(前編)国税庁:2019年1月からQRコード利用のコンビニ納付を開始!

国税庁は、2019年1月4日からQRコードを利用したコンビニ納付手続きを開始するとしました。
 これまで、税務署から交付又は送付されたバーコード付の納付書が必要でしたが、2019年1月4日以降は、自宅等において納付に必要な情報(氏名や税額など)をいわゆる「QRコード」(PDFファイル)として作成・出力することにより納付が可能になります。

 利用方法は、
①自宅等で作成・出力した「QRコード」(PDFファイル)をコンビニ店舗に持参
②キオスク端末(「Loppi」や「Famiポート」の端末設置店舗のみ)に読み取らせることによりバーコード納付書が出力
③バーコード納付書によりレジで納付
 最終的にはバーコード納付書を利用しますので、内容はこれまでのコンビニ納付と変わりはなく、納付できる金額もこれまで同様に30万円以下となります。
 なお、QRコードの作成・出力方法には、確定申告書等作成コーナーからの作成・出力する方法と国税庁ホームページからの作成・出力する方法があります。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年12月10日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

《コラム》損金不算入の延滞金等と損金算入となる延滞金

◆3種類の延滞金
 納付期限に遅れた場合に科せられる罰金ですが、国税・地方税・社会保険料で同じような言葉を漠然と使っていても、その内容に違いがあります。
(1)国税にかかる「延滞税」
 国税については国税通則法第60条で納期限後の納付には「延滞税を納付しなければならない」と定められています。
(注)罰金ではない国税の「利子税」
 法人税の申告納付は事業年度終了の日から2か月以内ですが、所定の場合には期間を延長することもできます。この延長された期間に対応する利息相当分が利子税(国税通則法第64条)と呼ばれます。
(2)地方税の「延滞金」
 地方税法では、第64条(納期限後に納付する法人の道府県民税に係る延滞金)や第65条(法人の道府県民税に係る納期限の延長の場合の延滞金)など、税目ごとに規定があります。地方税では国税での延滞税や利子税ともに延滞金という用語を使います。
(3)社会保険料の延滞金
 社会保険料(健康保険、厚生年金保険、子ども・子育て拠出金)についても、健康保険法第181条(延滞金)等で、督促状の指定する期日以降に納付がされたときは延滞金がかかる旨が規定されています。

◆損金不算入の延滞金
 延滞にかかる罰金を支払った時は、会計上は租税公課等として経費計上します。しかしながら、罰則的意味のため損金には算入されません。法人税法第55条(不正行為等に係る費用等の損金不算入)第3項一号に国税に係る延滞税等、二号に地方税法の規定による延滞金は損金不算入とあります。
 一方、申告期限の延長にかかる分は罰金ではなく利息なので、損金算入です。上記規定ではカッコ書きで除外されています。

◆社会保険料の延滞金は損金算入
 社会保険料の納付遅延に伴う延滞金も罰金でありますが、上記損金不算入の規定で挙げられていないため、損金算入できます。

◆会計帳簿に面倒がらずに明細を書いておく
 延滞金の納付時に上記の区分を会計帳簿に明記しておけば、決算の時に納付書をひっくり返して探す手間は省けます。
 日頃の適切な記帳が大事ということです。

 

《コラム》サモンズという制度

◆サモンズ(summons)
 日本と異なり、アメリカには、裁判所の召喚状に基づいて行う税務調査(summons サモンズ)があります。サモンズの対象者は、決められた日時と場所へ要求された帳簿または記録を持って出頭し、宣誓のもとに証言することが要求されます。聴聞官は、質疑応答形式で聴聞を行います。
 出頭者には、日当及び旅費及び提出資料のコピー代が支給され、助言者又は代理人を随伴する権利があり、録音機等の携帯も許されます。

◆サモンズの威嚇力の強大さ
 裁判所の召喚命令に従わない場合、アメリカ内国歳入庁の申立てにより、裁判所は、身柄拘束令状を発して名宛人を引致して、サモンズに従うように強制する命令を下し、その命令が履行されないときは、裁判所侮辱罪の範囲内で、その名宛人を処罰することになり、さらに、これとは別に、「1,000 ドル以下の罰金又は1年以下の懲役に処し、又は併科する。」という行政刑罰も設けられています。

◆サモンズは非効率として忌避されている
 サモンズの税務調査の手段としての有効性は認められているものの、サモンズを発出した場合は、常に、訴訟に備えての税務調査体制を採らざるを得ず、訴訟に至らないことが多かったとしても、調査における税務職員の訴訟に向けた資料蓄積と注意力を集中させた労働とが課せられることになり、非効率行政となる結果をもたらしているので、実際は、極力サモンズを使わずに、サモンズを臭わせるプレサモンズ・レター止まりにしているようです。

