【時事解説】広がる変動価格制、その狙いとは その1

2021年3月から東京ディズニーリゾートのチケットは変動価格制になります。変動価格制というのは、商品やサービスの価格を需要と供給の状況に合わせて変動させる価格戦略を指します。これまで、東京ディズニーリゾートのチケットは年間を通して同じ金額でしたが、変動価格制により混雑が見込まれる時期は高く、閑散期は安くなります。具体的には、大人の1日券(1デーパスポート)は現在8,200円に固定されていますが、土日祝日や春休み・ゴールデンウィークなどの繁忙期は8,700円と現状から500円引き上げる予定です。

 このような変動価格はダイナミックプライシングといわれ、近年、様々な業界で導入の波が押し寄せています。企業にとってのメリットは利益の増加が期待できる点にあります。混雑しているときは、従来よりも高い価格で商品・サービスを販売するので、より多くの売上に繋がります。閑散期は価格が安くなるので、従来よりも顧客は商品・サービスを購入しやすくなり、売上数の増加が期待できます。顧客にとっても閑散期などは、混雑する期間よりも安く商品・サービスが得られるので、お得感が増します。

 もともと、ダイナミックプライシングは宿泊料など、旅行業界で取り入れられていました。旅行の計画を立てるとき、同じ部屋でもゴールデンウィークと平日では宿泊代金が大きく異なるのをよく目にします。

 ホテルやツアー料金だけでなく、すでに、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンやJリーグ、プロ野球、コンサートなど、すでに多くの業界でダイナミックプライシングは導入されています。加え、駐車場やタクシーの迎車料金に至るまで広がりを見せており、今後はますます増えると予想されます。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

(後編)国税庁:医療費控除の対象となるPCR検査費用を明示!

(前編からのつづき)

 ただし、医療費控除の対象となる金額は、自己負担部分に限りますので、公費負担により行われる部分の金額がある場合には、その部分は医療費控除の対象とはならないとしております。
 また、医師等の判断によりPCR検査を受ける以外に、単に感染していないことを明らかにする目的で受けるといった自己の判断により受けたPCR検査の検査費用は、医療費控除の要件には該当しないため、医療費控除の対象にはあたらないとの見解を示しております。

 しかし、PCR検査の結果、陽性であると診断され、引き続き治療が行われた場合には、その検査は健康診断により病気が判明して治療が行われた時と同じように、治療に先立って行われる診察と同様に考えることができることから、その場合の検査費用については、治療費とともに医療費控除の対象になるとの見解を示しております。
 さらに、医療費控除に該当した場合は、検査に行くために要した交通費も医療費控除に含まれますので、あわせてご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、令和3年1月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)国税庁:医療費控除の対象となるPCR検査費用を明示!

いまなお新型コロナウイルス感染症の収束が不透明な状況ですが、自費によるPCR検査の普及に伴い、検査人数も増加傾向にあります。
 ここで、PCR検査費用は、果たして医療費控除の対象となるのかどうか疑問が残るところですが、国税庁では、同庁ホームページ上で「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応などの当面の税務上の取扱いFAQ」を更新し、PCR検査費用と医療費控除についての見解を示しておりますので、ご確認ください。

 それによりますと、医療費控除の対象となるPCR検査費用は、まず医師等による診療や治療のために支払った費用であることや、治療や療養に必要な医薬品の購入費用などとされているとした上で、新型コロナウイルス感染症にかかっている疑いのある者へ行うPCR検査など、医師等の判断によりPCR検査を受けた際の検査費用は、医師等による診療や治療のために支払った費用に該当するので、医療費控除の対象となると指摘しました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和3年1月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 

《コラム》新型コロナウイルス感染症と医療費控除

◆マスク購入費用は医療費控除の対象?
 国税庁は、新型コロナウイルス感染症に関して、申告や納税などの税務上の取扱いに関するFAQを令和2年3月から公開していますが、現在も更新を続けており、横断的にきめ細かな説明をしています。
 今年の確定申告で、医療費控除を申告する方の中には「マスクの購入費用は医療費控除の対象になるのか」と疑問に思った方もいらっしゃるかと思いますが、この問いに関してはFAQの中で「No」という回答を出しています。

◆医療費控除の定義
 医療費控除の対象となる医療費は、
1. 医師等による診療や治療のために支払った費用
2. 治療や療養に必要な医薬品の購入費用
と定義されています。
 マスクの購入費用については「病気の感染予防を目的に着用するもの」であるから、治療や療養のための費用ではないため、医療費控除の対象にはならないのです。

◆オンライン診療の諸費用は?
 オンライン診療に係る費用についても回答があります。オンライン診療料やオンラインシステム利用料については、「診療に直接必要な費用に該当する」ので、医療費控除の対象になります。
 ただし、「医薬品の配送料」については、治療に必要な医薬品の購入費用に該当しないので、医療費控除の対象になりません。

