(前編)経済産業省:自動車税の見直し等を解説した特設サイトを開設!

経済産業省は、2019年10月以降の自動車に関する税制の見直し内容をより多くの消費者に周知するため、見直し内容等を解説した特設サイトを開設しております。
 同サイトでは、ポスターやチラシのダウンロード、解説ショートムービー、モデルケースによる排気量別減税額シミュレーション等のコンテンツを掲載しております。

 2019年10月以降のクルマの税の主な変更点として、10月以降に購入する新車登録車から自動車税が毎年減税になります。
 2,000CC以下のコンパクトカーほど減税額が大きく、この排気量では、年間最大4,500円(1,000CC以下の場合、2万9,500円から2万5,000円)、毎年減税となります。
 また、自動車取得税が廃止され、導入される環境性能割は1年間、1%分軽減となります。
 消費税率が10%に引き上げられる10月に自動車取得税が廃止され、自動車の燃費性能等に応じて課税される購入時の税(環境性能割)が導入されます。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年9月2日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

《コラム》個人クリニックから医療法人へ

 医業または歯科医業で、個人経営のクリニックとして開業し、その後医療法人化を検討される方は多いと思います。今回は、会計と税務の視点から見た医療法人化のメリット・デメリット、個人経営と医療法人の違い、法人化後に気をつけるポイントについてまとめました。

◆医療法人化のメリット・デメリット
 個人経営から医療法人にする最大のメリットは、節税です。個人経営では専従者給与を経費にすることはできても、院長ご自身の給与を経費にすることはできません。しかし医療法人にすることで、院長は理事長として医療法人から給与をもらい、その給与は医療法人の経費にすることができます。またその給与は、給与所得控除ができます。結果、法人税と所得税を合わせたとしても、個人経営の時より税金を安くすることができます。
 また院長個人の生命保険契約は、支払われている保険料のうち生命保険料控除により節税できている部分は、ごくわずかであるケースが多くみられます。法人にすることで、契約内容により一部を損金(税法上の費用)に入れることができます。結果、法人税を節税しながら、将来、解約返戻金を退職金の資金に充てることができます。他にもメリットは、分院展開の可能性、赤字の繰越が3年から10年に延長、原則2事業年度は消費税免税などがあります。
 デメリットとしては、医療法人化に伴う手続き費用、社会保険の強制加入による費用負担増加、議事録や事業報告書の作成提出に伴う事務手続きの費用負担などがあります。

◆法人化後に気をつけるポイント
 まず一番に気をつけなければならないことは、法人の収入は理事長のお金ではない、ということです。個人経営の時は、通帳にあるお金を自由に引き出しても問題はありませんでした。しかし、院長個人と法人は別人格になるので、法人の通帳から勝手にお金を引き出すことはできません。仮に給与とは別に通帳からお金を下ろした場合には、役員貸付金となり利息が発生しますが、医療法人の場合は役員貸付金自体が禁止されています。この他にも注意点がありますので、身近にいる税理士にご相談の上、ご検討されることをお勧めします。

《コラム》中小企業の会計ルール

平成30年3月に「収益認識に関する会計基準」が公表されました。これを踏まえ平成30年度税制改正において資産の販売等に係る収益に関する規定の改正や、法人税法における収益の計上時期等についての改正が行われました。
 一方で、中小企業の会計処理については、従来どおり企業会計原則等による会計処理が認められることとされています。
 では、中小企業は公正妥当な企業会計を実現するためどういった会計基準に準拠すべきなのでしょうか。

◆会計の目的
 会計の目的は、株主や会社債権者といった利害関係者に対して会社の財政状態や経営成績に関する情報を提供することにあるとされています。また、適正な会計基準に基づく計算書類を作成することは、経営判断や融資判断にも欠かせません。

◆公正妥当な企業会計とは
 平成17年に制定された会社法は、株式会社の会計について431条で「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」に従うべき旨の包括規定を設けています。株式会社の会計については、多くの事項が会社計算規則に委ねられています。このため、会社計算規則に規定されていない事項については「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」として個別の会計基準や実務指針に基づき処理されることとなります。

