e-Tax相談、確申期の月曜は混雑

e-Tax(イータックス)に関する国税当局の電話相談窓口「e-Tax・作成コーナーヘルプデスク」を確定申告期に利用するなら、月曜はできるだけ避けた方がよさそうです。国税当局が昨年までの受付状況を踏まえて行った混雑予想によると、週明けは特に電話がつながりにくいとのことです。

 確申期前半の2月に「非常に混雑する」と予想されているのは19日と26日の月曜日。平日は、「比較的電話がつながりやすい」とされている21日(水曜日)を除き、他の日も「混雑する」とされていて回答が待たされる可能性が高いようです。ストレスなく電話相談できそうなのは18日と25日の日曜日で、「ほとんどお待たせすることなく電話がつながる」と予想されています。また、全ての日程に共通して、受付時間の午前9時~午後8時のうち特に午前中は混みやすく、午後5時~8時は比較的電話がつながりやすいとされています。

 なおヘルプデスクでは、イータックス利用開始のための手続き、イータックスソフトや確定申告書等作成コーナー関連、それらを利用するためのパソコン操作の相談を受け付けています。税務相談や国税庁以外の業者が提供するイータックスソフト・会計ソフトの操作の相談には対応していません。
<情報提供:エヌピー通信社>

今月の税務トピックス② 税理士法人右山事務所 所長 宮森俊樹

(今月の税務トピックス①よりつづく)

Ⅲ 用語の定義
 上記Ⅰ及びⅡにおける主な用語の定義は、次のとおりとされます。
① 雇用者給与等支給増加額
 雇用者給与等支給額から基準雇用者給与等支給額(平成25年分の給与等支給額とされます。)を控除した金額とされます。
② 雇用者給与等支給額
 適用年の年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される国内雇用者(個人の使用人(特殊関係者を除きます。)のうち個人の有する国内の事業所に勤務する雇用者として労働基準法第108条に規定する賃金台帳に記載された者とされます。)に対する給与等支給額(その給与等に充てるため他の者から支給を受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額)とされます。
③ 比較雇用者給与等支給額
 適用年の前年分の雇用者給与等支給額(適用年の前年において事業を開始した場合(相続により事業を承継した場合を除きます。)には、その給与等支給額に12を乗じて適用年の前年において事業を営んでいた期間の月数で除して計算した金額)とされます。
④ 中小事業者の範囲(措法10⑧五,措令5の3⑨)
 「中小事業者」とは、中小事業者に該当する個人で青色申告書を提出しているものとされます。このうち、「中小事業者」とは、常時使用する従業員の数が1,000人以下の個人とされます。

おわりに
 公表された平成30年度税制改正大綱(平成29年12月22日閣議決定)においては、基準年(平成25年分)が撤廃され、雇用者給与等支給増加額の計算が前年との比較とされています。また、賃上げ率1.5%以上を実施した中小事業者では、控除率が15%とされ、大事業者並みの高い賃上げ率2.5%以上を実施するとともに人材投資又は生産性向上の実施が証明された場合には控除率が25%とされています。
 これら税制改正を考慮すると税理士事務所においても事務所職員の昇給及び特別ボーナスの支給も工夫する必要がありそうですね。

エッサムファミリー会 会報(平成30年2月号)より

 

国税庁:2016年度の租税滞納状況を公表!

国税庁は、2016年度の租税滞納状況を公表しました。
 それによりますと、新規発生滞納額は、前年度に比べ9.5%減の6,221億円と3年ぶりに減少し、整理済額が7,024億円(前年度比9.3%減)と新規発生滞納額を上回ったため、2017年3月末時点での法人税や消費税など国税の滞納残高も8.2%減の8,971億円となり、1999年度以降、18年連続で減少しました。

 国税庁では、新規滞納に関しては、全国の国税局(所)に設置している「集中電話催告センター室」で整理すること、処理の進展が図られない滞納案件については、差押債権取立訴訟や詐害行為取消訴訟といった国が原告となって訴訟を提起して整理すること、財産を隠ぺいして滞納処分を免れる案件については、国税徴収法の「滞納処分免脱罪」による告発で整理することで、効果的・効率的に処理しております。
 近年、景気回復により税収は増えているものの、こうした新規滞納の未然防止、大口・悪質事案や処理困難事案を中心に厳正・的確な滞納整理を実施しております。

