【時事解説】小規模企業振興基本計画の改正 その2

では、2019年6月に小規模企業振興基本計画(第Ⅱ期)では、どのような目標や重点施策が掲げられているのでしょうか。
 「第Ⅱ期計画」では、2014年10月に策定された「第Ⅰ期計画」と同じく、①需要を見据えた経営の促進、②新陳代謝の促進、③地域経済の活性化に資する事業活動の推進、④地域ぐるみで総力を挙げた支援体制の整備、といった4つの目標が設定されています。

 一方で、重点施策の数は「第Ⅰ期計画」の10から12に増加しました。「第Ⅱ期計画」においてどのような重点施策が設定されているかを上記の4つの目標ごとに見てみると、以下のようになります。
 「需要を見据えた経営の促進」に係る重点施策としては、①ビジネスプラン等に基づく経営の促進、②需要開拓に向けた支援、③新事業展開や高付加価値化の支援、があげられます。
 「新陳代謝の促進」に係る重点施策としては、④多様な小規模事業者(フリーランスなど)の支援、が新規項目として設定されました。その他、⑤起業・創業支援、⑥事業承継・円滑な廃業、⑦人材の確保・育成、があげられます。
 「地域経済の活性化に資する事業活動の推進」に係る重点施策としては、⑧地域経済に波及効果のある事業の推進、⑨地域のコミュニティを支える事業の推進、があげられます。
 「地域ぐるみで総力を挙げた支援体制の整備」に係る重点施策としては、⑩国・地方公共団体・支援機関の連携強化とエコシステムの構築、⑪手続きの簡素化・施策情報の提供に加え、⑫事業継続リスクへの対応能力の強化、が新規項目として設定されました。

 このように多様な事業者の出現や、大規模災害の頻発などといった小規模企業を取り巻く環境の変化を受けて重点施策の拡充が図られているのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

【時事解説】小規模企業振興基本計画の改正 その1

小規模企業振興基本計画は、小規模企業振興基本法に基づき、小規模事業者の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため政府が策定するものであり、2014年10月に策定されました。小規模企業振興基本計画は情勢の変化を勘案し、おおむね5年ごとに変更するものとされており、今回、初の変更が行われ小規模企業振興基本計画(第Ⅱ期)が2019年6月に公表されました。

 「第Ⅱ期計画」では、「第1章第1節 現状認識」において、「第Ⅰ期計画」策定以降の小規模企業を取り巻く環境の変化として4点をあげています。第一に、働き方改革による副業の進展など多様な事業者のさらなる出現です。第二に、高齢の経営者の後継者不足による事業承継問題の本格化です。第三に、人口が急激に減少している点です。第四に、東日本大震災からの復興以降も大規模災害が頻発している点です。

 また「第1章第2節 基本的な考え方」において、地域経済活性化のためには、地域を牽引する企業の創出、産地産業の活性化・ブランド化、サプライチェーンの維持、地域の公共的サービス・コミュニティ維持などの視点が重要となり、「数」ではなく、小規模事業者が地域経済や産業に与える質的な影響を踏まえた「機能」を育成・維持していくことが、今後は求められていくことから、小規模事業者の「持続的発展」に加え、地域の「持続的発展」も重要要素に加えることで、地域にとって必要な小規模事業者の支援に重点化する方向へと深化させていくことを目指すとしています。

 このような状況下で、都道府県・市町村・産業界といったステークホルダーとの関係を強化し支援体制を構築することが求められるのです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

設備投資計画はお早めに

生産性向上特別措置法に基づく中小企業の設備投資減税の特例が、順調に適用件数を伸ばしています。設備にかかる償却資産税を3年間で最大全額免除するというもので、法人税の優遇とは異なり、赤字企業でも恩恵をフルに受けられるうれしい制度です。ただし手続きの際には各所に証明書や認定を申請する必要があり、今年中に設備投資を行って来年から税優遇を受けようと思うなら、そろそろ準備に取り掛からなければならない時期となっています。