◆PCR検査費用は?
 医師の判断によりPCR検査を受けた場合、この費用は医療費控除の対象になります。ただし、医療費控除の対象は自己負担部分に限られ、現状、医師の判断によるPCR検査は原則公費負担によって行われるため、このケースで医療費控除の対象になる費用が出ることは非常にまれです。
 「感染していないことを明らかにするためのPCR検査」等、自己の判断で受けた検査費用に関しては、医療費控除の対象となりません。ただし、検査の結果「陽性」であることが判明し、引き続き治療を行う場合には、その検査は治療に先立って行われる診察と同様に考えることができるので、医療費控除の対象となります。

《コラム》売却活動前の測量費

 相続した土地で駐車場を営む個人事業主が、土地活用の方針を決めるにあたり、隣地地権者と土地境界の測量を行い、その後、自身で活用する見込みがなくなり、当該土地の売却に転じた場合、測量費は譲渡所得の計算上譲渡費用を構成するでしょうか。

◆譲渡費用に該当するには
 所得税法では、譲渡費用の範囲を①資産の譲渡に際して支出した仲介手数料、運搬費、登記若しくは登録に要する費用その他当該譲渡のために直接要した費用 ②借家人等を立ち退かせるための立退料、土地の上にある建物等の取壊費用、既に売買契約を締結したが更に有利な条件で他に譲渡するため当該契約を解除した際生じる違約金、その他譲渡価額を増加させるため当該譲渡に際して支出した費用としています。
 売却方針決定前に支出した測量費が譲渡のため直接要した費用に該当するかは、例えば不動産仲介会社に土地売却の意思を伝え、媒介契約を締結して売却活動に入り、買主が見つかり売買契約の中で境界確定が条件とされ引渡しに至れば要件を充たすものと思われます。

◆取得費または維持管理費となるとき
 また譲渡資産の修繕費、固定資産税その他その資産の維持管理費用は、譲渡費用に含まれず、土地の測量費は各種所得金額の計算上必要経費に算入されたものを除き、土地の取得費に算入するとされています。
 売却方針が定まらない場合には、測量費を取得費とするか、アパート賃貸への転用、駐車場の継続等を想定して隣地との紛争予防をはかるため不動産所得の必要経費(維持管理費)とすることが考えられます。

◆概算取得費に注意する
 相続で取得した土地を譲渡する際、土地の取得価額が不明であれば、概算取得費として土地譲渡代金の5%相当額を控除することができます。
 ただ、概算取得費を計上する場合、測量費など支出した取得費は、譲渡所得金額の計算上、控除できなくなりますので測量費を取得費とする場合は注意が必要です。
 確定申告期限までに売却方針が決まらないとき測量費を維持管理費か取得費とするかを含め状況に応じた判断が求められます。

【時事解説】Go To商店街について その2

では、「Go To商店街」では具体的にどのような取組みが行われているのでしょうか。そこで2020年10月に先行募集として採択された34件の商店街の一つで、Go To商店街事業者向けサイトの採択事例として紹介されている島根県松江市の「新たな地域商店街としての魅力創造と地域顧客の物品購入、来街に向けての後方支援の拡充」に関する取組みについてみていきましょう。

 この取組みは、JR松江駅の周辺にあり松江市の中心市街地に立地する協同組合松江天神町商店街、竪町商店街、松江駅本通り商店会の3つの商店街を事業実施主体とし、商店街の店舗数は計121店舗に上ります。
 これらの商店街の周辺は、市内でも特に多く高齢者が在住する地域であり、コロナ禍においても、地域住民が安心して気軽に買い物ができる環境を構築することが課題となっています。
 こうした中、Go To商店街事業として、「まちゼミのリモート配信や各店舗の魅力発信動画の制作」や「商店を主題にしたショートフィルムによる地域の魅力の発信」などといったオンラインによる商店街の魅力の継続的な発信、「ベロタクシーを中心としたデリバリーシステムの構築実験」や「トゥクトゥクを活用したショッピングバスの運行実験」などといった非接触を心がけたデリバリーや送客事業などに取組んでいます。
 これらの取組みを通して地域住民の安全や利便性を高めつつ商店街を楽しんでもらいながら、地域住民の商店街への愛着を育み常連客を増やしていくと同時に、域外の消費者の来街も促していくことが期待されています。

 このようにGo To商店街事業を契機として、新しい生活様式に対応した商店街へと変化していく取組みが行われているのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】Go To商店街について その1

コロナ禍での商店街支援の一環として、2020年10月よりGo To商店街事業がスタートしました。
 同事業は、3密対策等の感染拡大防止対策を徹底しながら、商店街がイベント等を実施することにより、周辺地域で暮らす消費者や生産者等が「地元」や「商店街」の良さを再認識するきっかけとなる取組みを支援するものです。

