(前編)国外居住親族に係る扶養控除等の適用に注意!

すでに2016年1月1日以後に支払うべき給与等及び公的年金等から、国外居住親族に係る扶養控除等の適用を受ける場合には、その親族に係る親族関係書類や送金関係書類を提出又は提示することが義務化されておりますので、外国人研究生や技能実習生を受け入れている企業は、年末調整時にご注意ください。

 これまで所得控除の中でも扶養控除、配偶者控除、障害者控除又は配偶者特別控除の人的控除については、適用を受けるにあたり書類等の添付義務はありませんでしたが、2015年度税制改正により、所得税法等の一部が改正されました。
 改正の背景には、納税者と「生計を一」にする親族でその年の合計所得金額が38万円以下の者がいる場合、配偶者控除等の所得控除が利用できますが、外国人居住者については、国外の扶養親族の確認が難しく、実在するのか分からないような扶養親族を多数掲げることで多額の扶養控除を受け、所得税や住民税の負担を全くしていないという外国人もいた模様です。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年11月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)2018年度税制改正:年末調整の手続きを電子化へ!

(前編からのつづき)

 2019年1月以後に2018年分以後の確定申告をe-Taxで送信する場合には、電子的控除証明書等を添付して送信することができます。

 さらに、2020年10月以後に年末調整の際に給与所得者の保険料控除証明書を給与の支払者に電子的に提出(送信)する場合には、電子的控除証明書等を添付して提出(送信)することができるようになります。
 これにより、従業員は保険料控除申告書と控除証明書をまとめて電子提出が可能となり、会社側では控除証明書や提出用台紙を紙で取り扱う煩雑さがなくなることや、申告内容と証明書の突合せをより簡単に行えるようになることが期待されております。

 また、居住年が2019年以後分に係る住宅ローン控除においては、住宅ローン控除申告書等に添付すべき住宅ローン控除証明書や年末残高証明書についても、金融機関や税務署から電子データで交付されるものをあわせて提出することができるようになりますので、該当されます方はご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年11月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

 

(前編)2018年度税制改正:年末調整の手続きを電子化へ!

国税庁は、2018年度税制改正において、生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅ローン控除に係る年末調整手続きを電子化することを盛り込こんでおります。

 これまで所得税等の確定申告や年末調整で生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除の適用を受ける場合には、保険会社等から書面により交付を受けた控除証明書等を申告書等に添付等する必要がありましたが、2018年分以後は、保険会社等から電子データで交付を受けた控除証明書等(以下:電子的控除証明書等)を一定の方法により印刷した電磁的記録印刷書面(以下:QRコード付控除証明書等)による提出が可能となりました。

 QRコード付控除証明書等は、保険会社等のHPからデータをダウンロードするなどの方法により交付を受けた電子的控除証明書を、国税庁のHPのQRコード付証明書等作成システムに読み込むことで、PDFファイルのQRコード付控除証明書等が作成されます。 
 このQRコード付控除証明書等を印刷することで控除証明書として利用することができます。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年11月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)国税庁:民泊により生じる所得の課税関係等を公表!

(前編からのつづき)

 民泊の性質や事業規模・期間などを考慮しますと、住宅宿泊事業法に規定する民泊を行うことにより得る所得は、原則として雑所得に区分されるとしております。
 ただし、不動産賃貸事業者が、一時的な空き部屋を利用して民泊を行った場合に得る所得は、不動産所得に含めてもよく、専ら民泊で生計を立てるなど、民泊が所得税法上の事業として行われていることが明らかな場合は、事業所得に該当するとしております。

 今回の課税情報には、上記のほか、必要経費の計算例、住宅借入金等特別控除の適用関係や居住用財産の3,000万円の特別控除の適用関係などが解説されております。
 消費税については、民泊において宿泊者から受領する宿泊料は、ホテルや旅館などと同様に課税対象となりますが、当課税期間の基準期間の課税売上高が1千万円以下の場合は、当課税期間は原則として免税事業者に該当しますので、消費税の申告・納税義務はないとしております。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年11月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

《コラム》来年には法規制?ふるさと納税をめぐる動き

◆年末の恒例になりつつあるふるさと納税
 そろそろ年末の足音も聞こえてきました。来年は消費税増税・軽減税率導入・年号改正等、身近な税や制度について大きく変更がある予定となっています。
 その中の1つに「ふるさと納税」があります。ここ数年、大きなうねりとなってすでに国民の認知度は高くなっていますが、過剰な返礼品競争の末、ついには総務省が「来年より法規制をする」という方針を示しました。