◆「指針」と「要領」
 中小企業の会計ルールとして、会計参与制度の創設に伴い平成17年に「中小企業の会計に関する指針」が公表されました。また、平成24年には中小企業の会計に関する検討会によって「中小企業の会計に関する基本要領」が公表されました。
 「指針」は、一定の水準を確保しつつ利用しやすいものとなるよう毎年見直しが行われています。
 「要領」は、主に比較的小規模な企業を対象としているため、「指針」と比較して記載内容が必要と考えられる範囲に限定されている点には留意が必要ですが、日本税理士会連合会が作成しているチェックリストを活用することで、計算書類が要領に準拠しているかを確認することができます。
 いずれも中小企業の会計の質の向上のためわかりやすく解説されていますので、両者の違いを理解したうえで広く活用されることが期待されています。

 

国外財産調書の未届けで初摘発

海外の銀行口座に保有する資産を「国外財産調書」で届け出なかったとして、京都市で家具輸入販売会社を営む社長が大阪国税局に告発されたことが分かりました。国外財産調書制度が導入された2014年以来、調書の不提出による摘発は全国で初となります。

 告発された社長は、15年1月~17年12月の間に、タイ在住の知人の口座に売上を入金したり、知人名義で家具業者と業務契約を結んだりして、約2億1500万円の所得を申告していませんでした。さらに売上の一部を入金していた香港の自身名義の口座に約7300万円をプールしていたにもかかわらず、義務付けられている国外財産調書を提出しませんでした。大阪国税局は社長が故意に調書を提出しなかったとして、所得税法違反および国外送金等調書法違反罪で京都地検に告発しました。重加算税などを含む追徴税額は約1億1千万円に上る見通しで、すでに大半を納付したそうです。

 国外財産調書は、富裕層の持つ海外資産の把握と適正な課税を目的として、合計5千万円超の資産を海外に有している人に提出が義務付けられています。国税庁がまとめた17年分の提出状況によると、調書の提出件数は9551件で前年より4.9%増加し、総財産額は3兆6662億円でした。

 制度がスタートしたのは13年ですが、提出数は伸び悩んだことから15年1月に正当な理由のない未提出、虚偽記載に対する罰則規定を導入し、それ以降は微増傾向を続けています。17年のデータでは、国外財産調書を提出していなかったことで加重されたケースは194件あり、51億1095万円の加算税が上乗せされました。同制度では、逆に調書提出後に記載財産について申告漏れがあった時には加算税が軽減される措置もあり、これまでに加算税が軽減されたケースは168件、金額にして45億7467万円ありました。

 国税当局は近年になり、富裕層が海外に持つ資産に対する監視を強めていて、今回の調書未提出による初摘発もその流れをくんだものと言えるでしょう。調書の提出件数は年々増えてはいるものの、未提出者はまだ相当数いるとみられています。

<情報提供:エヌピー通信社>

(後編)非常用食料品等は、長期間保存でも購入時に損金算入が可能!

(前編からのつづき)

 国税当局は、その理由として、
①食料品は、繰り返し使用するものではなく、消耗品としての特性をもつ
②その効果が長期間に及ぶとしても、食料品は、減価償却資産や繰延資産に含まれない
③仮に、その食品が法人税法にいう「消耗品で貯蔵中のもの」であるとしても、災害時用の非常食は、備蓄することをもって事業の用に供したと認められる
④類似物品として、消火器の中身は取替え時の損金として取り扱っていることなど挙げております。

 なお、ヘルメットや毛布等の防災用備品については、食料品と異なり、その性質上、基本的には工具器具備品に該当するため、減価償却資産となりますが、1個の単価が僅少(10万円未満)となるものばかりだと思われますので、少額の減価償却資産に該当し、一時に全額を損金にすることが可能です。
 したがいまして、単価の問題がなければ、ヘルメットや毛布なども備蓄時に事業供用があったものとして、全額その時の損金の額に算入できますので、該当されます方はご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年8月5日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)非常用食料品等は、長期間保存でも購入時に損金算入が可能!

