岐阜市がふるさと納税の控除漏れ

岐阜市がふるさと納税の利用者1253人に対する税額控除の適用漏れがあったことを公表しました。ふるさと納税の控除ミスは東京都渋谷区でも発覚したばかりです。岐阜市だけでなく、同様の税優遇の適用ミスは全国で放置されている恐れがあります。面倒でも税優遇がしっかり適用されているか、一度は確認しておきたいところです。

 岐阜市は5月に、納税者12万7406人分の住民税税額決定通知書を市内2万1400事務所に発送したところ、納税者から「ふるさと納税をしたのに税額控除が適用されていない」との連絡があったとしています。改めて調査をすると、制度の適用漏れで1253人に対して過大な税額を通知していました。

 適用漏れの対象となったのは、確定申告が不要となる「ワンストップ特例」の利用者です。同制度では、寄付を受けた自治体から寄付者が住んでいる自治体に宛てて特例適用の通知書が送られ、住んでいる自治体は通知書に基づいて税優遇の適用を行います。岐阜市では、寄付先の自治体から送られてきた通知書をダンボール箱に入れて保管していましたが、4箱のうち1箱が別の場所で保管され、そのまま放置されて処理が行われませんでした。市は該当者に謝罪の文書を発送し、7月以降に相当額を控除することで調整を行うとしています。

 渋谷区のケースでは、担当者の引き継ぎ漏れがあり、電算処理の委託業者に誤ったデータを渡したことが原因でした。ただしその後、税額決定通知書を発送する段階になって、内部でミスに気付いています。一方、今回の岐阜市は、納税者が控除額を確認していなければミスが放置されたまま過徴収が行われていた可能性もあります。

 続けて発覚した2つの控除漏れでは、どちらも対象は「ワンストップ特例」の適用者のみでしたが、住民税から控除されるのは確定申告をする人も同様であり、経営者などの高所得者でも過徴収に遭う恐れは十分にあるところです。
<情報提供:エヌピー通信社>

平成30年7月の税務

7/10
●6月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

7/17
●所得税の予定納税額の減額申請

7/31
●所得税の予定納税額の納付(第1期分)
●5月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●11月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の2月、8月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の4月、5月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(3月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

○固定資産税(都市計画税)の第2期分の納付

ふるさと納税、確認しにくい控除適用

東京都渋谷区が、ふるさと納税による税優遇を適用せず、実際より多い税額を記載した住民税の税額決定通知書を納税者に送っていたことが分かりました。優遇を受けるための手続きを省略できる「ワンストップ特例」の利用者4278人を対象に、寄付金約3億6400万円について控除を適用していなかったそうです。

 渋谷区によれば、ミスがあったのは5月10日に納税者や勤務先に発送した来月分の税額決定通知書。担当者の引き継ぎ漏れがあり、電算処理の委託業者に誤ったデータを渡したことが原因だとしています。区は対象者に経緯の説明を始めるとともに、今後税額の修正を行う方針を示しました。

 ふるさと納税は任意の自治体に寄付をすると、所得税や住んでいる場所に納める住民税が差し引かれる制度。所得税から引ききれなかった分や、確定申告が不要になる「ワンストップ特例」を使った人は、全額が住民税から差し引かれます。所得税から引かれる場合は、確定申告が終わった3月以降に銀行口座に振り込まれ、住民税から引かれる場合は、寄付をした翌年5月以降の住民税から12カ月に分割して差し引かれることになります。

 所得税なら口座の取引履歴を見ることで税優遇の適用を確かめられますが、住民税で優遇が適用されたかを確認するためには、自治体から5月ごろに送られてくる税額決定通知書を見なければなりません。自治体によって細部は異なりますが、ふるさと納税による控除額は「寄附金控除」や「税額控除額」の欄に記載されていることが多いようです。