◆今は「高すぎるもの」も見逃されている
 平成30年4月には、ふるさと納税は「返礼品の価値は寄附額の3割にしてください」という総務省の「要請」が出ていますが、法的拘束力がなく、逆に3割以上の返礼率を持つ自治体に人気が集まる結果となりました。総務省は調査を踏まえて「見直しが必要である自治体」を公表したのですが、「それだけお得な自治体」ということで逆に、拍車を掛けたという事は否めません。何故発表したのか疑問です。

◆来年法規制……という事は今年は?
 平成30年9月、総務省はふるさと納税の返礼品について、規定外のものを扱った自治体に対し、ふるさと納税制度から外す事も視野に入れ、来年度から制度の見直しを行うという発表をしました。
 これにより、来年4月以降はより一層ふるさと納税の規制が進むとして、現在駆け込み需要が過熱しています。ある自治体では、返礼率が高い上に使い勝手が良い「Amazonギフト券」を総務省の目に付きにくい土日祝日のみサイトに出す等、ゲリラ戦術の様相も呈しています。

◆配偶者特別控除絡みで上限にはご注意を!
 ふるさと納税は自己負担が2,000円で返礼品が貰えるお得な制度ですが、今年の自己負担が2,000円で済む寄附の上限は、今年の収入・所得・控除によって決まります。今年は配偶者特別控除の変更があり、去年と同様の収入・控除ですと控除限度額が下がる方もいらっしゃいます。計算シミュレーション等で確認しましょう。

 

《コラム》大きく変わる今年の年末調整

◆平成30年分の所得税から控除が変わる 
 平成29年度の税制改正において、配偶者控除・配偶者特別控除の見直しが行われ、平成30年分の所得税から適用されることになりました。これに伴い、給与所得者の扶養控除等申告書、配偶者控除等申告書の記載事項等の見直しが行われていますので、今年の年末調整事務は注意が必要です。

◆変更点1 配偶者控除の見直し
 従来は所得者本人の所得金額に制限はなく、控除対象配偶者がいる場合は誰でも38万円(老人控除対象配偶者の場合48万円)の控除が受けられました。しかし、改正後は、所得者本人の収入に応じて控除額が逓減する仕組みが加わり、本人給与収入が1,120万円(合計所得金額900万円)を超えた場合の控除額は次のようになります。
(1)給与収入1,120万円超1,170万円以下(所得金額900万円超950万円以下)の控除額26万円〈32万円〉
(2)給与収入1,170万円超1,220万円以下(所得金額950万円超1,000万円以下)の控除額13万円〈16万円〉
(3)給与収入1,220万円超(所得金額1,000万円超)の控除額0円
 ※〈 〉内は老人控除対象配偶者の控除額

◆変更点2 配偶者特別控除の見直し
 対象となる配偶者の所得金額が給与収入150万円以下(合計所得金額85万円以下)の場合、配偶者控除と同額の控除が受けられるよう見直されました。また、適用範囲が拡大し、配偶者の合計所得金額が改正前の「38 万円超 76 万円未満」から「38 万円超 123 万円以下(給与収入103万円超201万円以下)」となりました。一方、配偶者控除と同様に、所得者本人の合計所得金額に応じて控除額が逓減する仕組みが加わっています。

◆留意すべき事項
 改正後の配偶者特別控除は適用区分が細分化され、複雑化しています。所得者本人と配偶者の所得金額を正確に把握しないと控除額の計算が行えませんので、配偶者特別控除申告書の記載に当たっては十分な確認が必要でしょう。また、配偶者特別控除を受けられる配偶者の所得金額要件が拡大しましたが、社会保険の被扶養者要件は変更されていませんので、被扶養者となるためには所得調整が必要です。

(後編)日本税理士会連合会:2019年度税制改正に関する建議書を公表!

(前編からのつづき)

 その際、給与所得控除・公的年金等控除の水準が過大なことや、控除が適用されない事業所得者等とのバランスも踏まえ、所得計算上の控除を縮減した上で、基礎的な人的控除を中心に課税最低限を確保することが適切としました。
 上記③では、償却資産に係る固定資産税制度が事業者の設備投資の阻害要因になっていること、現状では課税客体の捕捉が不十分、固定資産台帳の整理が賦課期日と決算日の年2回必要になるなど事業者に過度な事務負担を強いていること等の問題があるとしております。

 市町村の財政の現状からみると、代替財源がない限り同制度を廃止することは困難なため、当面は制度を維持しつつ上記問題の解決も検討する必要があるとしております。
 賦課期日と申告期限については、賦課期日は現行法のままとしつつも、申告期限につき、現行方式と電子申告に限り法人税の申告期限と一致させる新方式との選択制を早期に実現した上で、償却資産に係る固定資産税を固定資産税とは異なる新たな税目とする、所得税の申告期限と一致させるなどの抜本的改革の検討を求めております。
 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年10月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

