《コラム》令和2年4月20閣議決定 新型コロナ緊急経済対策(税制措置)

◆新型コロナの緊急経済対策が閣議決定
 令和2年4月の閣議決定において、コロナショックが社会経済に与える影響が甚大であることから、緊急対策として税制措置が講じられることになりました。

1.納税猶予の特例(すべての国税)
 イベントの自粛要請や入国制限措置など、感染防止措置により多くの事業者の収入が急減している状況を踏まえ、すべての国税(印紙税を除く)につき1年間納税を猶予する特例が設けられました(適用:令和2年2月1日~令和3年1月31日納期到来分)。

2.欠損金の繰戻還付の特例(法人税)
 中小企業に認められている青色欠損金の繰戻し還付について、中堅企業(資本金1億円超10億円以下の法人)にも適用可能となりました(適用:令和2年2月1日~令和4年1月31日終了事業年度に生じた欠損金)。

3.中小企業設備投資税制(法人・所得税)
 中小企業設備投資税制の対象となる特定経営力向上設備等の範囲に、テレワーク等のための一定の設備投資が追加されました(適用:令和3年3月31日まで)。

4.寄附金控除の特例(所得税)
 政府の自粛要請を踏まえて中止された文化芸術・スポーツイベントの入場料について、観客が払戻しを放棄した場合には、その放棄した金額が寄附金控除(所得控除・税額控除)の対象とされました(適用:令和2年2月1日~令和3年1月31日に国内で開催する予定で中止されたイベント)。

5.住宅ローン控除要件弾力化(所得税)
 新型コロナの影響により、住宅建設が遅延した場合に、その住宅に令和2年末までに入居できなかったときでも、一定のケースには、控除期間が13年に延長された住宅ローン控除が適用されることとなりました。

6.課税事業者選択届出書の特例(消費税)
 新型コロナの影響により、事業者の一定期間(1か月以上)の売上げが著しく減少した場合、課税期間開始後における課税選択の申請を認めることとしました(2年間の継続適用ルールに関係なく、翌課税期間の取り止めも可能となりました)。

【時事解説】子会社と関連会社の経営責任の違い その2

上記の子会社の連結手法を「全部連結」、関連会社の連結手法を「持分法」といいます。全部連結も持分法も、連結財務諸表において、子会社と関連会社の業績のうちの親会社持分相当額を表示することを目的としています。ただ、両者の違いは、子会社ではその内容を親会社と一体として表示するために、一旦100%の子会社業績を載せてから、最後に親会社持分以外の持分を控除するのに対し、関連会社では最初から親会社持分相当額を該当箇所に表示するところにあります。

 この相違は単なる表示の問題ではなく、以下のように経営において重大な違いを生み出します。
 連結財務諸表の債務には関連会社の債務は含まれていませんが、子会社の債務は含まれています。連結財務諸表は親会社の株主に対する経営成績の開示です。そこにおいて、子会社の債務は親会社の債務と同じ位置づけになっていると表明したことになります。つまり、会計的には親会社は子会社の債務についても返済義務を負っていると解釈されることになります。

 ただ、これはあくまで“会計的”な意味合いです。法律的には「株主有限責任」の原則から、親会社は株主として出資金額を超える債務の返済にまで及ばないという考え方もあります。実務的には、親会社が子会社の債務負担をどこまで負うかという問題はケースバイケースということになるでしょう。

 子会社と関連会社の違いという点においては、親会社の連結財務諸表に債務が表示されるか否かということが決定的に重要です。会計的には、債務が表示される子会社は親会社の経営責任が及ぶ会社であり、表示されない関連会社は経営責任が及ばないと考えることができるからです。その結果、子会社と関連会社で、親会社の経営への関与の仕方も異なってくることになります。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】子会社と関連会社の経営責任の違い その1

今回は子会社と関連会社の経営責任の違いについて考えてみます。子会社は親会社に「支配されている会社」であり、関連会社は親会社の「影響力のある会社」です。子会社になるか関連会社になるかは他の要素も加味しますが、親会社の持株比率をベースにして、原則的には50%超が子会社、20%以上が関連会社になります。
 連結財務諸表では、その表示の方法が子会社と関連会社で次のように異なります。

