(後編)中小企業における消費税の価格転嫁等に関する実態調査結果を公表!

(前編からのつづき)

 そのうち、売上高別でみますと、小規模な事業者ほど「未着手」の割合が増加しており、売上高5千万円以下の事業者では、45.5%が「未着手」となりました。
 テイクアウト・イートインが発生するBtoC事業者においては、「総額表示」、「外税表示」のいずれも多様な表示方法等が検討されており、経理事務負担の状況については、「売上高1千万円以下の事業者」では29.9%が経理事務を「全て社内で対応」しており、税理士等外部専門家の関与はありませんでした。

 インボイス制度の認知度については、課税事業者の46.2%、免税事業者の58.1%が「知らない」と回答しております。
 なお、課税事業者のうち、「免税事業者との取引は(一切又は一部)行わない」が10.3%、「経過措置の間は取引を行う予定」が7.3%となりました。
 また、免税事業者(BtoB事業者)のうち「課税事業者になる予定はない」が12.0%、「廃業を検討する」が7.5%となりました。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年9月16日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)中小企業における消費税の価格転嫁等に関する実態調査結果を公表!

日本商工会議所は、「中小企業における消費税の価格転嫁等に関する実態調査」結果(有効回答数3,305社)を公表しました。
 それによりますと、消費税率引上げ後の価格転嫁については、68.0%の事業者が「転嫁できる」と見込んでおり、「一部転嫁できない」が23.2%、「全く転嫁できない」が8.9%となりました。

 売上高別をみてみますと、BtoB事業者はいずれも76.4%が「転嫁できる」としているものの、 BtoC事業者では「1千万円以下の事業者」が56.4%となりました。
 BtoC事業者の消費税率引上げ後の価格設定では、「全ての価格を一律2%引き上げる」が50.8%、「一部の価格を据え置く」が23.0%、「全ての価格を据え置く」が7.1%となりました。

 軽減税率制度への取組状況については、軽減税率対象品目を扱う事業者における「請求書・領収書等の区分記載対応(BtoB事業者)」、「レジの複数税率対応(BtoC事業者)」について、「対応済み/対応中」と回答した事業者は、それぞれ62.9%、59.9%となりました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年9月16日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

《コラム》マンション管理組合と駐車場

◆マンション管理組合とは
 マンションとは区分所有居住用建物のことです。ですからマンション管理組合とは区分所有居住用建物を管理する組合のことです。一般的には法人格はありませんが、法人格を持たせることもできます。法人格を持たせた場合、公益法人に準じた扱いを受けます。法人格がない場合は、代表者の定めのある人格のない社団となります。専有部分に関しても管理をしますが、共有部分に関する管理が主たる業務です。

◆税務上の取り扱い
 法人格を有すれば法人として法人税の対象ですが、法人格のない社団でも法人とみなして法人税の対象となります。
 通常は管理費収入のみで収益事業はありませんので税金がかかることもありませんし、申告も不要です。

◆駐車場収入の取り扱い
 区分所有者や借家人がマンションの駐車場を有料で利用し、その駐車場料金を管理費や修繕積立金として管理組合が管理している場合は、共済的事業であるとして課税されませんが、問題は外部に貸している場合です。最近、都会では車を所有しない住民も多く、マンションの駐車場に空きができる場合もあり、管理費や修繕積立金に充てるため、外部の人に一般的な駐車場として貸し出しているケースが多々見受けられます。

◆税務当局の見解
 このような場合駐車場の収入は、管理組合の収入として法人税を課税するというのが税務当局の基本的な対応です。
 国税不服審判所や裁判で争われた事例もありますが、この税務当局の考えが支持されております。

◆素朴な疑問
 区分所有建物の共有部分の所有権は区分所有者の持ち分に応じて区分所有者のものです。管理組合は単に管理を委任されているだけで、共有部分を所有しているわけではありません。本来であれば持ち分に応じて区分所有者の収入となると思われます。
 もし管理組合の活動がなく直接管理会社が同様な行為を行った場合、はたして管理会社の収入ということになるのでしょうか?

