ふるさと納税の法規制は6月から

「ふるさと納税」の新たな規制ルールが、今年6月から実施されます。税優遇が適用される寄付先を総務省による認定制に改め、「返礼品の価値は寄付金額の3割以下」「返礼品は地場産品に限定する」という基準を満たさない自治体を税優遇の対象から外します。自治体間による〝寄付争奪戦〟に歯止めがかからないとして、法規制による強権発動に踏み切った形です。

 ふるさと納税制度は、任意の自治体に寄付をすると、一定額まで住んでいる土地に納める税金が控除されるというもの。実質手数料の2千円のみで高額な返礼品が獲得できるとして、納税者の人気を集めてきました。

 政府が閣議決定した税制改正大綱では、この制度の対象となる自治体を総務大臣による指定制に改めるとしました。その条件として、①返礼品の返礼割合を3割以下とすること、②返礼品を地場産品とすること――と掲げ、自治体がこれらの基準に適合しない返礼品を送ったときは、総務大臣は指定を取り消せると盛り込みました。指定が取り消されると、寄付した人は税優遇を受けられず、純然たる寄付となってしまうわけです。これらの改正は、今年6月1日以後に行われる寄付に適用されます。

 これから法規制が実施される6月に向けて駆け込み寄付が増えていきそうですが、すでに多くの自治体では高額返礼品の見直しを進めているため、〝お得〟な返礼品は日に日に少なくなりつつあります。今年に限ってはなるべく早めに寄付をしてしまったほうがよさそうです。

<情報提供:エヌピー通信社>

《コラム》扶養控除等の是正について

◆扶養控除等の是正(扶養是正)とは
 所得者の方が確定申告や年末調整で配偶者控除や扶養控除の適用を受けていたけれども、実は所得要件などが誤っており、正しくは控除が受けられなかったということがあります。そのような場合は、気付いた段階でただちに年末調整の再計算や修正申告を行って納税する必要があります。
 しかし、是正せずそのままにしておくと、税務署から「扶養控除等の控除誤りの是正について」という通知が送られてきたり、電話や臨場による税務調査で是正を求められたりします。これを一般に「扶養是正」と呼んでいます。 

◆扶養是正にはどのようなものがあるか
①所得超過
 最も誤りが多いのが、この所得超過です。配偶者や扶養親族に一定の所得金額があるにもからわらず、所得者本人がその金額を把握していなかったことによるものです。
②重複控除
 他の所得者と重複して控除を受けていたというものです。例えば、共働きの夫婦がどちらも同じ子供を扶養親族として控除していたようなケースです。
③年齢相違
 特定扶養親族や老人扶養親族は、控除を受ける年の12月31日時点の年齢がそれぞれ、19歳以上23歳未満、70歳以上という条件がありますが、そのような年齢の条件に合致しない人を控除の対象としていたというものです。
④その他
 扶養控除の対象となる親族は、6親等内の血族及び3親等内の姻族ですが、それ以外の親族を扶養の対象としていた場合や、白色事業専従者を扶養の対象としたケースなどがあります。また、夫と離縁した人が寡婦控除を受けるには、扶養親族や生計を一にする子がいることが要件(死別の場合や寡夫の場合は条件が違いますのでご留意ください)ですが、その要件に当てはまらないというケースもあります。

◆是正のしかた
 年末調整を行っている方は、源泉徴収義務者である勤務先で年末調整の再計算を行ってもらい、追加で納付する税金を源泉徴収義務者経由で納税します。確定申告を行っている方は、所轄の税務署に修正申告書の提出と納税を行います。

(後編)国税庁:2017事務年度の個人に対する所得税調査を公表!

(前編からのつづき)

 また、実地調査に含まれる着眼調査(資料情報や事業実態の解明を通じて行う短期間の調査)は、前年度比9.4%増の2万3千件行われ、そのうち1万7千件から同5.3%減の814億円の申告漏れをみつけて、60億円を追徴し、1件あたり平均申告漏れは351万円となりました。
 さらに、簡易な接触は同4.7%減の55万件行われ、そのうち32万4千件から同10.8%減の3,143億円の申告漏れをみつけて、249億円を追徴し、1件あたりの平均申告漏れは57万円となりました。

 所得税調査の特徴は、高額・悪質と見込まれるものを優先して、深度ある調査(特別調査・一般調査)を重点的・集中的に行う一方で、実地調査までには至らないものは電話や来署依頼による簡易な接触で済ませる模様です。
 なお、業種別1件あたりの申告漏れ所得金額が高額な業種は、キャバクラ(2,897万円)が1位となり、以下、風俗業(1,974万円)、不動産代理仲介(1,774万円)の順に続きました。

(注意)
 上記の記載内容は、平成31年1月11日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)国税庁:2017事務年度の個人に対する所得税調査を公表!