 中小企業庁によると、特例を利用した設備が、今年6月末までに10万の大台を突破したと発表しました。その取得金額は約8917億円で、それらにかかる償却資産税が3年間無税になったということです。

 同制度で減免される償却資産税の割合は、最低でも2分の1、最大で全額と自治体に裁量が与えられています。どこまで軽減されるかは自治体によって異なりますが、中小企業庁が実施したアンケートによれば約95%の自治体がゼロ税率を採用すると答えていて、ほぼ全ての自治体でゼロ税率になると考えていいでしょう。

 一つ注意したいのは、同特例は期限付きの特例であり、その期限は2020年末ということです。つまり税優遇を受けられるチャンスは、もう今年と来年の2回しか残されていません。そして特例の適用を受ける手続きには相応の時間がかかるため、今年の設備投資について優遇を受けたいなら、今から動き出しておきたいところです。まだ時間があると思ってのんびり構えていては、年の瀬になって慌てることになりかねません。

<情報提供:エヌピー通信社>

経産省、消費税の申告期限延長を要望

経済産業省と経団連は、企業が税務署に消費税を申告する期限を延長するよう財務省に求めることとしました。3月決算の場合、現在は5月末が期限ですが、法人税は6月末まで延長が認められることが少なくありません。期限をそろえることで企業が正確に申告しやすくなる効果を狙います。

 消費税の申告は事業年度が終わってから2カ月以内に設定されており、大企業を中心に「現場の実務が煩雑になり負担が大きい」と期限の延長を求める声が出ていました。3月決算の企業は、法人税の申告期限を6月末まで延長しても、消費税は5月末のままで1カ月早いことがほとんど。このため、消費税分の精査が終わっていなくてもとりあえず申告しておき、法人税を申告した際に金額を修正するケースが目立つといい、経団連幹部は「少しでも無駄な作業をしなくて済むような仕組みを整えてほしい」と訴えています。

 こうした要望をする背景には、企業が税務署から税務調査の通知を受けた後に申告額を増額して修正すると加算税が課されることになった2017年の制度改正があります。今年10月には消費税率が10%に引き上げられ、加算税の負担がさらに増えることが確実なため、経済界は対応を急いでいます。

 経産省と経団連は、すでに財務省側と非公式の調整に入っています。今のところ財務省は導入に前向きですが「どの企業にも申告期限の延長を認めるわけにはいかず、何らかの条件を設けてクリアしてもらう必要がある」と指摘しているそうです。詳細を詰める作業は年末まで続く見通し。

<情報提供:エヌピー通信社>

(後編)経済産業省:自動車税の見直し等を解説した特設サイトを開設!

(前編からのつづき)

 2019年9月末までは、登録車3%、軽自動車2%の自動車取得税が課されていますが、10月以降は環境性能割が導入され、登録車0~3%、軽自動車0~2%となります。
 2019年10月1日~2020年9月30日までの1年間は、環境性能割の税率から1%分軽減され、新車と中古車ともに対象となります。

 例えば、登録車で「2020年度燃費基準+10%達成車」は、9月末までは2.25%(原則3%を25%軽減)の自動車取得税が課されておりますが、10月1日から2021年3月末までは環境性能割として1%の税率となり、さらに2020年9月末までは1%分軽減されて0%となります。
 エコカー減税は、自動車取得税が10月1日に廃止され、環境性能割が導入されますが、自動車重量税は2019年5月1日~2021年4月30日まで適用されます。
 そして、グリーン化特例は、自動車税・軽自動車税ともに2019年4月1日~2021年3月31日まで適用されますので、該当されます方はご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年9月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)経済産業省:自動車税の見直し等を解説した特設サイトを開設!

