(後編)自動車税の留意点!

(前編からのつづき)

 自動車検査証の住所変更登録は、住所変更の届出など住民票の手続きと連動しませんのでご注意ください。
 自動車税の住所変更登録を忘れますと、納税通知書が届かないこととなる一方、自動車税の納付期限の5月末日までなら利用できたコンビニ等での自動車税の納付ができなくなります。

 また、納期限までに納めなかったことで、納付期限の翌日から1ヵ月を経過するまでは特例基準割合に1%を加算した割合(例:1.7%+1%=2.7%)、その後は特例基準割合に7.3%を加算した割合(例:1.7%+7.3%=9%)の延滞税が課されます。
 未納の状態を放置しますと、車検も受けることができません。

 自動車納税通知書の一部は自動車税の納税証明書となっており、自動車税を納めたときに、収受印を押印の上、半券として返される書類が自動車税納税証明書です。
 通常、車検を受ける場合には、これまでの車検証、自動車損害賠償責任保険証明書、自動車税納税証明書の3点が必要です。
 車検が受けられない事態にならないよう、自動車税の住所変更登録を忘れずに行ってください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成31年3月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 

(前編)自動車税の留意点!

自動車税は、自動車の所有者に対して課税される財産税の一種であり、毎年4月1日現在に三輪以上の小型自動車、普通自動車(特殊自動車を除く)の所有者として自動車検査証(車検証)に記載されている人が納税義務者となります。

 5月ごろに都道府県から送られてくる納税通知書にしたがって、5月末日まで(青森県と秋田県は条例により6月中)に納める税務手続きとなります。
 年度の途中で新規登録(新車・中古車は問わない)があった場合は、登録の月の翌月から年度末までの月割課税、廃車の場合は、4月から消滅(登録抹消)の月までの月割課税となります。

 所有者変更の場合、4月1日現在の所有者に全額課税されます(月割課税されない)ので、友人・知人間などの売買の場合には、売買時点で自動車税の負担額についてきちんと取決めするなどして、後日トラブルにならないようご注意ください。
 また、引越しをした場合は通常、引越し前の市区町村に転出届を引越し後の市区町村に転入届を提出しますが、自動車税も同様に、自動車の所有者にきちんと納税通知書が届くようにするために、住民票の手続きとは別に、自動車検査証の住所変更登録が必要となります。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成31年3月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

《コラム》ついに法規制 2019年のふるさと納税改正

◆税制改正で過剰競争を抑制できるか
 ふるさと納税は通常の寄附金控除とは異なり、住民税を大きく引いてくれる特別な控除があるため、個人の所得や控除によって限度額はあるものの、通常は負担が2,000円で済むようになっており、自治体が「寄附のお礼の品」を用意することによって、お得な制度となっています。
 自治体はこぞって返礼率の高いお礼の品を用意し、総務省は過剰な競争を避けるべく、お礼の品についての指針を出すなどしたものの、一向に競争は治まらず、ついに今年の税制改正大綱で、法的に制限をかけることになりました。
 税制改正大綱によると、制限の内容は、①寄附金の募集を適正に実施する都道府県等②返礼品の返礼割合を3割以下とする③返礼品を地場産品にする、等です。総務大臣は、これらの基準に適合する自治体をふるさと納税の対象として指定するようになります。
 なお、この内容は2019年6月1日以後に支出される寄附に適用されます。

◆泉佐野市の乱?
 以前から出していた「お礼の品の返礼割合を3割以下にしてください」等の総務省の通知を無視していた自治体の中でも、泉佐野市は強固な姿勢でメディアを騒がせています。改正前の2月・3月に、お礼の品に加えて寄附額の最大20%のアマゾンギフト券を寄附者に贈るキャンペーンを展開しつつ、法制化についてのプロセスを「地方分権の理念に反しているのではないか」とメディア等を通じて批判しています。

◆総務省も強固な姿勢
 これに対して総務省も「過去の取組もさかのぼって自治体を評価し、6月以降のふるさと納税の指定を判断する」という奥の手を検討しているそうです。
 総務省としては、通知に従って3割以下の返礼割合とした自治体が割を食うような事態は避けたい、という気持ちもあるのでしょう。