 しかし他に寄付をしていた時は合算額しか記載されず、住宅ローン控除による税額控除の適用があればそれも含めた額となります。それらがなくても、基礎控除や配偶者控除を基に適用される調整控除があるため、純然たるふるさと納税のみによる控除額を通知書で確認することはできないのが現状です。
<情報提供:エヌピー通信社>

 

「横目」調査裁判の脱税職員が免職

大阪府寝屋川市は5月22日、所得税の脱税で有罪判決を受けた同市職員の被告男性(48)を懲戒免職処分としました。男性はインターネットで購入した馬券で当てた約3億円を申告せず、所得税法違反に問われていました。

 男性の裁判では、課税庁が税務調査の際に本来の目的とは別の銀行口座を見て情報を得る「横目調査」の有効性が問われていました。男性は横目調査に基づく税務調査は無効と主張しましたが、大阪地裁は5月9日の判決で「違法な手法である疑いは残るものの、違法性が重大とまでは認められない」として調査の有効性を認め、男性に懲役6カ月、執行猶予2年、罰金1200万円の有罪判決を下しています。なお男性は、所得税の脱税という起訴内容そのものについては否認せず、争っていませんでした。

 判決を受け、被告男性が税務室課長を務めていた寝屋川市は、これまで起訴休職中としていた男性を懲戒免職としました。市人事室は「納税者の模範となるべき立場でありながら、市役所への信用を失墜させた」としています。なお男性は判決を不服として控訴しています。
<情報提供:エヌピー通信社>

平成30年6月の税務

6/11
●5月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額・納期の特例を受けている者の住民税の特別徴収額(前年12月~当年5月分)の納付

6/15
●所得税の予定納税額の通知

7/2
●4月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●10月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の1月、7月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の3月、4月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(2月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第1期分)

 

(後編)国税庁:2016年度分会社標本調査結果を公表!

(前編からのつづき)

 黒字法人の営業収入金額は同2.3%増の1,144兆4,408億円と増加に転じ、所得金額は同3.9%増の59兆4,612億円で過去最大となりました。
 営業収入に対する所得金額の割合(所得率)は、前年から0.1ポイント上昇の5.2%となり、黒字法人について、業種別の所得率をみてみますと、「鉱業」が11.1%、「不動産業」が10.4%となり、法人税額は10兆4,676億円で、前年度より0.3%減少しました。

 また、所得税額控除は3兆1,733億円で、同18.2%減となり、外国税額控除は5,104億円で、同7.0%減となり、2年連続で減少しました。
 繰越欠損金の当期控除額は7兆5,951億円で、同7.4%減と3年連続減少し、翌期繰越額は68兆4,167億円で、同4.7%増となり、2年連続の増加となりました。
 一方、2017年3月までの1年間に全国の企業が取引先の接待などに使った交際費は、前年度に比べ4.1%増の3兆6,270億円となり、5年連続で増加しました。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年5月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

【時事解説】後継者人材バンクを活用した事業承継支援 その1

わが国の企業数は減少傾向にあり、とくに小規模企業の減少が顕著となっています。
 小規模企業の廃業の主な要因の一つに、事業を継続させたい意向があるにもかかわらず、後継者不在を理由に廃業せざるをえない企業の存在があげられます。
 中小企業庁「事業承継ガイドライン」では、小規模企業に対して創業希望者と後継者不在の小規模企業とをマッチングさせるといった「創業との連携」の重要性が指摘されています。

 こうした中、国は2011年度から後継者不在に悩む中小企業に対して、第三者への承継(引継ぎ)を支援するため、各都道府県に事業引継ぎ支援センターを設置し支援を行っています。そして一部の事業引継ぎ支援センターにおいて、2014年度から後継者人材バンク事業を開始しています。後継者人材バンクとは後継者不在の小規模事業者(主として個人事業主)と創業を志す個人起業家をマッチングする事業であり、個人事業主の後継者問題の解決と創業の促進を同時に図ることを狙いとしています。