経済産業省は、2019年10月以降の自動車に関する税制の見直し内容をより多くの消費者に周知するため、見直し内容等を解説した特設サイトを開設しております。
 同サイトでは、ポスターやチラシのダウンロード、解説ショートムービー、モデルケースによる排気量別減税額シミュレーション等のコンテンツを掲載しております。

 2019年10月以降のクルマの税の主な変更点として、10月以降に購入する新車登録車から自動車税が毎年減税になります。
 2,000CC以下のコンパクトカーほど減税額が大きく、この排気量では、年間最大4,500円(1,000CC以下の場合、2万9,500円から2万5,000円)、毎年減税となります。
 また、自動車取得税が廃止され、導入される環境性能割は1年間、1%分軽減となります。
 消費税率が10%に引き上げられる10月に自動車取得税が廃止され、自動車の燃費性能等に応じて課税される購入時の税(環境性能割)が導入されます。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年9月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

《コラム》個人クリニックから医療法人へ

 医業または歯科医業で、個人経営のクリニックとして開業し、その後医療法人化を検討される方は多いと思います。今回は、会計と税務の視点から見た医療法人化のメリット・デメリット、個人経営と医療法人の違い、法人化後に気をつけるポイントについてまとめました。

◆医療法人化のメリット・デメリット
 個人経営から医療法人にする最大のメリットは、節税です。個人経営では専従者給与を経費にすることはできても、院長ご自身の給与を経費にすることはできません。しかし医療法人にすることで、院長は理事長として医療法人から給与をもらい、その給与は医療法人の経費にすることができます。またその給与は、給与所得控除ができます。結果、法人税と所得税を合わせたとしても、個人経営の時より税金を安くすることができます。
 また院長個人の生命保険契約は、支払われている保険料のうち生命保険料控除により節税できている部分は、ごくわずかであるケースが多くみられます。法人にすることで、契約内容により一部を損金(税法上の費用)に入れることができます。結果、法人税を節税しながら、将来、解約返戻金を退職金の資金に充てることができます。他にもメリットは、分院展開の可能性、赤字の繰越が3年から10年に延長、原則2事業年度は消費税免税などがあります。
 デメリットとしては、医療法人化に伴う手続き費用、社会保険の強制加入による費用負担増加、議事録や事業報告書の作成提出に伴う事務手続きの費用負担などがあります。

◆法人化後に気をつけるポイント
 まず一番に気をつけなければならないことは、法人の収入は理事長のお金ではない、ということです。個人経営の時は、通帳にあるお金を自由に引き出しても問題はありませんでした。しかし、院長個人と法人は別人格になるので、法人の通帳から勝手にお金を引き出すことはできません。仮に給与とは別に通帳からお金を下ろした場合には、役員貸付金となり利息が発生しますが、医療法人の場合は役員貸付金自体が禁止されています。この他にも注意点がありますので、身近にいる税理士にご相談の上、ご検討されることをお勧めします。

《コラム》住民票等への旧姓併記

◆11月から住民票等への旧姓併記が可能に
 旧姓で業務をしている方々には、少し嬉しいニュースかもしれません。住民票やマイナンバーカード等へ旧姓(旧氏)を併記できるようにするための「住民基本台帳法施行令等の一部を改正する政令」が平成31年4月17日に公布され、今年11月5日から施行されます。

◆登記はできていたけれど…
 女性の社会進出等に伴い、旧姓使用についてはこれまでも様々な場所で議論がされてきました。商業登記の場面では、一足早い平成27年から、商業登記簿に役員の旧姓(婚姻前の氏)を併記することができるようになっています。
 しかしながら、たとえ商業登記簿に旧姓が併記されていても、銀行口座の開設時などに求められる、運転免許証やマイナンバーカードをはじめとした「本人確認資料」には旧姓が記載されていません。金融庁では全国の主要銀行などに対し、旧姓での口座開設について協力要請を出しているようですが、本人確認資料に記載された新姓との整合性が取れないことなどを理由に、旧姓での口座開設を行ってくれるところはまだまだ少ないのが現状です。銀行口座以外にも、携帯電話の契約やクレジットカードの申し込み等、本人確認資料を提示しなければならない場面は多く、登記はできても結局新姓の使用を余儀なくされている方々は少なくありません。