 子会社は親会社と経営的に一体と考えます。ですから、連結貸借対照表では、親会社が所有している株式の価額を表示するのではなく、子会社の資産、負債は親会社の資産、負債と合算して表示します。100%子会社であれば、単純合算だけで構わないのですが、持株比率が100%に満たない子会社では、単純合算では取り込みすぎになってしまいます。そこで、親会社以外の持分を「非支配株主持分」として純資産の部で控除する形を取ります。
 ところが、関連会社は親会社と一体とまでは考えませんから、資産、負債を合算するのではなく、親会社が所有している株式の価額を固定資産の投資有価証券に含めて表示します。

 一方、連結損益計算書では、子会社は親会社と一体ですから、子会社の売上以下損益計算書項目は親会社と合算されます。これだと、連結貸借対照表と同様に持株比率が100%に満たない場合は利益を取り込みすぎになりますから、連結損益計算書の当期純利益から「非支配株主に帰属する当期純利益」を控除して「親会社に帰属する当期純利益」を算定します。なお、関連会社の場合は、売上以下の個別項目の合算ではなく、関連会社の当期純利益のうちの親会社の持分相当額を連結損益計算書の営業外収益における「持分法による投資利益」として計上します。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

《コラム》雇用調整助成金を活用して雇用の確保を

◆雇用調整助成金とは?
 雇用調整助成金については、添付書類が多くて手続きが煩雑、中小企業が独自で申請するのは困難などと報道されています。
 雇用調整助成金とは、災害などの影響により経済活動が大きく縮小した場合、雇用を維持した企業が社員に支払った休業手当の一部を、雇用保険会計から国が企業へ助成する制度です。
 これまでも、東日本大震災、リーマンショック、大型台風の際に活用されています。
 今回の特例では、支給率が中小企業は4/5(解雇等なしは9/10、60%超部分は10/10)にアップしています。

◆助成額と社員に支払う休業手当は異なる
 誤解が多いのですが、会社が社員に支払う休業手当の額と、会社が国から助成を受ける金額のベースは算定方法が異なるためイコールにはなりません。
 会社が社員に支払う休業手当は、下記①の平均賃金の60%以上であることが必要です(労働基準法26条)。
直近3か月の賃金総額÷総歴日数=①
 一方、会社が国から受給する助成額は、
前年度の雇用保険料の算定基礎となる賃金総額を前年度各月末の雇用保険被保険者数平均で除し、さらに1人あたり平均所定労働日数で除すことで、1人1日あたりの平均賃金相当額②を算出します。会社が休業手当①の60%を支払っていれば、②の60%(100%払っていれば100%)に支給率を掛けた金額が、日額8,330円を上限に支給されるという計算方法となっています。

◆制度の運用が日々変更されているので注意
 本来、休業計画策定→労使協定締結→休業計画提出→休業→支給申請の流れですが、今回は先に休業していても、計画の提出は6月末までの事後提出が認められています。
 また、感染防止の観点から書類は窓口持参よりも郵便による提出が推奨され、近々電子申請による受付も開始されるようです。
 厚生労働省ホームページでは、雇用調整助成金ガイドブックやFAQなどが日々更新されています。最新情報を入手して、申請されることをお勧めします。

 

《コラム》新型コロナ禍でも事業継続をするために持続化給付金の活用

◆持続化給付金とは
 新型コロナウイルスの感染症拡大により、特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を下支えし、再起の糧とするために、事業全般に広く使えることを目的とする給付金です。支給額は最大で法人は200万円、個人事業主は100万円です。昨年1年間の売上からの減少分を上限とします。
◎売上減少分の計算方法
 前年の総売上(事業収入)-(前年同月比でマイナス50%月の売上×12か月)

◆支給対象
 新型コロナウイルス感染症の影響により、売上高が前年同月比で50%以上減少している者が対象となります。
 法人は資本金10億円未満であることです。つまり、中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者なら活用できます。また、医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人など、会社以外の法人についても幅広く対象となります。

◆申請方法
 持続化給付金の申請手順は下記のとおりとなります。
①持続化給付金のホームページへアクセス
②申請ボタンを押して、メールアドレスなどを入力
③入力したメールアドレスに、メールが届いていることを確認して本登録
④IDとパスワードを入力するとマイページが作成されます。そこに基本情報、売上額、口座情報を入力します。
⑤必要書類を添付
・2019年の確定申告書の控え
・売上減少となった月の売上台帳の写し
・身分証明書の写し(個人事業主)
※スマホの写真画像でもOKです(できるだけきれいに撮ってください)
 その後は持続化給付金事務局で申請内容を確認した後に、2週間程度で給付通知書を発送し、登録の口座に入金予定です。