 いずれにせよ、ふるさと納税制度の本来の目的であった「離れた故郷に自分の税金が払えるように」といった感情的な部分を思うと、こういった現状は少し寂しく感じてしまいますね。

今月の税務トピックス② 税理士法人右山事務所 所長 宮森俊樹

(今月の税務トピックス①よりつづく)

Ⅱ 対価の額が契約で定められていること
 前述したⅠ①における「対価の額が契約で定められている」とは、31年指定日の前日までの間に締結された契約においてその契約期間中の対価の総額が具体的な金額により定められている場合又は総額が計算できる具体的な方法が定められている場合とされます。
 具体的には、次に掲げるような契約とされます(31年経過基本Q&A問30)。
① 契約期間中の賃貸料の総額を定めているもの
② 賃貸料の年額、月額等を、例えば、「年(月)額○○円」と定めており、これに契約期間の年数、月数等を乗じることにより、契約期間中の賃貸料の総額を計算できるもの
③ 貸付けに係る資産の数量及び賃貸料の月額単価を、例えば、「○台貸付け、1台当たり月額○○円とする。」と定めており、これに資産の数量及び契約期間の月数を乗じることにより、契約期間中の賃貸料の総額を計算できるもの

Ⅲ 事情変更等による建物の貸付けに係る対価の変更等
 建物の賃貸借については、借地借家法が適用され、「借賃増減請求権(借地借家法32)」の規定により、事情変更があった場合には賃料の増減請求ができることとされています。
 ただし、建物の賃貸借に係る契約において、賃貸する者がその貸付けに係る対価につき増減しない旨の特約を記載すれば、その契約は前述したⅠ②に掲げる「対価の額を変更することができる旨の定めがないこと」に該当し、31年経過措置の特例の適用要件を満たすこととされます(31年経過通達18)。
 また、前述したⅠ②における「対価の額を変更することができる旨の定め」とは、本体価額の変更ができるか否かで判定されます。

おわりに
 関東近郊では、東京オリンピックを目前としてホテルやオフィスビル等の建築ラッシュとなっています。これに対して、バブル期前後に建築され老築化してきた賃貸ビルでは空室が目立つようになってきています。
 そこで、これら不動産賃貸の物件のうち、賃借人が長期間転居する予定のないものについては、31年指定日の前日までの間に契約内容を見直すことによって、例えば貸付期間10年で最初2年間は〇〇円、次の2年間〇〇円というように、10年間の家賃を定め、前述したⅢに掲げる賃貸人の「借賃増減請求権」がない旨を契約書に記載すれば、賃借人が負担する消費税を旧税率で固定することも可能となります。
 実務上では、31年経過措置の特例の上手な活用方法を検討すべきでしょうね。

 

(前編)会計検査院:中小企業等の貸倒引当金の特例措置の適用状況を公表!

会計検査院は、中小企業等の貸倒引当金の特例措置の適用状況を公表しました。
 それによりますと、法定繰入率と貸倒損失発生率との間にかい離があることから、貸倒引当金が過大に計上されて法人税の減収につながっていると指摘しております。
 同特例は、中小企業等の貸倒引当金の繰入限度額について、法定繰入率を用いることができ、中小企業等のうち公益法人等及び協同組合等については、繰入限度額を割増しできる措置です。

 また、内国普通法人における事業区分ごとの貸倒損失発生率を算出したところ、全事業区分において、引当金の繰入限度額の計算方法として認められる「法定繰入率」が実際の貸倒損失発生率を上回っていました。
 2011年度から2015年度に特例を適用した法人は、延べ約178万法人あり、損金算入額は1兆2,902億円にのぼり、全業種で法定繰入率が貸倒損失発生率を上回りました。
 なお、農林水産省の資料を基に繰入率特例による法人税の減収額を推計したところ、537法人で計133億余円となりました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成31年2月8日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