滞納残高は、前年度の2015年度に1986年度(8,778億円)以来29年ぶりに1兆円を下回り、2016年度も滞納残高を減らしております。
 2016年度に発生した新規滞納額は、最も新規滞納発生額の多い1992年度(1兆8,903億円)の約33%まで減少しました。

 また、2016年度の滞納発生割合(新規発生滞納額/徴収決定済額(57兆6,516億円))は1.1%となり、2004年度以降、13年連続で2%を下回り、国税庁発足以来、最も低い割合となって、滞納残高はピークの1998年度(2兆8,149億円)の約32%まで減少しました。
 税目別にみてみますと、消費税は、新規発生滞納額が前年度比14.5%減の3,758億円と3年ぶりに減少しましたが、税目別で12年連続最多、全体の約60%を占めております。

 一方で、整理済額が3,997億円と上回ったため、滞納残高は7.2%減の3,100億円となり、7年連続で減少しました。
 法人税は、新規発生滞納額が同3.7%減の611億円と3年連続で減少し、整理済額が698億円と上回ったため、滞納残高も8.2%減の981億円と9年連続で減少しました。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年1月12日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

【時事解説】粉飾を防ぐ倫理観 

東芝に見られるように、粉飾決算は後を絶ちません。粉飾を防ぐにはどうすればよいでしょうか。
 粉飾決算は大きく2つに分けることができます。一つは金額の架空計上、つまり、完全なでっち上げです。たとえば、ありもしない売上を仮装するものです。こうした場合は、売掛金がいつまでたっても、現金化しないことによって、粉飾が露呈します。これは弁解の余地のない粉飾です。
 もう一つは見積もりの操作です。東芝の不適切会計の発端は、工事進行基準の収益計上に関わるものだと報じられています。進捗率を操作して、収益を早めに計上していたのかもしれません。
 これも利益の改竄ですから粉飾には違いがありませんが、ただ完全なでっち上げとは違い、当事者の罪の意識は薄くなります。工事の全体金額そのものに変わりがなければ、収益計上時期を繰り上げても、その分、後で収益が少なくなるだけですから、全体としての帳尻は合うはずです。架空の数字を作り上げたのとは違い、見積もりの操作ですから、判断する人による主観の相違です、と言われればそれまでです。
 こうした見積もりの操作は何も工事進行基準だけではありません。減価償却費も引当金にも同様にその危険性は存在します。機械の減価償却期間を5年にするか10年にするかで、減価償却費は大きく異なります。償却期間は5年が正しいのか、10年が正しいのかは機械を使い終わってみなければ分かりませんから、現段階では確定的ではありません。会計にはこうした不確実性がぬぐいがたく存在します。

こうした不確実性を排除することは不可能ではありません。
 工事進行基準ではなく工事完成基準を、固定資産の費用化も減価償却ではなく現金主義を採用すればいいわけです。
 ただ、そうなると確実性は増しますが、会計の大きな目的である適正な期間損益の算定が達せられなくなってしまいます。それは会計の先祖返りですから、あり得ません。
 会計は見積もりの拡大と共に進化してきました。近年導入された減損会計や税効果会計でも将来利益の見積もりが重要になります。
 また、資産価格の算定も取得原価から将来キャッシュフローの現在価値へと変わる傾向にありますが、将来キャッシュフローの現在価値を計算するには、将来キャッシュフローの予測や現在価値に引き直す割引率を決めなければなりません。そこでも見積もりが必要になります。
 IFRS(国際会計基準)導入企業も増加傾向にあり、会計が見積もりの拡大に向かうことは不可避です。その結果、人為的な操作の余地も広がってきます。
 東芝の事件は、決算書の数値はこうした脆弱性の上に成り立っていることを再認識させてくれました。決算書を作成する経営者と共に我々会計人も、進化する会計には倫理観が益々重要になることを自戒しなければなりません。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

国税庁:医療費控除に関する手続きについてのQ&Aを公表!