地震や異常気象による集中豪雨や洪水、大型台風などの緊急時に備えて、非常用食料品や防災用品を備蓄している企業も増えているようです。

 非常用食料品の中には、フリーズドライ食品のような長期間保存のきくものもあり、酸素を100%近く除去して缶詰にしたものは、賞味期間(品質保証期間)は25年間ですが、80年間程度は保存がきき、何事もなければ次に買い換えるのは数十年後になるといわれております。
 ある会社では、地震などの災害時における非常用食料品(長期備蓄用)としてフリーズドライ食品1万人分2,400万円を購入し、備蓄しましたが、税務上の取扱いは長期間保存がきくものですと、どうなるのか疑問に思うところです。

 この点、非常用食料品は、備蓄時に事業供用があったものとして、そのときの損金の額(消耗品費)に算入できるとしております。
 また、その品質保証期間が2~3年と短いものは、その期間内に取り替えることになりますが、その取替えに要する費用も、その配備時に損金算入することができます。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年8月5日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

《コラム》選択制確定拠出年金のメリット

昨今年金で様々なニュースが流れています。社員の老後のための選択制確定拠出年金(選択制DC)についてご紹介します。

◆確定拠出年金とは
 確定拠出年金は2001年に始まった制度で、少子高齢化等の社会の変化に対応するため個人又は事業主が拠出した資金を個人が自己責任で運用し、原則60歳以降においてその結果で給付を受けられる制度です。国民年金、厚生年金のさらに上の第三階に位置づけられる年金です。確定拠出年金は個人型(iDeCo)と企業型に分かれ選択制DCは企業型に含まれます。

◆選択制確定拠出年金の良い点
 選択制DCの特徴は制度を導入するのは会社が行いますが、選択制の名前の通り利用するか否かは社員が決めます。利用する場合、社員は自分の給与から自身で設定した金額を選択制DCへ回して運用することになります。
 ①選択制DCのメリットは原則60歳まで引き出すことが出来ないため老後の生活資金形成が確実にできます。②また選択制DCへ拠出した分、給与からの社保料や所得税などの控除額が減額されます。例えば給与額が31万円で毎月積立2万円と選択制DC2万8千円を比較すると、31万円-約6万5千円(社保料、所得税)-2万円(積立)=22万5千円、31万-2万8千円(選択制DC)-5万7千円(社保料、所得税)=22万5千円と積立額は8千円の違いがありますが、月の手取金額はほぼ同じです。掛金に対して老後資金を多く積み立てられるといえます。

◆選択制確定拠出年金のデメリット
 ①運用で掛金が減額したときなどは責任を従業員本人が負い年金が減ることもありますが、定期預金等の元本が減らない使い方もあります。②原則として60歳まで引き出せません。③公的年金、失業保険、傷病手当金、育児休業給付、障害補償年金等の公的に受けられる補償額が減少します。社保料や所得税の減少が削減効果は大きいですが、障害補償年金対象者になったときは受け取れる金額が減少してしまうこともあるでしょう。
 選択制DCのメリットは社員の老後の生活資金形成の選択肢を増やせるという点です。会社は運用コストが必要になりますが、安心して働ける会社づくりの一助になるでしょう。

《コラム》税務調査等に対する再調査・不服審判・訴訟の数

◆調査後の決定等に不服申し立てができる
 税務調査等で税務署長が行った更正などの課税処分や、差押えなどの滞納処分に不服があるときは、処分の通知を受けた日の翌日から3か月以内に、税務署長に対して「再調査の請求」を行うことができます。また、再調査の決定から1か月以内であれば、国税不服審判所に対しての審査請求を出すことができます。国税不服審判所は、国税庁の特別な機関であり、法律に基づく処分についての審査請求に対して、公正な第三者的な立場で採決を行うとされています。
 また、再調査を請求せずに、国税不服審判所に対して審査請求を行ったり、再調査の結果が3か月経っても出なければ結果を待たずに審査請求をすることもできます。