《コラム》仮想通貨に関する税務上の取扱い

仮想通貨を売却又は使用することにより生じる利益は、原則として総合課税の雑所得に区分され所得税の課税対象となります。

◆取引区分ごとの所得の計算方法
(1)仮想通貨の売却
 保有する仮想通貨を売却(日本円に換金)した場合、その売却価額と取得価額との差額が所得金額となります。
(2)仮想通貨での商品の購入
 保有する仮想通貨を商品購入の際の決済に使用した場合、その使用時点での商品価額(消費税込みの金額)と仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。
(3)仮想通貨と仮想通貨の交換
 保有する仮想通貨を他の仮想通貨を購入する際の決済に使用した場合、その使用時点での他の仮想通貨の時価(購入価額)と保有する仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。
(4)仮想通貨の分裂
 仮想通貨の分裂に伴い取得した新たな仮想通貨は、分裂時点において取引相場が存在しておらず、その時点では価値を有していないと考えられます。したがって、新たな仮想通貨を取得した時には課税関係は生じず、実際に売却又は使用した時点で所得が生じることとなります。なお、その取得価額は0円となります。
(5)仮想通貨のマイニング
 マイニング(採掘)等により仮想通貨を取得した場合は、収入金額(マイニング等により取得した仮想通貨の取得時点での時価)から必要経費(マイニング等に要した費用)を差し引いた所得金額が、事業所得又は雑所得の対象となります。

◆法人が仮想通貨を保有する場合
 法人が期末において保有する仮想通貨は、会計上、活発な市場が存在する場合は、市場価格に基づく価額をその仮想通貨の貸借対照表価額とし、帳簿価額との差額は当期の損益として処理します。活発な市場が存在しない場合は、取得価額をもって貸借対照表価額とし、期末における処分見込価額が当該取得価額を下回る場合には、処分見込価額を貸借対照表価額とし、取得価額との差額を当期の損失として計上しますが、税務上は当該損益の額について申告調整で自己否認することになります。
 2017年から急拡大した仮想通貨市場は、今後も法整備等の動向に留意が必要です。

極ZERO裁判で国税勝訴

115億円の追徴課税を巡ってサッポロビール社と国税が争う裁判の判決が下され、東京地裁はサッポロの請求を棄却しました。判決の詳細は非公開ながら、税法の「立法趣旨」が司法判断の決め手となったことがうかがえます。

 サッポロは2013年に「世界初の製法」をうたい、ビール系飲料のなかで最も税率の低い第3のビールとして「極ZERO」を販売。翌14年、国税庁から「第3のビールではなく発泡酒に当たる可能性がある」と指摘されました。発泡酒なら酒税は第3のビールの約1.7倍となり、それまで売り上げた分にかかる酒税の差額115億円を納税する義務が生じます。

 未納分の税金は、納めるのが遅れるほど延滞税が多くかかります。同社はこれ以上負担が増えないよう納めるだけ納めておいて、第3のビールだと証明した後に返してもらうという手段をとりました。しかし国税が返還を拒否したため、両者の対決が始まったのです。

 国内大手のビールメーカーが数字上のスペックを見誤ることはなかなか考えにくいことです。となれば、極ZEROは第3のビールの要件を数字では満たしていながら、裁判では認められなかったということも考えられます。

 手掛かりとなるのが、同社の訴えを巡る国税不服審判所の非公開裁決です。この裁決に当たり審判所は、「その他の発泡性酒類」が規定された06年改正酒税法の立法趣旨に触れています。改正法で基本税率よりも低い特例的な税率を設けたのは、税率が急激に変われば生産や消費に多大な影響を与えるためであると説明。その上で「その他の発泡性酒類」の特例税率は、当時販売されていた第3のビールの商品群と「同種の製造方法によるもの」に限定する趣旨があったとしました。そしてこれらを踏まえると、あくまで推測ですが、『世界初の製法』をうたった極ZEROは法が想定する〝製法〟ではないため「その他の発泡性酒類」に該当しないと結論付けたとみられます。

 純粋に原材料の割合などスペック上の理由だけで第3のビールに該当しないのなら、立法趣旨に踏み込む必要はないはずです。地裁判決についてはまた異なる論拠から判決が出されたのかもしれませんが、審判所と同種の判断がされた可能性は否定できません。

<情報提供:エヌピー通信社>

(後編)国税庁:2017事務年度の海外取引調査を公表!