2017年分の所得税等の確定申告より、医療費控除の適用を受ける場合に必要な手続きが改正されております。
 国税庁では、医療費控除の適用を受ける場合に必要な手続きのうち、主に従来の取扱いと異なる事項に関するQ&Aを同庁ホームページにおいて公表しております。

 それによりますと、Q&Aは15問あって、2017年分の所得税等の確定申告から領収書の提出に代えて医療費控除の明細書の添付が原則となる取扱いの疑問点を明らかにしております。
 そのうち、医療費の領収書には医療保険者が発行するもので、
①被保険者等の氏名
②療養を受けた年月
③療養を受けた者
④療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称
⑤被保険者等が支払った医療費の額
⑥保険者等の名称の6項目の記載がある「医療費通知」を確定申告書に添付する場合には、「医療費控除の明細書」の記載を簡略化することができ、医療費の領収書の5年間保存も不要となるとしておりますので、該当されます方はご確認ください。

また、2017年分以後に医療費控除の適用を受ける場合には、原則として「医療費控除の明細書」を確定申告書に添付して提出する必要がありますが、経過措置があり、2017年から2019年までの各年分については、従来どおり医療費の領収書を確定申告書に添付することもできます。
 ただし、一部の医療については原則的取扱いによる一方で、そのほかの医療費については経過措置に基づく取扱いと併用することはできませんので、ご注意ください。

 そのほか、自由診療に区分される診療や薬局での医薬品購入など「医療費通知」に記載のない医療費について医療費控除の適用を受ける場合には、これらの医療費に係る領収書に基づき「医療費控除の明細書」へ必要事項を記載する必要があります。
 そして、この明細書と「医療費通知」をあわせて確定申告書に添付して提出することで、医療費控除の適用を受けることができることなども説明しておりますので、該当されます方はご注意ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年1月30日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

《コラム》AI革命と雇用

 昨年ころから実用化され始めたAI(人工知能)技術は、ブームとなっていきそうな勢いです。日増しに報道や出版物も増えていますが、AIが発達すると雇用との関係は今後どうなっていくのでしょうか。

◆労働者の半数が機械に仕事を奪われる?
 2016年に発行されたリクルートワークス研究所の機関誌「Works」No.137に「同僚は、人工知能」というAIと雇用についての記事が掲載され話題を呼びました。それによると日本では今後、労働人口の49%がAIやロボットにより代替される可能性が高いと言っています。労働者の半数が仕事を失うとなるとは驚きです。そのような未来が来るとすると企業では何が起こるのでしょうか。

◆仕事が減ったら配置転換で乗り越えてきた
 日本の労働の歴史では1980年代のME革命や1990年代のIT革命の際も業務が一新され、従前の雇用は大量に失われました。しかしMEやITに従事する新たな雇用が創出されたので日本型終身雇用に守られた労働者の再配置(社内配転等)がなされ、大量の失業者が発生する結果にはならなかったという事です。
 但しAI、ロボット技術との違いは、
①技術の発達速度の速さ
②雇用創出にはそれほどつながらない
等が言われており、懸念されています。

◆今後の時代に備えた雇用を考える
 労働法が現在の内容である限り企業はたとえAIによって自社の職務が削減されても社員の雇用を守るための努力は必要になるでしょう。それなしには整理解雇が有効になることはないかもしれません。
 もちろんAIが導入されても絶対雇用維持しなければならないと言う事にはならないでしょう。ここはAIと共存する為の知恵や工夫が必要となってくるのでしょう。
 前述の「Works」No.137でも生産性向上等、新しい働き方の提案がなされています。
 来るべき時代を意識しておく必要があると言う事でしょう。

年金受給開始、70歳超も可能に

政府はおよそ5年ぶりに改定する高齢社会対策大綱に向けて、公的年金の受給開始年齢を70歳より遅らせることもできる新たな制度案をまとめました。開始年齢を遅らせるほど受給時に受け取れる額が増える案を組み合わせて、70歳を超えて働き続ける高齢者を増やしたい狙いがあります。経営者は70歳を超えても現役で働くことも多く、制度が改正されれば経営者の働き方の選択肢が増えるかもしれません。

 現行制度では公的年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、60歳から70歳の間で任意に選ぶことができます。65歳より早く受け取り始めれば受給額が減り、遅く受け取れば受給開始後の年金は増えるシステムで、年金受給額は早ければ最大30%減り、遅ければ最大42%増えます。

 政府案では、現行制度をさらに拡大し、70歳を超えて受給年齢を75~80歳まで遅らせることができるようにするもの。現行制度では受給開始を65歳から1カ月遅らせるごとに0.7%上積みされますが、これを70歳以降はさらに加算されるよう検討します。

