《コラム》令和2年より適用 青色申告特別控除額の変更

◆青色申告特別控除額が変わります
 青色申告特別控除とは、不動産所得又は事業所得が発生する事業を営んでいる方で、正規の簿記の原則により記帳している、貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付している等、各種条件をクリアしている場合に受けられる所得控除です。65万円控除と10万円控除が存在します。
 令和2年より、従前の65万円控除が基礎控除の引き上げに伴い、55万円へと減少します。10万円控除の金額には変更がありません。

◆電子申告か電子帳簿保存で減税に!
 令和2年からの青色申告特別控除には、もう1段階上の青色申告特別控除が設けられます。55万円の控除を受ける条件をクリアして、その上で「e-Taxで決算書を提出する」又は「電子帳簿保存法に対応する会計ソフトを用いて記帳し、かつ電子帳簿保存法の承認申請書を税務署に提出している」のどちらかに当てはまれば、改正適用後でも青色申告特別控除として65万円の所得控除が受けられますので、基礎控除の10万円増加と併せてみると減税になります。

◆承認申請書の提出期限にご注意を
 e-Taxについては、すでにご存じの方も多いとは思いますが、インターネットを利用して電子的に申告書や青色申告決算書のデータを作成し、送信することです。
 電子帳簿保存とは、一定要件の下で、帳簿を電子データのままで保存できる制度です。この制度の適用を受けるには帳簿の備付けを開始する日の3か月前の日までに申請書を税務署に提出する必要があります。また、原則として課税期間の途中から適用することはできませんが、令和2年分に限っては、令和2年9月29日までに承認申請書を提出し、同年中に承認を受けて、12月31日までに、仕訳帳及び総勘定元帳の電磁的記録による備付け・保存を行えば、65万円の控除を受けることができます。
 提出か保存、どちらかを電子的に行えば10万円の所得控除の上乗せができますが、まだ導入されていない方は、今のうちからどちらかに対応できるように計画を立てておくと良いでしょう。

《コラム》源泉控除対象配偶者と同一生計配偶者

◆扶養控除等申告書を良く見てみると
 年末調整の時期に配られる「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、会社が来年の源泉徴収をいくらにするのかを決めるための用紙です。
 この中に、「源泉控除対象配偶者」「同一生計配偶者」と、あまり聞きなれない単語が出てきます。1つずつ見てみましょう。

◆源泉控除対象配偶者とは
 源泉控除対象配偶者は、その名の通り「源泉控除されるべき配偶者」です。控除を受ける本人の令和2年中の所得の見積額が900万円以下であること、配偶者の令和2年中の所得の見積額が48万円以下で、配偶者控除が適用になるか、見積額が95万円以下で、配偶者特別控除額が最高額である人が対象です。
 この説明で、経理のご担当者様などは「あれっ?」と思ったかもしれません。令和元年までであれば配偶者控除の場合は所得の見積額は38万円以下、配偶者特別控除が最高額である人の所得の見積額は85万円というのがボーダーラインでしたが、令和2年からの税制では、基礎控除が基本的には10万円上がり、給与所得控除が基本的には10万円下がるため、配偶者控除等の判定に利用する「所得額」も10万円引き上げて考えるようになりました。

◆同一生計配偶者とは
 同一生計配偶者は、控除を受ける本人の所得は問わず、配偶者の令和2年の所得の見積額が48万円以下の人です。
 本人の所得が多く、配偶者控除が受けられない場合、「源泉控除対象配偶者」のカウントには入らないのですが、所得の少ない配偶者分の障害者控除は受けるため、この区分が必要となります。

◆忍び寄る令和2年の恐怖?
 先に触れたように、令和2年から基礎控除や給与所得控除・年金所得控除の改正が適用されます。所得が2,400万円を超えると基礎控除は減ってゆきますし、給与収入は850万円を超えると基礎控除の上昇を加味しても、令和元年の水準より下がります。また所得の種類や「子育て・介護」等の条件付けによって額面が変動するようになるため、来年の年末調整の用紙はもう1枚追加となるようです。ややこしいですね。

 

【時事解説】住民票の旧姓併記は女性活躍を後押しするか その2

住民票やマイナンバーカードなどに旧姓を併記できる制度が開始されました。新制度のメリットは多岐に渡りますが、一例を挙げると、給与振り込みがあります。現在、銀行口座は結婚後、名義変更をしなければなりませんでした。旧姓を使用すると、職場での名前とは別の名義の口座に給与が振り込まれることになります。ところが、昨年、銀行口座にマイナンバーが適用されたので、マイナンバーカードに旧姓を併記すれば、旧姓のまま口座を使える可能性が出てきました。