国税庁は、2017事務年度(2018年6月までの1年間)の個人に対する所得税調査を公表しました。
 それによりますと、前事務年度(64万7千件)に比べて3.8%減の62万3千件行われました。
 そして、そのうち約62%にあたる38万4千件(前事務年度40万件)から同1.7%増の9,038億円(同8,884億円)の申告漏れ所得を見つけました。
 その追徴税額は同7.6%増の1,196億円(同1,112億円)となり、1件平均145万円(同137万円)の申告漏れに対し19万円(同17万円)を追徴しました。

 実地調査における特別調査・一般調査(高額・悪質な不正計算が見込まれるものを対象に行う深度ある調査)は、前事務年度に比べて1.5%増の5万件を実施し、そのうち約87%にあたる4万4千件から同12.9%増の総額5,080億円の申告漏れ所得をみつけて、同17.8%増の887億円を追徴しました。
 件数は、全体の8.0%となり、申告漏れ所得金額は全体の56.2%を占め、調査1件あたりの申告漏れは1,021万円となりました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成31年1月11日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

確定申告でマイナンカード不要に

 2月18日から始まる2018年分の確定申告シーズンに向け、国税庁はサイト上に特集ページを開設しました。スマートフォン・タブレット用の申告書作成コーナーが新しくなったほか、今年から導入される「ID・パスワード方式」によってマイナンバーカードを取得せずに申告書を自宅から送信できるようになっています。

 一般納税者が申告書を送信する際は、これまで送信者のマイナンバーカードと、それを読み込むICカードリーダライタが必要でしたが、新たな方式では、税務署で職員による対面の本人確認を行っておけば、カードやリーダライタを必要とせず電子申告を行うことが可能となります。

 同方式について国税庁は「マイナンバーカードおよびICカードリーダライタが普及するまでの暫定的な対応」としていますが、国民の間に根強いマイナンバー不要論に拍車がかかるおそれもありそうです。

 なお、会計事務所が顧問先の申告書を代理送信する際にはID・パスワード方式は利用できず、従来どおり日税連が発行する電子証明書が必要となります。

<情報提供:エヌピー通信社>

消費税還付や海外取引に国税ギラリ

消費税調査や海外取引法人への法人税調査で発覚する申告漏れ所得と追徴税額が、ここ数年で急速に増えています。国税庁によると、平成29年度の消費税調査による追徴税額の総額は748億円で、5年前の474億円と比べて57.8%増にもなりました。また、29年度の法人税調査で把握された申告漏れ所得は9996億円で5年前から4億円の微増でしたが、海外取引にかかる申告漏れ所得に限れば5年前の2452億円から3670億円へと49.7%増でした。

 消費税や海外取引にからむ不正としては、インターネットで海外旅行客向けのツアーを販売するA社が、ソフトウェア取得の対価を消費税の課税仕入れとして多額の還付申告をしたケースがあります。実際には取得の事実はなく、無申告法人に虚偽の契約書を作成させ、申告の際の添付資料にしていました。

 また、自動車部品の卸売業を営むB社は租税回避地に100%子会社を設立。子会社は決算書で、グループ会社への売上割合が本来は55%であるにもかかわらず、45%として申告していました。この虚偽申告は、「外国子会社合算税制」の適用を免れるためのものです。外国子会社の売上の過半がグループ会社以外の第三者取引によるものでなければ外国子会社合算税制の対象となりますが、B社の子会社の第三者取引割合は45%(100%グループ会社への売上55%)であるため、B社は子会社の売上も合算して法人税を納めなければなりませんでした。

 広告代理店業を営むE社は、自社所有の社員専用宿舎の空き部屋を民泊として観光客などに貸し出し、代表者が個人名義で代金を受け取っていましたが、申告除外していました。税務署は代表者が使用するパソコン内の民泊仲介サイトのアカウント情報から取引履歴を確認。税務申告の際に民泊収入を含めず、消費税額を圧縮していた事実を把握しました。

<情報提供:エヌピー通信社>

 

(後編)国税庁:2017事務年度の富裕層に対する所得税調査を公表!

