(前編)還付申告書は、その年の翌年1月1日から5年間提出が可能!

確定申告の義務がない人でも、源泉徴収された所得税額や予定納税をした所得税額が年間の所得金額について計算した所得税額よりも多いときは、確定申告をすることによって、納め過ぎの所得税が還付されます。
 この申告を還付申告といいます。
 そして、還付申告ができるのは、その年の翌年の1月1日から5年間ですので、該当されます方はご確認ください。

 還付申告の例として、給与所得者のケースでは、
①年の途中で退職し、年末調整を受けずに源泉徴収税額が納めすぎとなっているとき
②一定の要件のマイホーム取得などをして、住宅ローンがあるとき
③マイホームに特定の改修工事をしたとき
④多額の医療費を支出したとき
⑤特定の寄附をしたとき
⑥災害や盗難などで資産に損害を受けたとき
⑦特定支出控除の適用を受けるときなどに還付申告をすることができます。

 ただし、還付を受けることができない所得もあります。
 例えば、預貯金の利子や特定の金融類似商品の収益、一定の割引債の償還差益や一時払養老保険の差益などが該当します。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年11月15日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)国税庁:台風第19号による被害者に申告・納税等の特例を公表!

(前編からのつづき)

(4)災害により被害を受けた事業者が、その被害を受けたことにより、災害等の生じた日の属する課税期間等について、簡易課税制度の適用を受けることが必要となった場合、又は適用を受けることの必要がなくなった場合には、所轄税務署に申請、承認を受けることにより、災害等の生じた日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を受けること、又は適用をやめることができます。
 例えば、災害によって事務処理能力が低下したため、一般課税から簡易課税への変更が必要になった場合や、棚卸資産その他業務用の資産に相当な損害を受け、緊急な設備投資を行うため、簡易課税から一般課税への変更が必要になった場合などに適用されます。

 上記のように、災害により被害を受けた場合に受けられる手続き等は数多くありますので、国税庁では、被害状況が落ち着いたら、まずは最寄りの税務署へ相談するよう呼びかけております。

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年11月15日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)国税庁:台風第19号による被害者に申告・納税等の特例を公表!

 国税庁は、「台風第19号により被害を受けられた皆様方へ」と題して、災害による被害を受けた際の申告・納税等に関する手続等を同庁ホームページ上に公表しております。

 それによりますと、災害により被害を受けた場合には、以下の申告・納税等に係る手続等を説明しております。
(1)災害による交通途絶等により期限までに申告・納税等をできないときは、所轄税務署に申請、承認を受けることにより、その理由の止んだ日から2ヵ月以内の範囲で期限延長されます。
 例えば、毎月10日が納付期限の源泉所得税及び復興特別所得税の納付について、災害により被害を受けたために期限までの納付ができない場合には、期限の延長を受ける手続きがあり、この手続きは期限が経過した後でも行うことができます。
(2)災害により財産に相当な損失を受けた場合は、所轄税務署に申請、承認を受けることで、納税猶予を受けられます。
(3)災害によって住宅や家財などに損害を受けたときは、確定申告で所得税法に定める雑損控除か、災害減免法に定める税金の軽減免除のどちらか有利な方法を選ぶことにより、所得税の全部又は一部を軽減できます。
 また、給与等、公的年金等、報酬等から徴収される(又は徴収された)源泉所得税の徴収猶予や還付を受けられます。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年11月15日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

《コラム》年間5日以上の有給休暇取得義務化

◆有給休暇を年間5日以上取得させる義務
 「働き方改革」の一環として、労働基準法が改正され、2019年4月以降、年次有給休暇が年間10日以上付与される労働者に対して、年間5日以上取得させることが企業に義務付けられました。
 注意すべき点は、①企業の規模にかかわらず全企業が対象、②管理監督者も含まれる、③週の所定労働日数が少ないパートタイム労働者も勤続年数によっては対象となる、④違反に罰則が適用される、などです。

◆有給休暇の積極的な取得に向けて
 有給休暇は、労働者が時季(時期ではない)を指定して、使用者が時季変更権を行使しない限り、取得が認められます。
 本来、労働者の時季指定が出発点ですが、年間5日以上取得させるよう使用者に義務付けられましたので、使用者から労働者に積極的な取得を促すことが求められます。
 具体的には、取得希望日の事前聴取や、取得奨励日の設定、労使協定による計画的付与などが考えられます。
 ただし、これまで特別休日としていた日を有給休暇取得日に変更した場合、休日数減少で不利益変更として認められないこともありえますので、注意が必要です。

◆早めの取得状況確認と「有給休暇管理簿」
 2019年4月以降に付与された年次有給休暇が対象ですので、早い人は2020年3月末で施行後1年を経過することになります。労働基準法では、事業主に有給休暇を取得させる義務は課せられていますが、労働者に取得する義務はありません。従って、労働者が取得を拒んだとしても、事業主には取得を促す努力が必要となります。
 2020年4月以降の労働基準監督署の対応が注目されますが、「有給休暇管理簿」の作成・保存も企業に義務付けられており、臨検等では取得状況もチェックされます。
 勤怠管理や給与計算のソフトに有給休暇管理機能がついているものもありますが、厚生労働省HPからエクセルファイルのダウンロードが可能ですので、参考にされてはいかがでしょうか?