 必要とされる方に幅広く活用できるように2兆円を超える予算が組まれています。
 2019年に創業した方や、一定期間に偏在している方には特例があります。また、一度給付を受けた方は、再度給付申請することができないのでご注意ください。

 

コラム》国税「新型コロナQ&A」 新型コロナと役員給与減額

◆新型コロナの影響による役員給与の減額
 新型コロナウイルス感染症の影響よる会社経営へのインパクトは、日増しに大きなものとなってきました。
 中小企業では、どうにか利益を出したいとき、資金繰りに窮したときに用いられる対策の一つが「役員給与の減額」。今回の状況下での減額が税法上認められるものなのかどうなのか、皆様の関心事だと思います。
 法人税の取扱いでは、役員給与は「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業績連動給与」以外の給与は、損金不算入とされ、年度の途中で「定期同額給与」を改定する場合には、①定時株主総会による通常改定、②臨時改定事由による改定、③業績悪化改定事由による改定によらなければ、損金不算入とされる金額が発生します。

◆「Q&A」で新型コロナ関連事例を例示
 ここで「業績悪化改定事由」とは、法人の経営が著しく悪化したこと、その他これに類する理由とされています。「著しい経営悪化」は、単なる赤字では認められず、悪化のレベルが「著しい」かどうかの認定で、税務署と揉める場合がよくあります。「Q&A」では、次の2つの事例を掲載しています。

◆「やむを得ない」「客観的に悪化は不可避」
1.既に業績悪化(イベント請負業の場合)
 イベント開催の中止要請に従い、数か月先のイベントが全てキャンセル。予定した収入がなくなり、家賃・人件費を支払うことも困難となったため、年度の中途で役員給与の減額を行うこととした。
 この場合、既に経営数値や資金面が著しく悪化しているため、(取引銀行や株主との関係からも)「やむを得ず」減額しなければならない状況にあるのであれば、「業績悪化改定事由」に該当するとしています。
2.悪化見込(主要売上先が観光客の場合)
 新型コロナの影響で、インバウンド顧客が激減。営業時間短縮、社員の出勤調整で対応するが、更なる経費削減も必要な状態。過激なコストカットは困難なため、まずは役員給与の減額から検討している。
 この場合、売上などの数字がまだ悪化していなくても、役員給与減額などの経営改善策を講じなければ、急激に財務状況が悪化する可能性が高いという「客観的な(経営悪化不可避の)状況」にあるときは、「業績悪化改定事由」に該当するとしています。

《コラム》新型コロナウイルス感染症に関連する個人向け助成金等

新型コロナウイルス感染症に関連する補助金や助成金のうち、比較的利用しやすい個人向けのものをご紹介します。

◆特別定額給付金
 給付対象者は、基準日(令和2年4月27日)において、住民基本台帳に記録されている者で、給付対象者1人につき10万円が給付されます。

◆傷病手当金など
 被保険者が業務災害以外の理由により新型コロナウイルス感染症に感染している場合には、他の疾病に罹患している場合と同様に傷病手当金が支給されます。また、業務に起因して感染したものであると認められる場合には、傷病手当金ではなく、労災保険給付の対象となります。

◆休業手当など
 使用者の都合による休業の場合、使用者は、休業手当を支払わなければならないところですが、労働基準法上の休業手当の要否にかかわらず、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が休業手当を支払った場合、雇用調整助成金として一部が事業主に助成されます。
 また、子供の臨時休校により仕事を休まざるを得なくなった保護者ために、休みの間の給与を助成する制度もできました。フリーランスで働く人のための支援金もあります。

◆国民年金・国民健康保険料(税)の減免
 令和2年5月1日から新型コロナウイルスの感染症の影響により国民年金保険料の納付が困難となった場合の臨時特例手続きが開始されています。国民健康保険料についても地方自治体が条例等により減免を行います。

◆住居確保給付金
 離職や休業などで収入が減り、家賃を払えない人には、地方自治体が家賃を補助する「住居確保給付金」という制度があります。今回、従来より要件が緩和されました。

◆修学支援新制度
 家計が急変した学生には、授業料の減免や、給付型の奨学金が支給される「修学支援新制度」があります。各学校の奨学金窓口に相談してみましょう。

 

【時事解説】コロナショックで恩恵を受ける事業とは その2

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、外出自粛が強まっています。中には友人と飲み会ができないことを残念に思う人も少なくありません。そこで、若者を中心に、ビデオ会議サービスを活用した「リモート飲み会」を開く人が増えました。もともと、このサービスはビジネス用途に開発されたものです。本来、遠隔で会議するためのツールですが、飲み会にも応用できます。画面越しに乾杯し、巣ごもりで不足しがちな他者との対話を楽しむことができます。