NISA初年度の非課税期間終了へ

NISAの専用口座で保有する株式のうち、制度がスタートした2014年に購入した株式の非課税期間が年内に終了します。来年以降も株を持ち続けるのであれば、売却益に課税される通常の口座に移管するか、来年分の非課税枠を使ってNISAの適用を継続するか、いずれかの選択が必要です。

 NISAで年間120万円までの投資の利益が非課税になる期間は5年に限られます。そのため、制度が始まった14年に投資した分は今年で非課税期間が終了することになります。
 通常の口座(一般口座・特定口座)への移管では、今年12月の最終営業日の時価を基準にして、その後の利益には20%の所得税が課税されることになります。

 一方、新たなNISA口座への移管後は、5年間の非課税期間が改めてスタートすることになります。非課税の対象となる投資金額は、新たな口座に引き継いだ残高全て。例えば初年度に100万円で購入した株式が500万円まで増えているとすると、非課税となる金額は通常のNISAの年間上限である120万円ではなく、500万円全額です。

 ただし、新たなNISA口座に移管すると、その年のNISAの非課税枠をつぶしてしまうことになります。すなわち年末の時点で120万円以上の株を新口座に引き継ぐと、その年は他にNISAの非課税枠を使えなくなります。

 いずれの選択肢が資産形成に有利であるかは、来年以降の株式の動きによって変わります。保有している株式が他の株式と比べて値上がり率が高いと判断するなら、新しいNISA口座への移管が一般的な選択肢となります。

 日本証券業協会は初年度の非課税期間の終了が間近に迫っていることを受け、利用者に対し、証券会社から順次届く案内に従い、各社の定める期限までに手続きをするように注意を呼び掛けています。

<情報提供:エヌピー通信社>

(後編)国税庁:2017年度査察白書を公表!

(前編からのつづき)

 告発分の脱税総額は前年度を26億9,100万円下回る100億100万円、1件あたり平均の脱税額は8,900万円(同9,600万円)となりました。
 告発分を税目別にみてみますと、法人税が前年度から18件減の61件で全体の54%、脱税総額は約57億円で56%を占めました。

 所得税は同8件減の19件(脱税総額約20億円)、相続税は同1件増の3件(同約4億円)、源泉所得税は同2件増の3件(同約3億円)、消費税は同4件増の27件(同約18億円)となり、消費税の脱税額のうち約11億円は消費税受還付事案(ほ脱犯との併合事案を含む)です。
 告発件数の多かった業種・取引をみてみますと、建設業が26件(前年度30件)で最多となり、次いで不動産業が10件(同10件)、人材派遣の5件と続きました。
 なお、査察は脱税でも特に大口・悪質なものが強制調査されますが、2017年度の査察は国際事案(15件告発)や太陽光発電関連事案(7件告発)など近年の社会情勢に即した事案に対しても積極的に取り組み、多数の事案を告発しております。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年8月10日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

《コラム》新しい権利 配偶者終身居住権

◆新しい法定された権利の創設
 民法が改正され、配偶者終身居住権が創設されました。被相続人の配偶者が自宅に住み続けることができる権利で、高齢化が進む中、残された配偶者の住居や生活費を確保し易くする、というのが狙いです。
 子が自宅の所有権を相続し、被相続人の配偶者が終身居住権を相続する、というのが最も典型的な予想ケースとされています。
 所有権が第三者に渡っても、そのまま自宅に住み続けることができる、という排他的権利です。

◆評価額と権利の性質
 居住権の評価額は平均余命などを基に算出され、不動産の価額は、終身居住権の価額と終身居住権付不動産の価額とに分割されることになる、と法務省法制審議会民法部会で審議されていました。相続税評価額がどうなるかは未定ですが、法制審の審議を承けたものになると思われます。
 終身居住権の譲渡資産性は弱そうですが、登記されることを前提にしているので、債権でありながら、借地権のような物権的性格を強く持ちそうです。

◆所得税への影響
 相続により承継する終身居住権と終身居住権付不動産のそれぞれが、譲渡の局面に立ち至った場合は、それらの承継取得原価は、借地権と底地の関係のように、各評価額の比で按分されることにならざるを得ません。ただし、それには、借地権の法律政令の規定のような終身居住権に係る新たな規定の創設が必要です。

◆終身居住権の一身専属性
 終身居住権は一身専属権として死亡と共に消滅するものです。その自然消滅によって、終身居住権付不動産は何の制限もない不動産に生まれ変わります。その時に、終身居住権の消滅益を認識すべきか、終身居住権に対応することになる承継取得原価はどのような扱いになるか、なども必然の検討テーマになります。

◆自然消滅借地権が参考になる
 自然消滅借地権の場合は、借地権の消滅益を認識せず、借地権の取得価額は自然消滅になります。これに準ずるとすると、終身居住権の消滅益は認識せず、それに対応している取得価額も自然消滅となり、誰にも承継されません。