤納の事実の確認を受けることにより印紙税の還付を受けることができます。
「領収証」等を取引の相手方に交付している場合でも、過誤納の事実の確認を受けるには、過誤納となった文書の原本を提示する必要があります。

 

消費税 簡易課税 平成26年度税制改正

簡易課税の概要

簡易課税制度とは、事業者の基準期間(その課税期間の前々年又は前々事業年度)における課税売上高が 5,000 万円以下で、その課税期間開始の日の前日までに『消費税簡易課税制度選択届出書』を提出している場合に、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、課税売上高に対する税額の一定割合を仕入控除税額とする制度です。

平成26年度税制改正の概要

消費税の簡易課税制度のみなし仕入率について、現行の第四種事業のうち、金融業及び保険業を第五種事業とし、そ のみなし仕入率を現行の60%から50%とするとともに、現行の第五種事業のうち、不動産業を新たに新設した第六種 事業とし、そのみなし仕入率を現行の50%から40%とすることとされました。

原則として、平成27 年4 月1 日以後に開始する課税期間から適用されます。

適用開始時期の経過措置

平成 27 年 4 月1 日以後に開始する課税期間であっても、事業者が平成26 年 9 月30 日までに『消費税簡易課税制度選択届出書』を提出した場合は、その届出書に記載した「適用開始課税期間」の初日から 2 年を経過する日までの間に開始する課税期間については、改正前のみなし仕入率が適用される経過措置が設けられています。
なお、事業者が新たに平成26 年10 月1 日以後に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した場合は、平成27年4 月1 日以後に開始する課税期間から、改正後のみなし仕入率が適用されます(経過措置の適用なし)。

 

平成26年6月現在

雇用促進税制

雇用促進税制の概要

この制度は、法人が平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度において、当期末の雇用者の数が前期末の雇用者の数に比して5人以上(中小企業者等は2人以上)及び10%以上増加していることについて証明がされるなど一定の場合に、税額控除が認められます。

適用対象法人

 この制度の適用対象法人は、青色申告法人です。
なお、雇用者の増加数の要件が2人以上とされる中小企業者等とは、青色申告法人のうち、中小企業者又は農業協同組合等をいいます。

(注)中小企業者とは、次に掲げる法人をいいます。

  • 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
    ただし、同一の大規模法人(資本金の額若しくは出資金の額が1億円を超える法人又は資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。以下同じ。)に発行済株式又は出資の総数又は総額の2分の1以上を所有されている法人及び2以上の大規模法人に発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上を所有されている法人を除きます。
  • 資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人

適用対象年度

 この制度は、平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度において、適用できます。
 ただし、適用対象年度であっても、設立(合併、分割又は現物出資による設立を除きます。)の日を含む事業年度、解散(合併による解散を除きます。)の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度においては適用できません。

適用要件

 この制度の適用を受けるためには、次の1から5までの要件を全て満たしている必要があります。
なお、適用年度開始の日の前日における雇用者数が零である場合には、3の要件は不要となります。

  • 前期及び当期に事業主都合による離職をした雇用者及び高年齢雇用者がいないこと

    (注) 前期とは、当期開始の日前1年以内に開始した各事業年度をいいます。(以下、この「4 適用要件」において同じです。)

  • 基準雇用者数が5人以上(中小企業者等については2人以上)であること

    (注) 基準雇用者数は、当期末の雇用者の数から適用年度開始の日の前日の雇用者(当期末において高年齢雇用者に該当する者を除きます。)の数を引いた数です。

  • 基準雇用者割合が10%以上であること

    (注) 基準雇用者割合は、基準雇用者数を適用年度開始の日の前日雇用者(当期末において高年齢雇用者に該当する者を除きます。)の数で除した数です。

  • 給与等支給額が比較給与等支給額以上であること
    • (注1) 給与等支給額とは、当期の所得の金額の計算上損金の額に算入される給与等(雇用者に対して支給するものに限り、当期末に高年齢雇用者に該当する者に対して支給するものを除きます。)の支給額をいいます。

    • (注2) 比較給与等支給額とは、次の算式により計算した額をいいます。
      なお、前期の給与等の支給額には、当期末に高年齢雇用者に該当する者に対する支給額は含まれません。
      前期の給与等の支給額 + (前期の給与等の支給額×基準雇用者割合×30%)
      また、適用年度開始の日の前日における雇用者数が零である場合には、次の算式により計算した額が比較給与等の支給額となります。
      前期の給与等の支給額 + (前期の給与等の支給額×30%)

