所得拡大促進税制

所得拡大促進税制の概要

平成25年4月1日から平成28年3月31 日までの期間内に開始する各事業年度(個人事業主の場合は、平成26年1月1日から平成28年12月31日までの各年。以下「適用事業年度」といいます。)において、国内雇用者に対して給与等を支給し、以下の3つの要件を満たした場合、雇用者給与等支給増加額の10%の税額控除ができる制度です。ただし、控除できる税額は、その適用事業年度における法人税の額(個人事業主の場合は、所得税の額)の10% (中小企業の場合は、20%) が限度となります。(平成26年度税制改正で適用期限が平成30年3月31日まで2年間延長されています。)

<平成26年4月1日より前に終了する事業年度について、適用する場合>
【要件①】雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合が5%以上であること
【要件②】雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額以上であること
【要件③】平均給与等支給額が比較平均給与等支給額以上であること

<平成26年4月1日以降に終了する事業年度について、適用する場合>
【要件①】雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合が、
・平成27年4月1日より前に開始する事業年度については2%
・同日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度については3%
・平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する事業年度については5%以上であること
【要件②】雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額以上であること
【要件③】平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えること(計算方法も変更)

他の税制措置との適用関係

雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度、復興産業集積区域において被災雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度、避難解除区域等において避難対象雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度、又は立地促進区域において避難対象雇用者等を雇用した場合の法人税額の特別控除制度とは選択適用(所得拡大促進税制を利用する場合、上記の税制は利用できない)となります。

国内雇用者とは

国内雇用者とは、法人又は個人事業主の使用人のうち法人又は個人事業主の有する国内の事業所に勤務する雇用者(当該法人又は個人事業主の国内に所在する事業所につき作成された賃金台帳に記載された者)をいい、雇用保険一般被保険者でない者も含みます。

ただし、当該法人の役員(法人税法第2条第15号に規定する役員をいいます)の特殊関係者や使用人兼務役員は、使用人から除かれています。なお、役員の特殊関係者とは、次の者をいいます。

① 役員の親族
② 役員と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
③ 上記①、②以外の者で役員から生計の支援を受けているもの
④ 上記②、③の者と生計を一にするこれらの者の親族

雇用者給与等支給額とは

雇用者給与等支給額とは、国内雇用者に対して支給する俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与の額で、当該適用事業年度において損金算入される金額をいいます。ただし、役員の特殊関係者や使用人兼務役員に対して支給する給与や退職手当ては除かれます。
また、給与等に充てるため他の者(当該法人との間に連結完全支配関係がある他の連結法人を含みます)から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除する必要があります。

◆給与等に含まれるものの例:賃金、勤勉手当、残業手当など給与所得とされるもの

◆給与等に含まれないものの例:退職手当など給与所得とされないもの

※注 決算賞与については、損金算入される事業年度の雇用者給与等支給額に含まれます。

基準雇用者給与等支給額とは

基準雇用者給与等支給額とは、平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度の前事業年度の雇用者給与等支給額をいいます。すなわち、平成25年4月1日より前に事業を行っている法人の場合には、平成24年度(個人事業主の場合は、平成25年)の雇用者給与等支給額が基準雇用者給与等支給額となります。

なお、基準事業年度の月数と当該適用事業年度の月数とが異なる場合、基準事業年度の雇用者給与等支給額に当該適用事業年度の月数を乗じてこれを基準事業年度の月数で除して計算した金額を基準雇用者給与等支給額とします。

 例1:3月末締めの会社の場合
→平成24年4月から平成25年3月までが基準事業年度となります。

 例2:12月末締めの会社の場合
→平成25年1月から平成25年12月までが基準事業年度となります。

雇用者給与等支給増加額とは

適用事業年度の雇用者給与等支給額から基準雇用者給与等支給額を引いた金額です。

 例:3月締めの会社の場合
→適用事業年度の雇用者給与等支給額から基準事業年度(平成24年4月から平成25年3月までの事業年度)の
雇用者給与等支給額を引いた金額です。

平成26年6月現在

障害者雇用に係る税制上の優遇措置

障害者雇用に係る税制上の優遇措置の概要

障害者を多数雇用したり、障害者施設への業務の発注を行うなど、障害者の雇用や
就業に積極的な企業は、税制優遇制度を利用することができます。
法人税(個人事業主の場合は所得税)や事業所税、不動産取得税、固定資産税の優遇
措置が受けられます。

利用できる税制優遇制度

1 機械等の割増償却措置(法人税・所得税)
2 「障害者の働く場」に対する発注促進税制(法人税・所得税)
3 助成金の非課税措置(法人税・所得税)
4 事業所税の軽減措置
5 不動産取得税の軽減措置
6 固定資産税の軽減措置

税制優遇制度の概要

1 機械等の割増償却措置(法人税・所得税)
障害者を多数雇用する事業所が減価償却を行う際、その事業年度、またはその
前5年以内に開始した各事業年度に取得・製作、建設した機械や設備などについて、
普通償却限度額に加えて、機械は24%、工場用建物は32%の割増償却をすること
ができます。

2「障害者の働く場」に対する発注促進税制(法人税・所得税)
就労移行支援事業所や特例子会社など、障害者を雇用している事業所(「障害
者の働く場」)への業務発注額を前年度より増加させた場合、過去3年間に取得、
製作、建設した減価償却資産について、発注額の増加額分の割増償却(対象とな
る減価償却資産の普通償却限度額の30%を限度)を行うことができます。

3 助成金の非課税措置(法人税・所得税)
国や地方公共団体の補助金、給付金、障害者雇用納付金制度に基づく助成金※
の支給を受け、それを固定資産の取得または改良に使った場合、その助成金分に
ついては、圧縮記帳により損金算入(法人税)、または総収入金額に不算入(所
得税)とすることができます。

4 事業所税の軽減措置
・資産割
障害者を多数雇用する事業所が助成金の支給を受けて施設の設置を行った場合、
その施設で行う事業にかかる事業所税について、課税標準となるべき事業所床面
積の2分の1に相当する部分について控除できます。
・従業員割
事業所税の課税標準となるべき従業員給与総額の算定について、障害者に支払
う給与総額を控除できます。

5 不動産取得税の軽減措置
障害者を多数雇用する事業所が助成金の支給を受けて事業用施設を取得し、
引き続き3年以上、事業用に使用した場合には、その施設の取得に伴う不動産取
得税について、取得価格の10分の1相当額に税率を乗じた額が減額されます。

6 固定資産税の軽減措置
障害者を多数雇用する事業所が助成金の支給を受けて事業用施設を取得した場
合には、その施設についての固定資産税の課税標準は、当初5年度分に限り、
課税標準となるべき価格から取得価格の6分の1に障害者雇用割合を乗じた金額
が減額されます。

平成26年6月現在