 旧姓の併記はここ数年で広がりを見せています。2015年は法人登記の制度変更がありました。近年、女性を役員に登用する上場企業が増えています。ところが、制度変更以前は、会社の登記において、記載される役員の名前は戸籍名で表示しなければなりませんでした。これが問題となり、旧姓の併記が可能になりました。

 新制度により、女性は様々な活動の場面で旧姓を使用しやすくなり、女性活躍推進につながると期待されています。背景にあるのは、超高齢化が進む中、日本経済の発展には働き手を増やさなければならないことが挙げられます。が、子どもの数は減り、簡単には実現しそうもありません。そんな中、日本経済を支えるには、女性の活躍が必要となります。

 理想をいえば、旧姓と現名、どちらか好きな方を選べる社会になることです。こうした流れを受け、夫婦別姓の導入について議論が高まっています。ただ、現段階、最高裁の判決では、夫婦同姓は違憲とはいえないとされています。今後、さらに議論が進むことで、夫婦同姓を定めた現在の民法が改正される可能性もあります。結果、旧姓と現名、好きな名前を選べるようになります。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】住民票の旧姓併記は女性活躍を後押しするか その1

住民票やマイナンバーカードなどに旧姓を併記できる制度が開始されました。近年、職場で旧姓を使用する女性が増えています。結婚などで新しい姓に変わると、関係者に姓の変更を伝える、ネームプレートや旧姓を使ったメールアドレスを変更する、といった手続きをしなければなりません。これらを煩わしいと感じる人も少なくありません。また、電話の取次ぎなど、慣れ親しんでいる旧姓のほうがスムーズ、といったことがあり、旧姓の使用を希望する人が多くいます。

 ところが、戸籍上の名前と仕事での名前が違うと、会社に公的書類を提出する際、「名前が違う」といった指摘を受け、トラブルになるケースも少なくありませんでした。今回の制度で、住民票などに旧姓を併記できるようになり、トラブル減少に期待が寄せられています。

 新制度により旧姓が記載できるようになったものは、「住民票の写し」「マイナンバーカード・通知カード」「署名用電子証明書」「印鑑登録証明書」などです。不動産登記のように、併記が認められないものもまだ残されています。
 住民票などに旧姓を併記するには申請が必要です。申請には、戸籍謄抄本やマイナンバーカード・通知カード、運転免許証などの本人確認書類といったものの提出、提示が必要になります。

 旧姓の併記は政府が進める女性活躍推進の一つで、この施策により、女性は様々な活動の場面で旧姓を使用しやすくなります。まだまだ、職場によっては、旧姓の使用を認めないところもありますが、使用できる職場は増加の傾向にあります。旧姓併記の制度は女性の社会進出の後押しとして期待されています。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

 

【時事解説】商店街の現状と課題 その2

では、商店街では課題解決に向けてどのような取組みが行われているのでしょうか。以下で、「平成30年度商店街実態調査報告書」の内容に基づいて商店街での課題解決に向けた取組みについてみていきましょう。

 商店街が抱える問題のうち、最も大きな問題である商店街の後継者問題への対策については、「対策は講じていない(91.2%)」、「研修を実施している(3.2%)、「外部から後継者を募集している(2.2%)」となっており、取組み状況は極めて低くなっています。

 魅力ある店舗を形成するための個店の改善策・活性化策について、「一部でも行った」と回答のあった取組みについてみると、「店舗改装・店内レイアウトの変更(37.7%)」、「販売促進(POP・ディスプレイ・チラシ等)の強化(33.1%)」の順に回答割合が高くなっています。

 空き店舗の発生に対する商店街の取組み状況についてみると、「特に関与していない」と回答した割合が57.0%を占めています。一方で、空き店舗の発生に対する取組みを行っている商店街では、「家主に対して賃貸の要請を行う(14.2%)」「業種・業態を考慮したうえで積極的に店舗を誘致する(14.2%)」などの回答割合が高くなっています。次に、商店街の地域(各種団体等)との連携状況をみると、全体の72.8%の商店街が地域の各種団体との連携を行っていると回答しています。具体的な連携先については、「商工会・商工会議所(65.5%)」、「自治会・町内会・婦人会(63.1%)」、「市町村等の行政機関(45.5%)」の順に回答割合が高くなっています。