《コラム》今年も10月に最低賃金が改定されます

◆東京・神奈川は時給1,000円超に
 毎年10月は、地域(都道府県)別最低賃金の改定月です。今回は、令和初の改定となりますが、東京都(1,013円)と神奈川県(1,011円)の最低賃金は、はじめて時給1,000円台に突入します。
 一方、前回単独最下位だった鹿児島県は今回他県より改定幅を大きくしたため、佐賀県や長崎県などと同額の790円となり、単独最下位(今回15県)を脱出します。
 
◆全国平均も時給900円超に
 以前から、地域別最低賃金は全国平均(47都道府県の加重平均)1,000円を目指すと言われていましたが、今回の改定で全国平均は901円と、はじめて900円を超えました。
 近年の上昇ペースが今後も続けば、あと4~5年で全国平均も1,000円台に突入することになりそうです。
 
◆採用時以外でも最低賃金の確認を
 パートやアルバイトを募集する際、最低賃金を確認して求人を出していると思いますが、既に雇用しているパートやアルバイトの時給が最低賃金スレスレだった場合の昇給モレや、月給制の場合に所定労働時間から換算した時給が最低賃金を下回っていることなどを見逃すケースがあります。

◆最低賃金法違反の罰則は重い
 最低賃金法違反の罰則は、最低賃金を下回った場合は50万円以下の罰金、事業場での周知が行われていない場合は30万円以下の罰金、最低賃金違反を申告した労働者に対して解雇などの不利益な取り扱いをした場合は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金など、軽いものではありません。
 
◆産業別の特定最低賃金
 地域別最低賃金の他、産業別の特定最低賃金も都道府県ごとに定められており、適用業種の特定最低賃金が地域別最低賃金を上回る場合、特定最低賃金が適用されるので、適用業種に該当する会社は注意が必要です。

【時事解説】実体経済から乖離する株価 その2

次に、財務諸表上の利益と税金の乖離の問題があります。海外子会社の業績は連結財務諸表にストレートに反映すると同時に、税額算定のベースとなる親会社単体の財務諸表にも影響を与えます。それは海外子会社からの配当金という形で営業外収益に計上され、親会社の単体の利益を底上げします。どういう形であれ、利益が上がれば、税収が増えそうですが、そうとも言い切れません。
 というのも、海外子会社からの配当金は、条件はありますが、原則として税務上益金不算入となるからです。その結果、海外子会社からの配当に利益を依存する親会社の法人税額は伸びないことになります。

 このような事情で、企業業績が好調で株価が高ければ、我々の生活はストレートに豊かになるとは言い切れない経済構造になっているといえます。最近は人口減少により国内需要の低迷は不可避ですから、グローバル企業の海外依存は強まるに違いありません。したがって、株価と実体経済の乖離傾向も強くなると思われます。

 これまで、株価は実体経済を反映する鏡だと言われてきました。依然として、そうした側面があることは否定しませんが、昔に比べればその要素は薄くなっていることを考慮して、冷めた眼で株価を見ることが必要だと思います。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】実体経済から乖離する株価 その1

長い間、株価は実体経済の好不調を測る分かりやすいバロメーターとされてきました。そのため、時の政府は株価対策に力を入れてきました。

 株価が高いということは、企業業績がよく、そこに働く人々の賃金は上昇し、企業が納める法人税や個人が納付する所得税等の税収も増え、その結果としてGDP(国内総生産)も増大する、というのがこれまでの一般的感覚でした。しかし、最近はやや様相を異にしてきているように見えます。

 この株価と実体経済の乖離原因には様々な要因が考えられます。よく言われるのは、日銀や年金資産などが株式を購入することによる需給要因からの分析ですが、ここでは会計、税務的側面からの株価と実体経済の乖離原因を考えてみたいと思います。乖離原因は主として海外子会社から生じます。

 株価は常識的には会社の業績を反映すると考えられます。単純に考えれば、財務諸表の数値が良ければ株価は上がり、悪ければ下がるという構造になります。ただ、ここで注意しなければならないのは、株価は親会社単体財務諸表ではなく、連結財務諸表を見ているということです。

 グローバルに事業を展開する大企業の業績は国内だけでなく、海外事業の業績も含まれます。連結財務諸表は親会社業績を基幹に海外子会社の業績が加わります。国内事業があまり振るわず、親会社単体財務諸表は悪くても、海外業績が好調なら、連結財務諸表は良くなります。近年我が国は人口減少時代に突入し、国内需要は頭打ちで、業績伸長ドライブを海外に依存する会社が増えてきました。こうした会社は連結業績が好調で、株価が上昇しても、国内業績は不振ですから、国内従業員の賃金も納付する税金も増えないという結果になります。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

(後編)国税庁:消費税の軽減税率制度に関するQ&Aを改訂!