◆勝ちの目は少ない戦い?
 国税庁は過去年度の再調査等の発生状況を公表しています。内容を見てみると、平成30年度の再調査の処理件数は全体で2,150件。その中で、一部容認が237件、全部容認が27件となっています。一部もしくは全部、納税者側の訴えを認めた割合は12.3%となっています。
 国税不服審判所へ申し立てた審査請求の処理状況を見てみると、平成30年度の処理件数は2,923件で、一部・全部が容認された合計数は216件です。納税者側の訴えを認めた割合は7.4%となっています。

◆訴訟もできるが勝てるかは別
 国税不服審判所の裁決から6か月以内であれば、裁判所に対して訴訟が可能です。こちらの終結状況も公表されていますが、平成30年度に終結した全体数177件に対して納税者側一部・全部勝訴の全体数は6件、割合にして3.4%となっています。
 再調査に関して言えば、「処分内容を精査したらこれはミスだった」等の指摘もあるでしょうから、そういった訴えで容認割合が比較的高いことが考えられます。不服審判所や裁判所まで行くケースであると、税法の解釈や過去の判例等、税理士や弁護士があらゆる論拠を持って戦っても、決定について覆されるケースは少ないようです。
 ただ、不服申し立てをしたからといって、納税者が決定以上に不利になることはありません。根拠があり「間違っているのでは」と照会するのは悪いことではありませんから、税務署の処分に納得がいかない場合は、専門家に相談の上、まずは再調査の請求を検討してみてはいかがでしょうか。

 

《コラム》最近の税務調査事情

◆税務調査はいつ来るの?
 7月1日が国税局の人事異動の日となるのと、12月には一度調査状況を集約しますから、税務調査のメインは8月~11月です。その後1月・2月にも調査はありますが、3月が確定申告の時期になりますので、長引くような調査はありません。確定申告が終わると4月に事業内容の確認程度の調査が行われます。その理由は5月が3月決算の法人の申告月のため、立ち会う税理士の業務が多忙を極め日程調整が難しいからです。そして6月は税務署員が7月1日の人事異動に向けて、残務整理のため調査はありません。

◆最近の傾向
 上記のサイクルが従来は一般的でした。しかしここ最近は、税務署も人手不足か、ノルマが厳しくなったのか、このサイクルが若干変わってきております。6月はさすがに調査はありませんが、6月の後半になると調査予約の問い合わせが殺到します。7月の調査依頼です。7月1日に人事異動があるため、本人ではなく後任の調査官が税務調査を行うための先行予約です。「後任の者はまだわかりませんが、決まったら改めて連絡いたします」といった感じで税務調査の日程を予約してきます。従来8月スタートだった調査は7月スタートに変わりつつあります。

◆3月にも税務調査
 3月15日は個人の確定申告の申告期限で税理士会からも税務調査は控えるよう税務署に要望を出しているため、3月の税務調査はまずありませんでしたが、ここ数年は3月15日以降ならいかがですか?といった問い合わせが多くなっております。
 そのためか4月・5月の税務調査もかなり増えてきております。

◆3月~5月はチャンスです
 3月~5月の税務調査は必ず6月には結論を出して7月1日の人事異動までには終わらせなければなりません。そのため立場的には納税者の方が有利です。無理難題は言えませんが、調査担当者は早めの終息を望んでいます。数年に1度は必ず来る税務調査です。3月~5月の調査依頼は断らずに進んで受けましょう。

(前編)個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度の創設

2019年度税制改正において、個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度が創設されました。
 2018年度税制改正において、事業承継税制が抜本的に拡充されたことで、2017年度に年間400件程度の法人向け事業承継税制の認定件数が、拡充後は年間4,000件にのぼり、個人事業者についても円滑な世代交代を通じた事業の持続的な発展の確保のため、個人版事業承継税制が創設されます。

 新制度は、2019年1月から2028年12月31日までの10年間限定で、相続人が相続等により事業用資産を取得し、事業を継続していく場合には、担保の提供を条件に、その相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した事業用資産の課税価格に対応する相続税の納税を100%猶予します。

 既存の事業用小規模宅地特例との選択制となり、この税制を活用するためには、中小企業経営承継円滑化法に基づく認定が必要で、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けて作成された事業用資産の承継前後の経営見通し等の記載のある「承継計画」に記載された者である必要があります。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和元年6月10日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。