 また、買い物の回数を減らしたいというニーズがあり、食品を長持ちさせるフードテックに注目が集まっています。具体例を挙げますと、エイジングシートといって、食物を美味しく長持ちさせるシートが話題を呼んでいます。これは、肉などの食材を包むことで速く安全に熟成できる布状のものです。シートには人体に無害の毛カビの胞子が付着しており、通常より3倍速く熟成ができます。熟成させることで、食品の日持ちを長くするのはもちろん、うま味も増します。現在は肉だけでなく魚にも応用でき、日持ちのしない魚が数週間、美味しく頂けるようになります。

 コロナ災害によって、社会は急変しました。日本経済は、少し前まで外国人観光客を対象としたインバウンドやコト消費が賑わいを見せていました。ところが、現在、インバウンド消費は大幅に落ち込んでいます。また、外出自粛の流れでイベントをはじめとするコト消費は影をひそめてしまいました。そして、コロナ禍が落ち着いた後は、今とは違った状況になると予想されています。その中、必要とされる能力は、こうした大きな変化をとらえ、適応する力だといえます。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】コロナショックで恩恵を受ける事業とは その1

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、外出を控えることが多くなりました。結果、外食やレジャー施設など、様々な分野で売上が減少しています。ただ、すべての事業が打撃を受けているわけではありません。

 なかでも、リモートワークや休校などにより自宅で過ごす人が増えた結果、「巣ごもり消費」が伸びています。「巣ごもり」というのは、鳥が巣にこもるように、人が外出を控え、自宅で過ごすことを指します。巣ごもり消費で好調なサービス・商品には、ネット通販や宅配のほか、映像配信や家庭用ゲーム機器、スマホゲームなどがあります。

 また、料理関連グッズも好調です。外食の機会が減り主婦が家で調理する負担が増えました。そこで、電子レンジで加熱するだけで簡単に調理ができる容器が人気上昇中です。さらに、外出を自粛するため、買い物の回数を減らさなければなりません。そのため、コメや野菜の鮮度を保つための気密性の高い袋など、巣ごもりをするうえで便利な商品の需要が伸びています。

 加えて、外出自粛の広がりを背景にインターネットを利用する機会が増えました。結果、ネット広告事業が好調です。また、運動不足の解消やストレス発散として、トレーニング機器のほか、自宅でリラックスするための入浴剤も売れています。

 コロナ災害で売上が大幅に減少した企業が多くあります。その中でも、好調な分野は存在しています。今、経済面でコロナウイルスに打ち勝つために、もっとも重要なポイントは、ウイルスの影響による世の中の変化をいち早くとらえ、自身の事業を世の中の変化に合わせるように変えていくことだといえます。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】若者に向けた中小企業の魅力発信 その2

では、中小企業の魅力について、若者と中小企業との間にどのような認識の違いがみられるのでしょうか。そこで経済産業省近畿経済産業局が2018年に実施した「若者就職意識調査」と「企業フォローアップ調査」において、「中小企業の良い点」として学生及び中小企業のそれぞれが認識している項目を比較してみましょう。

 中小企業が考える自社の魅力と、学生が考える中小企業の魅力の共通点をみると、「地域に貢献している」、「やりがい・働きがいがある」、「社員を大切にする」、「成長志向がある」、「優れた実績、高い業績がある」などの項目は、学生、中小企業の双方が「中小企業の良い点」として認知する回答割合が高く、両者に大きな差はみられません。

 一方で、学生は中小企業に期待しているが、企業はそれほど自社の魅力と認識していない項目についてみると、「残業が少ない」、「会社の雰囲気がよい」、「希望の仕事ができる」といった項目は、学生側は「中小企業の良い点」として回答した割合が高くなる一方で、中小企業側は「良い点」として回答した割合が低くなっています。

 さらに、企業は魅力に思っているが、学生とは少し乖離がある項目についてみると、「担当する仕事の幅が広い」、「長年経営を持続させている」、「社会で必要な商品・サービスを提供している」といった項目は、企業側は「中小企業の良い点」として回答した割合が高くなる一方で、若者側は「良い点」として回答した割合が相対的に低くなっています。

 以上のことから中小企業は、学生が中小企業に期待する項目を重点的にアピールするとともに、自社が魅力として認識する点を学生にわかりやすく説明することが求められるのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)