 Go To商店街事業として実施するイベント等について、商店街等(商店街組織、商工団体、飲食店街など)は事業内容を提案する申請を行い、審査を経て採択された提案に基づくイベント等を実施するために必要な経費を国が支援します。対象となる事業は、消費者や生産者が地元や商店街の良さを再認識するきっかけとなるような商店街イベント等の実施(オンラインを活用したイベント実施も含む)や、地域の良さの再発見を促すような新たな商材の開発やプロモーションの制作などになります。

 同事業における新型コロナウイルス感染症対策として、イベントを実施する商店街等に対しては、①基本的対処方針(新型コロナウイルス感染症対策本部決定)等の遵守、②商店街ガイドライン・業種別ガイドライン等を踏まえた感染防止対策の徹底、③参加者へのチラシやポスター掲示等を通じた感染防止対策の周知徹底などが義務付けられます。同事業については、2020年12月18日現在で、全国1,434件の申請に対し532件の事業が採択されています。

 このように、Go To商店街事業を通して商店街が感染症対策を取りながら、地元の良さの発信や、地域社会の価値を見直すきっかけとなる取組みを行い、地域に活気を取戻していくことが期待されているのです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

(後編)AIを活用した税務相談「チャットボット」の利用を呼びかけ!

(前編からのつづき)

 なお、国税庁は、チャットボットの利用にあたり、注意事項として、
①チャットボットは、AI(人工知能)を活用したシステムによる自動応答で、有人によるチャットではないので、質問の意図をAIが認識しない場合には、表現を変えて再度入力する必要があること
②個人情報は入力しないこと
③所得税の確定申告又は年末調整に関して相談が多い事項に対応しているので、全ての質問に対応しているわけではないこと
④2020年分には対応しているが、過去の年分には対応していないこと
⑤日本国内の居住者に適用される所得税を前提にしており、非居住者には対応していないこと
⑥回答は一般的な事項について説明していることから、質問の前提となる事実関係により取扱いが異なる場合があること
⑦回答は、専門用語を一般的な用語に置き換えて説明している場合があり、回答に不明な点がある場合には、タックスアンサー等で確認することなどを挙げておりますので、ご利用される方はご注意ください。

(注意)
 上記の記載内容は、令和3年1月4日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)AIを活用した税務相談「チャットボット」の利用を呼びかけ!

国税庁では、所得税の確定申告や年末調整に関する疑問は、チャットボットである税務職員ふたばに気軽に相談するよう呼びかけております。

 チャットボットとは、「チャット(会話)」と「ロボット」を組み合わせた言葉で、質問したいことをメニューから選択するか、自由に文字で入力すると、AI(人工知能)を活用して自動で回答します。
 医療費控除や住宅ローン控除など問い合わせが多い質問についても、入力すると自動回答されますので、該当されます方はご利用ください。

 所得税の確定申告に関する相談は、確定申告の手続きを始め、給与所得、年金の所得、配当所得、株式の譲渡所得、医療費控除、住宅ローン控除、社会保険料控除、生命保険料控除、寄附金控除(ふるさと納税)、雑損控除、寡婦・ひとり親控除、勤労学生控除、配偶者(特別)控除、扶養控除、基礎控除、e-Taxや確定申告書等作成コーナーの操作、2020年分の税制改正に関することなど幅広く対応しております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和3年1月4日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

《コラム》課税される助成金と計上時期

 新型コロナウイルスの影響により様々な助成金等を受け取る機会がありました。それぞれの課税上の取り扱いを整理します。
◆非課税とされる助成金等
 以下の助成金は所得税の非課税として取り扱われます。
・特別定額給付金
・子育て世代への臨時特別給付金
・新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金
・学生支援緊急給付金
・低所得ひとり親世帯への臨時特別給付金
・新型コロナウイルス感染症対応従事者への慰労金
・企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の割引券及び助成

◆課税される助成金とその計上時期
 以下の助成金は課税され、原則的には支給の決定した時(権利の確定時)に収入を計上します。給与や家賃など特定の経費を補填する性格の助成金は、基本通達の取扱に準じて、必要な手続きをしているときはその経費の発生年度に計上することとなります。また、Go Toキャンペーンによる給付金やポイントは、そのサービスを受けたときやポイントの使用時に収入計上します。
(1)支給決定時に計上するもの
・持続化給付金
・地方自治体の感染拡大防止協力金
 持続化給付金については、①令和2年12月に申請したが支給決定の通知が来ていないもの、②令和3年に申請を行ったものは令和3年以後の収入となります。
(2)支給決定時又は経費発生時に計上するもの
・雇用調整助成金
・小学校休業対応助成金
・家賃支援給付金
・小規模事業者持続化補助金
・経営継続補助金(農林漁業者向け)
・感染拡大防止等支援事業の補助金(医療機関等向け)
(3)ポイント・クーポン使用時に計上するもの
・Go To トラベル事業の給付金
・Go To イート事業の給付金
・Go To イベント事業の給付金