◆旧姓を併記するには
 住民票に旧姓を併記するためには、請求手続が必要です。旧姓が記載された戸籍謄本等を用意し、住所地の市区町村に対して請求を行います。住民票に旧姓が併記されると、マイナンバーカードや公的個人認証サービスの署名用電子証明書にも旧姓が併記されることになります。旧姓が各種証明に利用できるようになるため、たとえば旧姓で契約した保険や携帯電話、銀行口座等を旧姓のまま引き続き使うことも期待できます。
 今回の政令施行により、旧姓の利用機会が一気に拡大するかもしれませんね。

軽減税率対応レジ補助金の要件緩和

 経済産業省は8月下旬、複数税率に対応したレジに換えるために必要な費用の一部を補助する「軽減税率対策補助金」の受給要件を緩和することを発表しました。これまでは9月30日までにレジを設置して支払いを完了していることが条件でしたが、今回の見直しにより、同日までに契約手続きが完了していれば補助金の対象となります。

 補助金の申請は原則として、対象となるレジやシステムを導入した後に、領収書などを添付した申請書を提出する方式となっています。申請書の提出期限は今年12月16日ですが、システムの導入と支払いについては、増税前に完了している必要がありました。新たな規定では、9月30日までに契約を締結していることが条件となり、実際の設置は増税後であっても受給できる仕組みに変更されました。ただし、申請書の提出期限(12月16日)までには導入などの手続きを完了している必要があります。

 国が補助金の受給条件を緩和した背景には、複数税率に対する企業の準備が進んでいない実情があります。日本商工会議所が8月5日に発表した調査結果では、対応するレジへの改修について4割が着手していないことが判明しました。他の調査でも、複数税率に未対応の企業が半数程度に上るというデータが相次いで公表されています。これまで準備を進めていなかった企業が増税の直前になってレジを購入する可能性があり、需要の急増で9月までに設置が間に合わないおそれもあるため、補助金の要件が緩和されることとなったのです。

<情報提供:エヌピー通信社>

軽減税率の被害者は子ども?

「#駄菓子屋泣かせ」。10月の消費増税に関し、駄菓子店がツイッターで悲鳴を上げています。食品は軽減税率が適用されて税率8%のままですが、一部の駄菓子は10%に上がります。混乱を避けるため10%の商品の撤去を検討する小売店も出始めており、メーカーからは税率の一本化を求める声が出ています。

 国税庁によると、食品(外食と酒類を除く)は軽減税率が適用されますが、容器に食品を詰めるなど、食べた後も利用できる商品は「一体資産」とみなされ、①税抜き価格が1万円以下、②商品価格のうち食品の割合が3分の2以上――の条件を満たさないと軽減の対象になりません。食品とそうでない商品がセット販売されているケースで、厳密にそれぞれの税率を適用すると、流通現場で混乱する恐れがあります。一方、一つの税をかける「一体資産」だからといって「10円の食品を100万円の陶器に詰めて税率8%にする」といった税逃れは防がなければいけないため、条件が設けられました。

 ただ、弊害も出ています。大阪府の老舗メーカーの駄菓子は、食後の容器が笛などのおもちゃとして使えるため「一体資産」。さらに、容器は日本製で価格が高く、全体の価格に占める食品の割合が3分の2を下回って軽減税率の対象外となりました。

 取締役は「子どもたちが少ないお小遣いで買えるように菓子の価格を抑え、食後も楽しめる商品を作ってきたのに、一部の駄菓子が10%になるのは、軽減税率の本来の趣旨とは違うと思う」と憤っています。

 10円、20円の商品を並べる駄菓子屋で、10%の消費税はただでさえ逆風。店側にとっては、子どもたちにぱっと見て違いが分からない商品について税率が異なる理由を説明するのも大きな負担と言えます。

<情報提供:エヌピー通信社>