    • (注3) 前期の月数と当期の月数が異なる場合には、所要の調整が必要です。

  • 雇用保険法第5条第1項に規定する適用事業(一定の事業を除きます。)を行っていること

税額控除限度額

 税額控除限度額は基準雇用者数に40万円(注1)を乗じた金額です。
ただし、その税額控除限度額がその事業年度の法人税額の10%(中小企業者等(注2)については20%)相当額を超える場合には、その相当額が限度となります。

(注1) 平成23年4月1日から平成25年3月31日までの間に開始する各事業年度においては20万円となります。

(注2) 中小企業者等とは、上記「2 適用対象法人」に掲げる中小企業者等をいいます。

その他注意点

1 この制度における雇用者とは、法人の使用人のうち雇用保険の一般被保険者であるものをいい、使用人から役員の特殊関係者及び使用人兼務役員は除かれます。
なお、役員の特殊関係者とは、次に掲げる者をいいます。

①役員の親族

②役員と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者

③上記①、②以外の者で役員から生計の支援を受けているもの

④上記②、③の者と生計を一にするこれらの者の親族

2 この制度における高年齢雇用者とは、法人の使用人のうち雇用保険の高年齢継続被保険者であるものをいいます。

3 この制度の適用を受けるためには、次が必要です。

  • 公共職業安定所に雇用促進計画の提出を行い、都道府県労働局又は公共職業安定所で、上記「4 適用要件」の①から③までの要件についての確認を受け、その際交付される雇用促進計画の達成状況を確認した旨の書類の写しを確定申告書に添付する必要があります。
  • 確定申告書等に控除を受ける金額の申告の記載及びその金額の計算に関する明細書を添付する必要があります。

(措法42の4、42の12、措令27の4、27の12、措規20の7)

平成26年6月現在

接待交際費の損金不算入制度 平成26年度税制改正

接待交際費の損金不算入制度 改正の概要

 改正前における交際費等の損金不算入制度は、次のとおりとされていました(旧措法61の4)。

  • 中小法人以外の法人・・・支出する交際費等の全額が損金不算入
  • 中小法人・・・・・・・・支出する交際費等の額のうち年800万円(以下「定額控除限度額」といいます。)を超える部分の金額が損金不算入

(注)「中小法人」とは、事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人をいい、普通法人のうち事業年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人などの一定の法人による完全支配関係がある子法人等を除きます。以下同じです。

 平成26年度税制改正では、この交際費等の損金不算入制度について、その適用期限を平成28年3月31日まで2年延長するとともに、交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除きます。以下「飲食費」といいます。)であって、帳簿書類に飲食費であることについて所定の事項が記載されているもの(以下「接待飲食費」といいます。)の額の50%に相当する金額は損金の額に算入することとされました(措法61の4①④、措規21の18の4)。

(注)

  1. 「社内飲食費」とは、飲食その他これに類する行為のために要する費用であって、専ら当該法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものをいいます。以下同じです。
  2. 1人当たり5,000円以下の飲食費で書類の保存要件を満たしているものについては、従前どおり、交際費等に該当しないこととされています(措法61の4④二・⑥、措令37の5①、措規21の18の4)。

 なお、中小法人については、接待飲食費の額の50%相当額の損金算入と、従前どおりの定額控除限度額までの損金算入のいずれかを選択適用することができ、定額控除限度額までの損金算入を適用する場合には、確定申告書、中間申告書、修正申告書又は更正請求書(以下「申告書等」といいます。)に定額控除限度額の計算を記載した別表15(交際費等の損金算入に関する明細書)を添付することとされています(措法61の4②⑤)。

これらの改正は、法人の平成26年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます(改正法附則77)。

飲食費の範囲

 飲食費について法令上は、「飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除きます。)」と規定されています(措法61の4④)。このため、次のような費用については、社内飲食費に該当するものを除き、飲食費に該当します。

  •  自己の従業員等が得意先等を接待して飲食するための「飲食代」
  •  飲食等のために支払うテーブルチャージ料やサービス料等
  •  飲食等のために支払う会場費
  •  得意先等の業務の遂行や行事の開催に際して、弁当の差入れを行うための「弁当代」(得意先等において差入れ後相応の時間内に飲食されるようなもの)
  •  飲食店等での飲食後、その飲食店等で提供されている飲食物の持ち帰りに要する「お土産代」