 実際に2015年度に国民年金だけを受給した人のうち、受給開始年齢を65歳より遅らせた人は1.4%にとどまっていることから、どれだけの人が70歳より受給開始年齢を遅らせるかは未知数です。受給開始を遅らせれば月ごとに受け取れる年金の額は増えますが、受け取れる期間は短くなることも意味します。長生きすればその分得をするものの、自身のリタイアプランやその後のセカンドライフも踏まえて慎重に検討したいところです。
<情報提供:エヌピー通信社>

財務省:2017年度予算執行調査結果を公表!

財務省は、2017年度予算執行調査結果を公表しました。
 予算執行調査とは、財務省主計局の予算担当職員や日常的に予算執行の現場に接する機会の多い財務局職員が、予算執行の実態を調査して改善点を指摘し、予算の見直しや執行の効率化等につなげていく取組みです。
 それによりますと、2016年度実績において国税当局で使用している業務用車の全国平均稼働率は57.8%となり、前回(2014年度)調査時の57.8%とほぼ変わっていないことが分かりました。

 国税局や税務署では、税務調査等実施の際の移動手段として、公共交通機関の利用のほか、業務用車を利用し、業務用車が一時的に不足する場合などはレンタカーの借上げ等により対応しております。
 財務省では、調査結果に基づき、各省庁に対し2018年度概算要求や今後の予算執行に確実に反映するよう要請しております。
 国税当局で使用している業務用車については、2014年度予算執行調査で実施しており、今回はそのフォローアップ調査として行いました。

調査対象は、全国12の国税局(所)及びその管轄税務署で、税務調査や徴収等に使用する業務用車の稼働率と業務用車が不足している場合に代替手段として使用しているレンタカーの利用状況で、前回の調査結果を踏まえ、これらが効率的に行われているかを検証しました。
 局別の平均稼働率の最大値は関東信越国税局の63.6%(前回同局63.7%)、最小値は大阪国税局の48.6%(同47.7%)と局間で差がみられました。

 一方、レンタカーの利用では、年間利用延べ台数の合計は2万3,370台(前回3万5,831台)となり、前回に比べて1万2,461台減少しました。
 前回調査では、レンタカーを年間延べ100台以上利用している局署が42あり、この42局署の年間利用延べ台数は3万2,192台で全体の約9割を占めておりました。
 今回の調査において、このうち33局署で業務用車の配備見直し等により、年間利用延べ台数は1万9,398台となり、レンタカー依存度が改善され、これが全体の利用減少につながったものとみられております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年1月5日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

顔認証システムで何が変わるか

 最新型のiPhoneに搭載され話題となった顔認証システム。顔認証とは、目、鼻、口などの特徴をとらえて、持ち主かどうかを識別する機能を指します。スマホに自身の顔をかざすだけでログインができる手軽さが魅力です。
 古くから顔で本人かどうかを識別する技術はありましたが、最新のシステムはAI(人工知能)を用い、精度が著しく進歩した点が特徴です。普段素顔の人が厚化粧する、女装をはじめとする変装をするなど、人間の目では判断を誤るようなケースでも正確に識別できるようになっています。
 顔認証の魅力は、立体的に顔をとらえ照合するため、指紋認証などと比べると偽造されにくい点が一つとしてあります。加えて、従来のようにパスワードを忘れるといった心配もありません。
 顔認証はスマホのログイン機能として広く知られていますが、実は、幅広い分野での応用が可能な技術です。テーマパークの入場チェックのほか、会社のパソコンにログインする、万引きからテロまでの犯罪防止、さらにはマーケティングなどにも利用されています。
 最近では、東京2020オリンピック・パラリンピックに備え、空港でのゲートの自動化に取り入れられることになりました。羽田空港ではすでに日本人の帰国手続で実用化されています。従来は、あらかじめ顔のデータを登録する必要がありましたが、現在は事前登録は不要になっています。パスポートを機械にかざすだけでよいので手続の時間短縮といったメリットがあります。顔認証システムは、使い勝手が優れていることから、今後もより多くの分野で活用されることが予想されます。