◆日本の税務調査
 国税庁の直近の発表での税務調査の件数は、法人税調査97千件(法人税申告総件数2861千件)、所得税調査34,846件(申告人数2,198万人)、相続税調査12,116件(申告件数136,891件)となっており、調査件数の割合を増やすのは大変なことだと推測されます。
 その中で、マル査の年間着手件数は174 件で、告発率は69.3%です。
 日本にもサモンズの導入ができないか、との検討は以前からなされていますが、裁判所の協力が前提の制度は、ほとんど不可能との見方がされており、税の執行面でも、さらに手を煩わす制度はアメリカ以上に忌避されることになりそうです。

 

NISA6年目の選択肢

少額投資非課税制度(NISA)のスタートから5年を経過し、制度開始年に開設されたNISA口座が今年12月末で非課税期間を終了します。非課税期間が終わったNISAは、課税口座に移管されるか、新たに2019年度から始まる5年間の非課税口座に持ち越す「ロールオーバー」を行うかを選ぶことが可能です。売却するか持ち越すか、どちらが得かを見極めての選択が求められています。

 NISAは投資して得た利益の全てが非課税となることが特徴です。利益が1万円に達しようが1億円を超えようが一切税金はかかりませんが、年間の投資上限額が120万円、非課税期間が5年間のため、なかなかまとまった利益が生まれづらいのも事実です。

 そこで、非課税期間終了時に「ロールオーバー」を選ぶことで、5年間の非課税期間が終わった時点でのNISA口座に残った残高をそのまま翌年から5年間、非課税で投資を続けることが可能です。しかも元手となる投資資金は17年度税制改正で上限が撤廃され、現在は青天井となっています。

 例えばNISAが開始した14年に当時の年間上限額である100万円で投資をスタートした人が、非課税期間の最終年である今年までに、その額を5倍の500万円まで増やしたとします。ロールオーバーを選べば、改めて19年度スタートのNISA口座に500万円が入り、そこから5年間で5倍の2500万円まで増えたとしても、全額が非課税となります。どこまで増やせるかは腕次第とはいえ、投資期間が単純に倍になるわけです。注意点としては、ロールオーバーの枠に上限はないものの、その年の投資上限枠をつぶしてしまう点があります。つまり120万円以上をロールオーバーすると、その年はもうNISA口座への入金ができなくなります。

<情報提供:エヌピー通信社>

(前編)国税庁:税務行政の将来像に関する最近の取組状況を公表!

国税庁は、「税務行政の将来像」に関する最近の取組状況を公表しました。
 それによりますと、将来像は情報システムの高度化、外部機関の協力を前提として、現時点で考えられる税務行政の将来のイメージを示したもので、具体的に実現した取組みを紹介するほか、これまでの検討の中で、施策のイメージが具体化したものを紹介しております。

 将来像は、「納税者の利便性の向上(スムーズ・スピーディ)」と「課税・徴収の効率化・高度化(インテリジェント)」を柱として、その実現に向けてAI技術などのICTを活用しながら段階的に取り組むとしております。
 「納税者の利便性の向上」については、個人向け、法人向けの申告手続きのデジタル化の推進や納付手続きのデジタル化の推進などの最近の取組みが紹介されております。
 例えば、個人向けでは利用者の多い一般的な給与所得者の医療費控除又はふるさと納税等による還付申告を対象に、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」にスマートフォン・タブレット専用画面を提供するため、システムを開発(2019年1月導入予定)するとしております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年11月16日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

日本医師会が医療損税の還付を要望

2019年10月の消費税率アップで損失が拡大するとして、日本医師会が負担分を税で還付する制度を設けるよう政府に求めています。ただ財務省は従来の増税時に講じた対策を踏襲する考えを崩していません。政治力の大きい医療界が年末の予算編成と税制改正までにどう攻め込むのか、永田町と霞が関の注目を集めています。

 厚生労働相の諮問機関「中央社会保険医療協議会」は10月31日の会合で、消費増税への対応を議論しました。そこで「何らかの新たな仕組みが必要だ」と抜本的な対策を打ち出すよう訴えたのが、日本医師会です。保険医療の費用は非課税になっており、診察料は公定価格で消費税を上乗せできません。一方、医療機器などは課税の対象になっているので、病院の収支は悪化しやすい状況です。

 このため政府は、消費増税のたびに全国一律で診察料を引き上げて病院の負担を軽減する措置を取ってきました。しかし医療機関ごとに収支はバラバラで、特に高額な医療機器を導入する必要がある大病院にとって増税の影響は深刻。厚労省の調査でも、診察料引き上げによる増税負担の軽減率は、消費税率が8%に上がった14年度が83%、16年度も85%にとどまります。1病院あたりの持ち出しは年間約300万円で、医療界全体だと200億円規模に上っているという試算もあります。

 日本医師会は診察料の引き上げで補てんされた分と、消費増税で増えた負担分を病院ごとに集計し、差額について税で還付を受ける制度を要求しています。ただし財源が不明なうえに、診察料などを消費税の課税対象にしなければ還付は税制上難しいため、財務省がそのままのむ可能性は低そうです。