《コラム》ふるさと納税 国対地方とクラウドファンディング

◆印象的な出来事が多かったふるさと納税
 個人の所得や控除によって決まる上限金額以内の寄附であれば、自己負担が2,000円で済むふるさと納税。そろそろ今年の締め切りである年末が近づき、どの自治体に寄附をしようか、と考えていらっしゃる方も多いでしょう。思えば今年はふるさと納税に関して、印象的な出来事が多かった年となりました。

◆国対地方は司法の場へ
 2019年6月からふるさと納税の新たな運用ルールがスタートし、対象外とされた泉佐野市が国の第三者機関に対して異議を申し立てました。協議の結果は国側である総務省の、対象外とする決定は「法律違反であるおそれがある」として是正を提言された結果とはなりましたが、その結果をもってしても、総務省は除外決定を覆さなかったことから、泉佐野市は裁判所に提訴しました。舞台はついに司法の場に移り、この争いはまだまだ続きそうです。
 そもそもこの対象外とされたのは「お礼の品が寄附額に対して過剰な割合で拠出されていたから」という理由ですが、泉佐野市については、寄附金のうち公共施設整備のための基金を積み立てていながら、その寄附金をお礼の品の費用などに充てていたことが発覚し、こちらも法律に抵触する疑いがあるようです。ルールが未完成だった印象の否めないふるさと納税ですが、今年新たなルールを作成したことにより、そのほころびが目に見えるようになった感があります。

◆目的税としての寄附の役目
 10月31日、沖縄のシンボルである那覇の首里城が火災により全焼、市がこれを再建するための寄附をクラウドファンディングで募ったところ、3日目にして寄附額が1億円を突破しました。
 この寄附に関しては、お礼の品はもらえないものの、税の控除はふるさと納税扱いとなります。首里城への寄附は本来自分の住んでいる自治体への税の一部を、納税者の意思によって目的税化できるという認知が進んでいる証左でしょう。
 功罪様々な事象が起きた今年のふるさと納税ですが、自治体間の不平等や取り決めに関する不透明さを排して、皆さんが安心して行えるものにして欲しいですね。

社長の出身校、日大が断トツ

社長の輩出数が最も多い大学は日本大学とする調査結果を東京商工リサーチが発表しました。調査開始以来9年連続でトップ。日大出身の社長は2万1581人で、2位の慶應義塾大の1万650人を大きく引き離しています。

 2位以下は早稲田大、明治大、中央大、法政大と続きます。関東以外では7位に近畿大、9位に同志社大がトップ10に入りました。
 9位までは昨年調査と同じ顔ぶれですが、10位は昨年の関西大学に代わり、東京大学が食い込みました。国公立大学がランクインしたのは東京大学が初めてだとのことです。

 都道府県別に見ると、日大出身社長が最も多いのは20都県に上りました。東日本21都道県の8割でトップとなっています。一方、西日本では地元大学の出身者が多く、日大が最多となったのは3県にとどまりました。

 社長の人数で見ると1位の日大ですが、増収や増益の達成率では上位にランクインしていません。増収達成率では東大、一橋大、大阪大、増益達成率では筑波大、一橋大、東京都市大がそれぞれトップ3となりました。

<情報提供:エヌピー通信社>

【時事解説】コミットメントラインの会計的メリット その2

コミットメントラインは資金繰りの安定に役立ちます。ただ、会計的には、実際の融資がなくても、融資枠に対して手数料が発生しますから、損益計算書の当期純利益は減ることが予想されます。一方、貸借対照表の資産・負債を圧縮することができます。そのメリットとデメリットをよく考えることが必要です。

 資産を圧縮できれば、総資産を分母とする各種経営指標が向上します。たとえば、自己資本比率(自己資本÷総資産)を引き上げることができるほか、当期純利益との兼ね合いにもよりますが、ROA(総資産利益率、当期純利益÷総資産)の引き上げもできるかもしれません。