 近年、スマホのログインなどでは顔認証システムが用いられるようになりました。顔認証はカメラに顔をかざすだけ、といった手軽さから技術の応用範囲が拡大しています。なかでも、従来はセキュリティに関する分野が主流でしたが、マーケティングへの応用も期待されています。
 一例を挙げると、白目と黒目の割合から視線の方向を割り出し、顧客の視線を追うことが可能になりました。結果、小売店では、顧客がどの商品を目にしたかがわかります。これにより、顧客にとってより興味のある商品を前面に配置するなど、ディスプレイの改善に繋がります。
 また、駅などの複数の広告を掲げている場所では、どの広告に目を向けたかを把握することが可能です。収集したデータは、より効果の高い広告づくりの手助けとなります。
 現在、世界の中で、顔認証システムに携わっている企業は多くあります。中でも、識別に関して高い技術を有するのはNECです。米国政府機関主催のベンチマークテストでは連続で第1位を獲得しました。多くの企業が、NECの技術を用いて、顔認証を用いたシステムの構築を進めています。
 今後、顔認証システムは、数多くのビジネスチャンスにつながる分野だといえます。ただ、技術は著しい進歩を遂げてはいますが、精度の面では課題が残ります。たとえば、一卵性双生児の場合、見分けがつかないこともあります。また、店舗などでの利用では、だれがどの店に入り、何に興味を示したかが記録に残るので、プライバシー面での課題が残ります。経済産業省は顔認証で情報を取得している店については、その旨を張り紙などで顧客に知らせるといった、配慮事項をまとめています。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)

地方大学の振興と若者雇用に向けて 

2017年12月8日に「地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議」の最終報告が公表されました。この報告書では、地方の特色ある創生のための地方大学の振興に関する方向性や、地方における若者雇用の創出に向けた提言が示されています。
 同報告書の内容に沿って地方大学の振興についてみていくと、地方大学は「総花主義」から脱却し、産学官が連携して地域産業の特性等を踏まえつつ各大学の強みのある学問領域・研究分野のさらなる強化に取り組み、特定分野においてはグローバルに競争力を持つ拠点を構築することが重要となります。
 また、地域の技術開発力やマーケティング力を高めるため、首都圏の大学や海外の大学等との連携により、ベンチャー企業の創出やイノベーションに向けた取組を支援する視点が重要となります。
 上記のような基本的認識の下、地方大学の振興に向けた具体的取組として、国の基本方針を踏まえつつ、首長のリーダーシップの下で産官学連携のコンソーシアムを構築し、地域の中核的な産業の振興(ものづくり産業、観光業、農林水産業等)やその専門人材育成などの振興計画を策定すること、そのうち地方創生の優れた事業として国が認定したものに対しては、新たな交付金により重点的に支援することが示されています。また、東京圏と地方の大学の学生が相互に対流・交流する取組の促進や、地方公共団体や企業と連携しながら、地域に貢献する大学を目指し改革を進める地方私立大学を支援するなど、学生の対流・交流の促進や地方私立大学の改革の推進に関する内容も提示されています。

 では、「地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議」の最終報告では、地方における若者雇用の創出についてどのような点が指摘されているのでしょうか。
 同報告書では以下の4点を具体的取組として提示しています。
 1点目は、「魅力のある良質な雇用機会の創出・確保」です。地域に新たなビジネスや雇用を創出するための官民一体となった起業・創業の支援、新たな事業展開を支える経験豊富なプロフェッショナル人材の活用促進などがあげられます。
 2点目は、「東京に本社を持つ大企業等に求められる取組」です。地方拠点強化税制における対象要件の引下げ等の更なる拡充によるインセンティブ強化、大企業の選考・採用に関しての実態の把握や好事例の周知等を通じた積極的な地方での採用活動促進などがあげられます。
 3点目は、「企業を知る機会の提供、早い段階からの職業意識形成」です。地方公共団体による地元の優良企業を選定し学生に紹介する取組の推進、中高生等の早い段階から職業意識形成を図り地元企業等の魅力の浸透に取り組むことなどがあげられます。
 4点目は、「学生等の地方還流促進」です。東京圏の学生等のUIJターンにより地方企業への就職を促進するための奨学金返還支援の全国展開、地方創生インターンシップに関する地方公共団体と首都圏の大学との緊密な連携体制の構築を促進するためのプラットフォームの形成などがあげられます。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)