 このように、商店街の後継者問題の解決や、地域住民のニーズに対応した商店街の取組み推進に向けては地域の各団体等との連携促進がカギとなるのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】商店街の現状と課題 その1

 近年商店街を取り巻く環境は厳しさを増しています。中小企業庁は商店街の実態を調査すべく1970年(昭和45)年から「商店街実態調査」を実施しており、2019年3月に13回目の調査結果として「平成30年度商店街実態調査報告書」が公表されました。同報告書によると、1商店街あたりの空き店舗の平均店舗数は2018年度現在で5.3店、平均空き店舗率(全商店街の空き店舗数の合計/全商店街の全店舗数の合計)は13.8%となり、高い水準で推移しています。

 空き店舗が埋まらない理由を貸し手側の都合によるものと、借り手側の都合によるものとに分けてみると、貸し手側の都合によるものについては、「店舗の老朽化(40.0%)」、「所有者に貸す意思がない(39.2%)」の順に回答割合が高くなっています。借り手側の都合によるものについては、「家賃の折り合いがつかない(36.1%)」、「商店街に活気・魅力がない(35.9%)」の順に回答割合が高くなっています。

 商店街の最近の景況について聞いたところ、「繁栄している(2.6%)」、「繁栄の兆しがある(3.3%)」となる一方で、「衰退している(37.5%)」、「衰退の恐れがある(30.2%)」、となっており、衰退傾向が、繁栄傾向を大きく上回っています。

 現況の商店街が抱える問題について聞いたところ、「経営者の高齢化による後継者問題(64.5%)」、「店舗等の老朽化(38.6%)」、「集客力が高い・話題性のある店舗・業種が少ない又は無い(36.9%)」、「商圏人口の減少(35.5%)」の順に回答割合が高くなっています。

 このように商店街は空き店舗増加、後継者不足、店舗の老朽化など様々な問題を抱えているのです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

中小の7割が軽減税率の再検討要望

飲食料品などの消費税率を8%とする軽減税率制度について、中小企業の74%が見直しを求めているという調査結果がまとまりました。中小企業の経営者でつくる「中小企業家同友会全国協議会」が、消費増税後に全国の中小企業1万4千社余りを対象に調査を実施し、1300社余りから回答を得ました。

 この調査は消費税率が10%に引き上げられた直後に行われたものですが、「大きな影響が出ている」「若干の影響が出ている」と何らかの影響が出ていると回答した企業は29%に上りました。さらに、「今後、影響が出る」(25%)と、これからの影響を危惧する企業も少なくないことが分かっています。

 影響の内容(複数回答)として「仕入金額の高騰(31%)」「駆け込み反動による売上減少(22・1%)」について不安視する声が多数でした。また、「軽減税率対応の負担」「キャッシュレス対応の負担」は全体では9%前後でしたが、流通・商業の業種では14~17%近くに上っています。

 酒類と外食を除いた飲食料品の税率を8%に据え置く軽減税率について尋ねたところ、「再検討すべき」が74%となり、「現行通りでよい」の14%を大きく上回りました。またポイント還元(61%)、インボイス制度(47%)でも見直しを求めることが多数となっています。消費税率10%については、「現行通り」49%、「再検討すべき」37%と分かれましたが、「現行通り」と回答した人の中には、「やむを得ない」「仕方ない」などの消極的な肯定の意見も目立ちました。

<情報提供:エヌピー通信社>

《コラム》令和2年より適用 給与所得控除と基礎控除の変更点

◆給与収入850万円までは変化無し
 令和2年より、給与所得控除と基礎控除が変更となります。内容としては基本的に、
①基礎控除は10万円引き上げる
②給与所得控除は10万円引き下げる
となっています。
 しかし、給与所得控除は改正により「給与収入が従来1,000万円だった限度額が850万円で上限」となりますので、給与収入が850万円以上の方には増税となります。
 なお、23歳未満の扶養親族がいる子育て世帯や、特別障害者を扶養している世帯に関しては、従来の給与所得控除より10万円下げるに留まるように「所得金額調整控除」を創設して、基礎控除の10万円上昇と併せて、給与収入が850万円を超える人でも、負担が増えないような措置が取られています。