<情報提供:エヌピー通信社>

国税庁が海外口座55万件の情報入手

国税庁は各国の税務当局と情報を交換する「CRS(共通報告基準)」制度によって、日本人が保有する55万件超の海外口座の情報を入手したと発表しました。日本は9月からCRSに参加し、初回の情報交換を終えたばかりです。海外口座の情報は今後も定期的に自動交換される仕組みで、富裕層が国外に持つ資産の捕捉がますます進んでいくことになります。

 「CRS(コモン・レポーティング・スタンダード):共通報告基準」とはOECD(経済協力開発機構)が策定したルールで、基準を適用する国同士が、それぞれの国の金融機関に開設された相手国居住者の口座情報を、年に一回、自動的に交換するという仕組みのこと。国税庁によればCRSを使った初回の情報交換で、64の国・地域から日本人が現地に持つ銀行口座の情報を得たそうです。逆に日本から58の国・地域に、日本国内にある口座の情報を提供しました。国税庁が情報は受け取った口座数は55万705に上ります。

 地域別で見ると、アジア・大洋州(太平洋上の国家など)が29万超と最も多く、欧米・NIS諸国(旧ソ圏)が20万超と続きました。これらの地域には資金の秘匿先として名高いシンガポールやスイス、アイルランドなどが含まれます。代表的なタックスヘイブン(租税回避地)として知られる英領バージン諸島やケイマン諸島を含む北米・中南米からも4万超の口座情報が寄せられました。

 現在、日本と自動的な情報交換を行う体制が構築されているのは88の国・地域ですが、今後さらに増加し、ナイジェリアやカメルーンなどのアフリカ諸国、フィリピンやタイなどのアジア諸国の参加も見込まれているそうです。国税庁は初回の情報交換を終えて、「受領した金融口座情報は、国外送金等調書、国外財産調書、財産債務調書、その他すでに保有している様々な情報と併せて分析」し、海外への資産隠しや国際的租税回避行為に「適切に対応していく」とコメントしました。

<情報提供:エヌピー通信社>

(後編)2018年度税制改正:年末調整の手続きを電子化へ!

(前編からのつづき)

 2019年1月以後に2018年分以後の確定申告をe-Taxで送信する場合には、電子的控除証明書等を添付して送信することができます。

 さらに、2020年10月以後に年末調整の際に給与所得者の保険料控除証明書を給与の支払者に電子的に提出(送信)する場合には、電子的控除証明書等を添付して提出(送信)することができるようになります。
 これにより、従業員は保険料控除申告書と控除証明書をまとめて電子提出が可能となり、会社側では控除証明書や提出用台紙を紙で取り扱う煩雑さがなくなることや、申告内容と証明書の突合せをより簡単に行えるようになることが期待されております。

 また、居住年が2019年以後分に係る住宅ローン控除においては、住宅ローン控除申告書等に添付すべき住宅ローン控除証明書や年末残高証明書についても、金融機関や税務署から電子データで交付されるものをあわせて提出することができるようになりますので、該当されます方はご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年11月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 

(前編)2018年度税制改正:年末調整の手続きを電子化へ!

国税庁は、2018年度税制改正において、生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅ローン控除に係る年末調整手続きを電子化することを盛り込こんでおります。

 これまで所得税等の確定申告や年末調整で生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除の適用を受ける場合には、保険会社等から書面により交付を受けた控除証明書等を申告書等に添付等する必要がありましたが、2018年分以後は、保険会社等から電子データで交付を受けた控除証明書等(以下:電子的控除証明書等)を一定の方法により印刷した電磁的記録印刷書面(以下:QRコード付控除証明書等)による提出が可能となりました。

 QRコード付控除証明書等は、保険会社等のHPからデータをダウンロードするなどの方法により交付を受けた電子的控除証明書を、国税庁のHPのQRコード付証明書等作成システムに読み込むことで、PDFファイルのQRコード付控除証明書等が作成されます。 
 このQRコード付控除証明書等を印刷することで控除証明書として利用することができます。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年11月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)国税庁:民泊により生じる所得の課税関係等を公表!

(前編からのつづき)

 民泊の性質や事業規模・期間などを考慮しますと、住宅宿泊事業法に規定する民泊を行うことにより得る所得は、原則として雑所得に区分されるとしております。
 ただし、不動産賃貸事業者が、一時的な空き部屋を利用して民泊を行った場合に得る所得は、不動産所得に含めてもよく、専ら民泊で生計を立てるなど、民泊が所得税法上の事業として行われていることが明らかな場合は、事業所得に該当するとしております。

 今回の課税情報には、上記のほか、必要経費の計算例、住宅借入金等特別控除の適用関係や居住用財産の3,000万円の特別控除の適用関係などが解説されております。
 消費税については、民泊において宿泊者から受領する宿泊料は、ホテルや旅館などと同様に課税対象となりますが、当課税期間の基準期間の課税売上高が1千万円以下の場合は、当課税期間は原則として免税事業者に該当しますので、消費税の申告・納税義務はないとしております。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年11月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。