(前編からのつづき)

 調査事例をみてみますと、国内外の仮想通貨取引に係る事案があり、調査対象者Aは、仮想通貨の取引による利益について自主的に修正申告書を提出しましたが、部内資料等から修正申告書の内容を大きく上回る利益を得ていることが想定され、調査の結果、Aは多数の仮想通貨取引所に本人及び妻名義の取引口座を開設し、自身で開発した仮想通貨の自動売買プログラムを使用して多額の利益を得ていた事実が把握されました。

 Aは、インターネット情報で、仮想通貨取引の利益は申告する必要があることを知り、本人名義のうち、一部の仮想通貨取引の利益は修正申告しましたが、妻名義などで行った仮想通貨取引による利益は修正申告書に含めていなかったことを認めました。
 その結果、Aに対して、所得税1年分の申告漏れ所得金額約5,000万円について、追徴税額(重加算税を含む)約2,400万円が課されました。
 国税庁では、国外送金等調書、国外財産調書、租税条約に基づく自動情報交換資料などの情報を活用して、海外取引・海外資産関連収入の的確な把握及び積極的な調査に取り組んでいます。

(注意)
 上記の記載内容は、平成31年1月11日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)国税庁:2017事務年度の富裕層に対する所得税調査を公表!

国税庁は、2017事務年度(2018年6月までの1年間)の富裕層に対する所得税調査を公表しました。
 それによりますと、前事務年度比24.6%増の5,219件の富裕層に対する実地調査が実施し、同51.9%増の申告漏れ所得金額670億円を把握しました。

 調査件数の約82%にあたる4,269件(前年対比25.3%増)から何らかの非違をみつけ、加算税を含め177億円(同39.4%増)を追徴し、1件あたりの申告漏れ所得金額は1,283万円(同21.7%増)、追徴税額339万円(同11.5%増)となり、追徴税額は所得税全体の実地調査(特別・一般)1件あたり178万円と比べて約1.9倍にのぼりました。
 国税当局では富裕層の海外投資等にも注目しており、同期間中に海外投資を行っていた862件(前年対比61.7%増)に対して調査を実施し、約83%にあたる713件(同49.2%増)から269億円(同96.4%増)の申告漏れ所得金額を把握、71億円(同73.2%増)追徴し、1件あたりの申告漏れ所得金額は3,119万円(同21.1%増)にのぼりました。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成31年1月11日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(後編)不動産所得の事業的規模とされる判断基準とは?

(前編からのつづき)

 物件を共有している場合は共有物件全体で判断し、貸室と貸家の両方を所有している場合は貸室2室を貸家1棟として、駐車場は5台分を貸室1室にそれぞれ換算して、基準を満たせば事業的規模となります。
 したがいまして、50台(10室相当)以上の駐車場業であれば事業として認められますが、50台以下であっても、管理状況や関与する人員などによって事業として認められるケースがあります。
 あくまでも5棟10室基準は簡便な判定方法であり、実際には実態を総合的に勘案して判断します。

 なお、事業的規模になりますと、各都道府県が課税する個人事業税の対象となり、青色申告特別控除額(65万円の控除)を差し引く前の所得から、290万円を差し引いた残額の5%が課税されます。
 また、事業的規模の不動産オーナーで、各種特典を受けるためには家賃収入や経費などを帳簿に記帳する必要があり、作成した帳簿は原則7年間の保存義務がありますので、該当されます方はご注意ください。

(注意)
 上記の記載内容は、平成31年1月4日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

(前編)不動産所得の事業的規模とされる判断基準とは?

 アパートやマンションを賃貸して得た不動産所得は、その貸付が事業的規模と認められるか否かによって、所得税の取扱いが異なります。
 事業的規模と認められますと、事業専従者給与の経費算入や65万円の青色申告特別控除が可能なほか、業務用資産の取壊し、除却など損失の全額の経費算入、賃料収入などが回収不能となった場合の貸倒損失がその年分の必要経費になります。

 例えば、家賃が回収不能なことが明らかとなったとき、事業的規模でない場合には、収入として計上した年の所得から、なかったものとして取り扱われますが、事業的規模であれば、その未回収家賃をその年の必要経費として計上して、所得から差し引くことができます。
 事業的規模とされる判断基準ですが、一般的には、貸付資産の規模や賃貸料の収入状況などの要素を総合的に勘案して判断します。
 実務的には、独立家屋の貸付はおおむね5棟以上、貸間・アパートなどは独立した室数がおおむね10室以上という形式的な基準(いわゆる5棟10室基準)が設けられております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成31年1月4日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。