◆所得が多い人にはさらに増税に
 基礎控除は、合計所得金額によって減少・消失するようになります。
 合計所得金額が2,400万円以下であれば、令和元年までの額より10万円アップの48万円、2,400万円超~2,450万円までは32万円、2,450万円超~2,500万円までは16万円、2,500万円超は0円となります。基礎控除の減少・消失に関しては子育て世帯や特別障害者を扶養している世帯であっても、所得金額調整控除は行われません。
 令和2年の給与所得控除の最大額は195万円ですから、給与のみの方の場合、収入が2,595万円以上であると、基礎控除の減少・消失の影響で増税となります。

◆公的年金等控除も同様の措置
 給与所得控除と同様、令和2年より公的年金等控除も基本10万円の引き下げですが、公的年金等収入1,000万円の控除額195.5万円が上限となります。また、公的年金以外の所得が1000万円超ある場合はさらに10万円の引き下げ、2,000万円超ある場合は20万円の引き下げが行われます。

◆給与と公的年金が両方ある場合の措置
 給与収入と、公的年金等収入の両方がある方の場合、合計20万円の控除額の減少とならないように、「所得金額調整控除」によって、10万円を給与所得の金額から控除するようになります。

 

《コラム》補助金・助成金を賢く使って会社の力に!

◆補助金と助成金の基本的な違い
 企業が受ける補助金や助成金は企業運営にとって、資金調達手段として欠かせないものですが、補助金と助成金は違いがあります。

①給付金の出どころの違い
 補助金と助成金はお金の出どころが違います。補助金は経済産業省・中小企業庁が実施する国庫からの給付金ですが、助成金はそれ以外の省庁や自治体等が実施する給付金で、よく耳にするのは厚労省の雇用関連の助成金でしょう。間違えて補助金と呼ばれる助成金もあるようです。

②事業投資と人材投資の違い
 補助金は基本的に事業への投資ですから経済産業省に対する事業計画・収支計画書を出します。投資を受けた後5年間は倒産なく、事業が成長できる事業内容と収支計画がそろっている必要があります。補助金は企業に対する金銭的救済措置ではなく、投資家(経済産業省)向けの計画ですから儲かっていれば審査で加点されますが、赤字であれば減点されます。一般的には直近2期が黒字で債務超過でないことが条件とされています。給付が最高1千万円ぐらいで助成金より高額なのが大きな違いです。
 助成金は厚労省であれば雇用環境・雇用条件の改善や社員教育等人材への投資が目的で、「労働者」に対して何か施策を行う、というのが特徴です。金額は数十万円といったものが多いようです。

③補助金の採択率・補助率とは
 助成金は予算がある限り条件がそろえばほぼ100%支給されますが、補助金の採択率は平均35%くらいといわれています。東京都の企業からの申請書のレベルが高いので地方の企業が不利にならないよう東京都は採択率が地方より低くなる措置が講じられています。地震、津波、大雨の被災地の都道府県は特例で採択率が高くなります。補助金の補助率は対象経費の1/2、2/3となっています。対象経費は公募要領で定められています(消費税は除く)。

④採択方法の違い
 補助金は申請後審査、採点をし、点数の高い方から採択され、助成金は申請後の審査の後受付順で採択されます。補助金でもIT導入補助金や軽減税率対策補助金は先着順です。補助金は採択後対象経費を支払い、実施報告提出後清算払いされます

(後編)還付申告書は、その年の翌年1月1日から5年間提出が可能!

(前編からのつづき)

 これらの所得について源泉徴収された所得税は、源泉分離課税になっていますので、確定申告によって還付を受けることはできません。
 また、源泉分離課税制度は源泉徴収だけで課税関係が終了しますので、他の所得と合算して確定申告する必要がありません。

 すでに還付申告をしている人が、その申告した年分について、還付を受けるべき税金を少なく申告してしまった場合には、還付申告ではなく、更正の請求という手続きにより納めすぎの所得税の還付を受けることができます。
 この更正の請求をできる期間は、原則として還付申告書を提出した日から5年以内とされており、提出先は、納税地を所轄する税務署長です。

 なお、所得税の額から控除しきれなかった住宅借入金等特別控除額がある場合、翌年度分の個人住民税額からその控除しきれなかった金額を控除できる場合があり、適用を受けるためには、年末調整によりこの制度の適用を受けている場合を除き、原則として翌年3月15日の確定申告期限までに住宅借入金等特別控除を受けるための確定申告書を住所地等の所轄税務署に提出する必要がありますので、該当されます方はご注意ください。

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年11月15日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。