(前編からのつづき)

 1件あたりの申告漏れ所得を取引区分別にみてみますと、「海外投資」が3,320万円、「輸出入」が1,053万円、「役務提供」が1,477万円、「その他」が1,603万円となりました。
 そして、事例では、民泊事業者を調査したケースが挙がっております。

 会社員Cは、例年、給与所得と少額(又は赤字)の不動産所得を申告していましたが、部内資料等から、民泊による収入を得ていることが想定され、調査の結果、Cは複数の自己所有物件や賃貸物件を国外の民泊仲介業者のインターネットサイトにアップして宿泊者を募集し、宿泊料は同仲介業者を通じて得ていましたが、申告していませんでした。

 顧問税理士には、民泊による年間収入金額よりも過少になるような賃貸契約書を偽造し提示することで、民泊に係る申告を免れ、少額(又は赤字)の不動産所得を申告していたことも判明し、その結果、Cには所得税5年分に係る申告漏れ所得金額約2,600万円について、追徴税額(重加算税含む)約700万円が課税されました。

(注意)
 上記の記載内容は、平成31年2月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)国税庁:2017事務年度の海外取引調査を公表!

国税庁は、2017事務年度(2018年6月までの1年間)の海外取引調査を公表しました。
 それによりますと、2017事務年度に海外投資者等を対象に前年度比46.8%増の4,616件の実地調査を実施し、同80.6%増の総額約977億円の申告漏れ所得を把握しました。

 4,616件を取引区分別にみてみますと、「海外投資」(預貯金等の海外での蓄財を含む海外の不動産や証券などに対する投資)が全体の34.4%を占める1,587件となり、「輸出入」(事業での売上や原価に係る取引で、海外の輸出(入)業者との契約による取引)が同12.0%の553件、「役務提供」(工事請負やプログラム設計など海外において行う、労力・技術等の第三者に対するサービスの提供)が同9.1%の420件となりました。
 そのほか、海外で支払いを受ける給与や贈与(親族に対する海外送金等)など海外取引に係るもので、上記の取引に該当しない「その他」が全体の44.5%を占める2,056件となりました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成31年2月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

ふるさと納税の法規制は6月から

「ふるさと納税」の新たな規制ルールが、今年6月から実施されます。税優遇が適用される寄付先を総務省による認定制に改め、「返礼品の価値は寄付金額の3割以下」「返礼品は地場産品に限定する」という基準を満たさない自治体を税優遇の対象から外します。自治体間による〝寄付争奪戦〟に歯止めがかからないとして、法規制による強権発動に踏み切った形です。

 ふるさと納税制度は、任意の自治体に寄付をすると、一定額まで住んでいる土地に納める税金が控除されるというもの。実質手数料の2千円のみで高額な返礼品が獲得できるとして、納税者の人気を集めてきました。

 政府が閣議決定した税制改正大綱では、この制度の対象となる自治体を総務大臣による指定制に改めるとしました。その条件として、①返礼品の返礼割合を3割以下とすること、②返礼品を地場産品とすること――と掲げ、自治体がこれらの基準に適合しない返礼品を送ったときは、総務大臣は指定を取り消せると盛り込みました。指定が取り消されると、寄付した人は税優遇を受けられず、純然たる寄付となってしまうわけです。これらの改正は、今年6月1日以後に行われる寄付に適用されます。

 これから法規制が実施される6月に向けて駆け込み寄付が増えていきそうですが、すでに多くの自治体では高額返礼品の見直しを進めているため、〝お得〟な返礼品は日に日に少なくなりつつあります。今年に限ってはなるべく早めに寄付をしてしまったほうがよさそうです。

<情報提供:エヌピー通信社>