(注)接待飲食費は、「交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除く。)であって、帳簿書類により飲食費であることが明らかにされているもの」とされており、ここでいう「飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除く。)」は、改正前の飲食費の定義である「飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除く。)」と同一の用語であることから、その範囲は変わりません。

飲食費に該当しない費用

次に掲げる費用は飲食費に該当しません。

  • ゴルフや観劇、旅行等の催事に際しての飲食等に要する費用
    通常、ゴルフや観劇、旅行等の催事を実施することを主たる目的とした行為の一環として飲食等が実施されるものであり、その飲食等は主たる目的である催事と一体不可分なものとしてそれらの催事に吸収される行為と考えられますので、飲食等が催事とは別に単独で行われていると認められる場合(例えば、企画した旅行の行程の全てが終了して解散した後に、一部の取引先の者を誘って飲食等を行った場合など)を除き、ゴルフや観劇、旅行等の催事に際しての飲食等に要する費用は飲食費に該当しないこととなります。
  • 接待等を行う飲食店等へ得意先等を送迎するために支出する送迎費
    本来、接待・供応に当たる飲食等を目的とした送迎という行為のために要する費用として支出したものであり、その送迎費は飲食費に該当しないこととなります。
  • 飲食物の詰め合わせを贈答するために要する費用
    単なる飲食物の詰め合わせを贈答する行為は、いわゆる中元・歳暮と変わらないことから、その贈答のために要する費用は飲食費に該当しないこととなります。

社内飲食費に該当しない費用

社内飲食費の支出の対象者について法令では、「専ら当該法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する」と規定されていますので(措法61の4④)、自社(当該法人)の役員、従業員(これらの者の親族を含みます。)に該当しない者に対する接待等のために支出する飲食費等であれば、社内飲食費には該当しません。したがって、例えば次のような費用は社内飲食費に該当しないこととなります。

  • 親会社の役員等やグループ内の他社の役員等に対する接待等のために支出する飲食費
  • 同業者同士の懇親会に出席した場合や得意先等と共同で開催する懇親会に出席した場合に支出する自己負担分の飲食費相当額

帳簿書類への記載事項

 接待飲食費については、交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除きます。)で、かつ、法人税法上で整理・保存が義務付けられている帳簿書類(総勘定元帳や飲食店等から受け取った領収書、請求書等が該当します。)に、飲食費であることを明らかにするために次の事項を記載する必要があります(措法61の4④、措規21の18の4、法規59、62、67)。

  • 飲食費に係る飲食等(飲食その他これに類する行為をいいます。以下同じです。)のあった年月日
  • 飲食費に係る飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
  • 飲食費の額並びにその飲食店、料理店等の名称及びその所在地
  • その他飲食費であることを明らかにするために必要な事項

中方法人の選択適用

 中小法人については、接待飲食費の額の50%相当額の損金算入と、定額控除限度額までの損金算入のいずれかを、事業年度ごとに選択できることとされています(措法61の4①②)。
具体的には、申告書等に添付する別表15(交際費等の損金算入に関する明細書)において、いずれかの方法により損金算入額を計算し、申告等の手続きを行うことになります(措法61の4⑤)。

研究開発税制

研究開発税制の概要

 研究開発税制は、次のとおり、「試験研究費の総額に係る税額控除制度」、「特別試験研究に係る税額控除制度」、「中小企業技術基盤強化税制」及び「試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度」の4つの制度によって構成されています。
 なお、これらの制度には、「試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度」を除いて、「繰越税額控除限度超過額等の繰越控除制度」が設けられています。

試験研究費の総額に係る税額控除制

この制度は、青色申告法人のその事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額がある場合に、その試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除することを認めるものです。

特別試験研究に係る税額控除制度

この制度は、青色申告法人のその事業年度において損金の額に算入される特別試験研究費の額がある場合に、その特別試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除することを認めるものです。

中小企業技術基盤強化税制

この制度は、中小企業者等である青色申告法人のその事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額がある場合に、「試験研究費の総額に係る税額控除制度」又は「特別試験研究に係る税額控除制度」との選択適用で、その試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除することを認めるものです。

試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度

この制度は、青色申告法人の平成20年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額がある場合で、次のいずれかに該当するときに、上記1、2及び3の制度とは別枠でその試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除することを認めるものです。

(1) その試験研究費の額が、比較試験研究費の額を超え、かつ、基準試験研究費の額を超える場合

(2) その試験研究費の額が、その事業年度の平均売上金額の10%相当額を超える場合

平成26年6月現在