 最近の上場企業は資産効率の改善に熱心ですから、コミットメントライン契約による資産・負債の圧縮メリットを強く感じることが予想されます。
 ところが、非上場企業ではそれほど経営指標にはこだわる必要はありませんから、当期純利益の下落のデメリットを強く感じるかもしれません。非上場企業に対するコミットメントラインの訴求ポイントは経営指標の改善より、万一のための資金繰りの安定という点にあると思います。

 企業にとって、コミットメントラインの最大のメリットは言うまでもなく資金繰りの安定にあります。ただ、それだけでなく、その会計的影響も考慮の上、コミットメントライン締結の判断をする必要があります。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】コミットメントラインの会計的メリット その1

銀行には「コミットメントライン」という商品があります。コミットメントラインとは企業が銀行と結ぶ融資契約枠のことです。コミットメントライン契約を結ぶと、あらかじめ契約した融資期間と融資金額の範囲内で、企業から要請があると、銀行は融資をしなければなりません。コミットメントラインの特色は、銀行は実際の融資がなくても、融資契約枠そのものに対して、手数料を取るところにあります。無論、融資を行えば、その融資金額に対して利息を取ります。考えようによっては、企業は融資枠と融資金額の両方にコストが発生しますから、単純な融資に比べて割高になるように思われます。なのに、どうしてコミットメントライン契約が利用されるのか、会計的に考えてみましょう。

 企業にとって、資金繰りは重要です。当座の資金繰りに詰まり、支払資金が不足したために、約束した期日に約束した債務が支払えなくなってしまうと、他にいくら資産があっても、倒産という事態もあり得ます。資金を遊ばせておくのは無駄ですから、できるだけ有効に使いたいとは思うのですが、万一のことを考えたら、資金繰りをギリギリにしておくのは危険です。したがって、資金繰り担当者は余裕を持った資金繰りを心がけるのが常です。

 たとえば、借入金で運転資金を調達する企業は、借入金を実際に必要とする資金より多めに借り入れて預金に預け入れておきます。その結果、必要以上に資産と負債は膨らんでしまいます。そこでコミットメントラインの出番になります。もし、コミットメントライン契約を結んでおけば、必要なときにはすぐ資金を借り入れることが可能になりますので、ギリギリまで借入金を絞り、資産と負債を圧縮することができるからです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

(後編)国税庁:2018年度の滞納整理の訴訟状況を公表!

(前編からのつづき)

 また、名義変更訴訟とは、国税債権者である国が国税債務者である滞納者に代わって、滞納者に帰属しながら滞納者の名義となっていない財産の名義を滞納者名義とすることを求めて提起するものをいいます。
 悪質な滞納事例では、取引先への売掛金を、代表者の娘名義等の預金口座に振り込ませて隠ぺいしていたことから、滞納会社及びその代表者を滞納処分免脱税で告発した事例が挙がっております。

 建設業を営む滞納会社は、法人税等の滞納を発生させて以来、具体的な納付計画を提示することもなく滞納国税を累積させていたことから、徴収職員は、滞納会社が取引先に対して有する売掛債権を差し押さえました。
 その後も滞納会社の財産調査を継続したところ、滞納会社の代表者は、再び差押えが行われることを懸念し、他の取引先に売掛金の振込先を代表者の娘や関連会社名義の預金口座に変更することを依頼し、売掛金約2,000万円がその預金口座に振り込まれた事実を把握しました。
 これが滞納処分の執行を免れる目的でされた財産の隠ぺいに該当すると判断し、滞納会社及びその代表者を国税徴収法違反(滞納処分免脱税)で告発しております。

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年11月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)国税庁:2018年度の滞納整理の訴訟状況を公表!

国税庁では、処理の進展が図られない滞納案件については、差押債権取立訴訟や詐害行為取消訴訟など国が原告となる訴訟を提起したり、滞納処分免脱罪による告発を活用して、積極的に滞納整理に取り組んでおります。
 2018年度租税滞納状況によりますと、原告訴訟に関しては、151件の訴訟を提起しました。

 訴訟の内訳は、「供託金取立等」13件、「差押債権取立」11件、「その他(債権届出など)」122件のほか、悪質な事案で用いられる「名義変更・詐害行為」が5件ありました。
 また、財産の隠ぺいなどにより滞納処分の執行を免れようとする悪質な滞納者に対しては、「滞納処分免脱罪」の告発を行うなど、厳正に対処し、2018年度は過去最高の12件(29人員)を告発しました。
 なお、詐害行為取消訴訟とは、国が滞納者と第三者との間における債権者(国)を害する法律行為の効力を否定して、滞納者から離脱した財産をその第三者から取り戻して滞納者に復帰させるために行うものをいいます。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年11月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。