(前編からのつづき)

 ファストフード店で一の商品であるハンバーガーとドリンクのセット商品を販売する際に、顧客からドリンクだけを店内飲食すると意思表示された場合は、そのセット商品は、一の商品であることから、そのセット商品の一部(ドリンク)を店内飲食し、残りを持ち帰ると申し出があったとしても、そのセット商品の販売は、「食事の提供」に該当し、顧客がドリンク以外を持ち帰ったとしても軽減税率の適用対象となりません。

 自動販売機の販売手数料については、清涼飲料の自動販売機を設置しており、飲料メーカーから、この自動販売機による清涼飲料の販売数量等に応じて計算された販売手数料を受領している場合、このような販売手数料は、自動販売機の設置等に係る対価として支払いを受けるものであるため、飲食料品の売上(又は仕入)に係る対価の返還等には該当せず、「役務の提供」の対価に該当することから、軽減税率の適用対象とならないと説明しております。
 該当されます方はご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年9月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)国税庁:消費税の軽減税率制度に関するQ&Aを改訂!

国税庁は、同庁ホームページに掲載されている「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」を改訂しました。
 今回、みりんの販売、キャラクターを印刷したお菓子の缶箱等、セット商品のうち一部を店内飲食する場合、自動販売機の販売手数料などの個別具体的な事例が新たに追加されました。

 例えば、酒類は「飲食料品」に該当しないため、酒税法に規定する「みりん」は軽減税率の適用対象となりませんが、「みりん風調味料(アルコール分が1度未満のもの)」は酒類に該当しないため、「飲食料品」扱いとなり、軽減税率の適用対象となります。
 キャラクターを印刷した缶箱にお菓子を詰めて販売する場合、通常、販売者は、これらの包装材料等を、自らが販売する飲食料品の包装材料等以外の用途(「他の用途」)に再利用させることを前提として付帯しているものではないと考えられるため、その販売に付帯して通常必要なものとして使用されるものに該当し、その缶箱入りのお菓子の販売は、軽減税率の適用対象となります。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年9月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)経済産業省:2020年度税制改正に関する要望を公表!

(前編からのつづき)

 創業間もないベンチャー企業に必要なリスクマネーを供給できるよう制度の見直しとベンチャー投資促進税制について、時代の変化に対応した所要の見直しを行うことを要望しました。

 前項③の少額資産の特例措置は、従業員1,000人以下の中小企業者等が30万円未満の減価償却資産を取得した場合、合計300万円までを限度に即時償却できる税制措置ですが、引き続き中小企業者等における償却資産の管理や申告手続きなどの事務負担の軽減や少額減価償却資産の取得促進による事務処理能力・事業効率の向上を図るため、同税制措置の延長が必要としております。

 また、中小法人の交際費課税の特例措置は、法人が支出した交際費等は、原則、損金に算入できないとされますが、特例として、中小法人は定額控除限度額(800万円)までの交際費等を全額損金算入することが可能となっており、販売促進手段が限られる中小法人にとって、交際費等は事業活動に不可欠な経費であり、定額控除限度額までの全額損金算入を可能とする同税制措置の延長が必要としております。
 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年9月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)経済産業省:2020年度税制改正に関する要望を公表!

経済産業省は、2020年度税制改正に関する要望を公表しました。
 それによりますと、新たな付加価値の創出・獲得に向けたオープン・イノベーションの促進の観点から、連結納税制度の見直し等を掲げるとともに、新陳代謝等を通じた中小企業の生産性向上の促進のため、
①親族以外の第三者による事業承継の促進
②創業後間もない中小企業の更なる成長の促進
③少額資産の特例措置及び交際費課税の特例措置の延長を求めました。

 上記①は、近年、後継者不在等を背景に、黒字企業を含めた企業の休廃業・解散件数が増加傾向で、現状を放置すれば価値のある企業や技術、ノウハウ等が失われる可能性があるため、昨年の法人版事業承継税制の抜本拡充、今年の個人版事業承継税制の創設に続いて、後継者不在の中小企業の事業承継を後押しすべく、株式・事業の譲渡やM&Aを通じた親族以外の第三者への事業承継促進のための税制の創設を求めるものです。
 ②は、クラウドファンディング等の新たな資金調達手法の普及に対応しつつ、創業後間もない中小企業の更なる成長支援のため、個人によるベンチャー投資促進税制の対象となるベンチャー企業の要件を緩和します。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年9月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。