 後継者人材バンクのメリットとして、起業家にとっては顧客や販売先、仕入先、店舗等の経営資源や、地域における知名度、経営ノウハウ等の無形資産を引き継ぐため起業に伴うリスクを低く抑えることができます。また、後継者不在の事業者にとっては、後継者問題を解消し事業の継続を図ることで、従業員の雇用や取引先との取引を継続することができます。

 一方で、起業家にとってはゼロからの起業と比較すると相対的に経営の自由度が低くなるとともに、現経営者と経営方針のすり合わせを行う必要がある点に留意する必要があります。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

(後編)東京税理士会:2017年度税務調査アンケートを公表!

(前編からのつづき)

 調査内容は、「帳簿・証憑」が2,058件(84.2%)で、他の調査内容については、「現金・預金」(28.5%)、「机・書庫・金庫」(10.5%)、「パソコン等」(8.2%)などの順に多くなりました。
 調査日数については、2,445件中、「1日」で終了したものが486件で20.5%(前年比0.2ポイント減)を占め、「2日」が1,038件で43.9%(同5.8ポイント減)、「3~4日」は392件で16.6%(同1.6ポイント減)のほか、「5日以上」が449件で19.0%(同7.7ポイント増)となりました。

 調査結果については、回答のあった2,021件のうち、「申告是認」が458件(22.7%)、「修正申告」が1,515件(75.0%)、「更正」が48件(2.4%)となり、修正申告・更正1,563件のうち、「重加算税処分」となったものは、279件(21.2%)となりました。
 なお、調査官の態度としては、「良い」が36.9%(昨年度43.9%)、「悪い」が9.8%(同7.7%)、「普通」が53.3%(同48.4%)となりました。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月16日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)東京税理士会:2017年度税務調査アンケートを公表!

東京税理士会は、2017年度税務調査アンケートを公表しました。
 その調査結果(有効回答数1,716会員)によりますと、対象期間(2016年7月~2017年6月)に2,495件の税務調査があり、このうち「納税者のみに通知があった」件数は245件(9.8%)で、前年より4.4ポイント増加しました。
 通知がなかった無予告調査件数は99件(4.0%)で、このうち「事前通知はなかったが、税務調査が速やかに開始されたもの」が77件(77.8%)でした。

 無予告調査は、納税者の負担が特に大きいことから、東京税理士会では、「正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれがあるとき」又は「調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるとき」以外は避け、事前通知は要しないとの判断は慎重にするよう求めております。
 回答のあった調査件数2,445件の内訳は、「法人税(消費税含む)」が1,887件と約77%を占め、「所得税(同)」が266件、「相続税(含む贈与税)」が172件、「消費税(単独調査)」が81件、「その他国税」が39件となりました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月16日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)財務省:2016年度租税特別措置の適用実態調査結果報告書を公表!

(前編からのつづき)

 この主な内訳は、2015年度から適用要件を緩和した「所得拡大促進税制」が3,184億円(2015年度比410億円増)、「研究開発税制」が5,926億円(同232億円減)、「生産性向上設備投資促進税制(一部)」が971億円(同210億円減)です。

 「特別償却」(28措置)は、適用件数が6.8万件(2015年度比0.5万件減)、適用額が1兆7,869億円(同5,750億円減)で、主な内訳は、「中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却」は5,971億円(同2,324億円増)、「生産性向上設備投資促進税制(一部)」が8,937億円(同3,989億円減)です。
 また、「準備金等」(15措置)は、適用件数が1.3万件(2015年度比0.1万件減)、適用額が8,212億円(同1,216億円減)となりました。

 適用数の実績が想定外に少ない租税特別措置等は、必要性や将来見込みの検証を徹底するため、税制改正プロセスにおいて、総務省による政策評価の点検結果や、財務省の適用実態調査の結果を活用し、租税特別措置の必要性や政策効果を検証しております。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年4月16日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。